アップダウンコースで行われたティレーノ〜アドリアティコ第2ステージ。残り3kmの山岳通過後にアタックしたゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)が精鋭集団を1秒差で振り切り、チームジャージにマッチした青いリーダージャージに袖を通した。



リーダージャージ擁するBMCレーシングを先頭に進むメイン集団リーダージャージ擁するBMCレーシングを先頭に進むメイン集団 photo:Tim de Waele


ティレーノ〜アドリアティコ2016第2ステージティレーノ〜アドリアティコ2016第2ステージ image:RCSSportティレニア海の海岸線と平行してトスカーナ州を南下するティレーノ〜アドリアティコ第2ステージ。コース全長は207kmで、後半にかけて内陸部に進路をとる。1日の獲得標高差2,000mの大半が残り70kmを切ってからのアップダウン区間に詰まっている。

春の訪れを感じさせる田園風景の中を走る春の訪れを感じさせる田園風景の中を走る photo:Tim de Waele2度の世界チャンピオン経験者パオロ・ベッティーニ氏がデザインに携わったコースはまさに「コオロギ」の異名をもつ同氏の脚質にマッチしたもの。残り10kmから始まる最後の山岳ポマランチェは最大勾配が15%に達するパンチの効いた登りで、頂上通過後に平坦&下り区間を経て残り250mからフィニッシュラインまでは再び登りだ。

フェデリコ・ズルロ(イタリア、ランプレ・メリダ)やルイス・マスボネ(スペイン、カハルーラル)ら6名の逃げはBMCレーシング主導のメイン集団から最大6分40秒のリードを奪う。天候は気温10度前後の曇り空。緩い北風に押されながらレースは進み、後半に差し掛かったところでタイム差は縮小を始めた。

標高626mの山岳を含む内陸の丘陵地帯を進むうちにメイン集団はスピードを上げ、いよいよ最後の山岳ポマランチェに向かう登りが始まったところで逃げは吸収される。するとメイン集団の先頭ではチームスカイが主導権を握ってペースアップ。ピーター・ケノー(イギリス、チームスカイ)らのハイペースによって集団が縮小すると、フィニッシュまで6kmを残してジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)がアタックの口火を切った。



リーダージャージを着て走るダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)リーダージャージを着て走るダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング) photo:Tim de Waele
逃げグループを形成するフェデリコ・ズルロ(イタリア、ランプレ・メリダ)ら6名逃げグループを形成するフェデリコ・ズルロ(イタリア、ランプレ・メリダ)ら6名 photo:Tim de Waeleトスカーナ州の内陸部に向かうプロトントスカーナ州の内陸部に向かうプロトン photo:Tim de Waele



ポマランチェの登りでアタックするディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)ポマランチェの登りでアタックするディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) photo:Tim de Waeleヴィスコンティのアタックが封じ込められると今度はミルコ・セルヴァッジ(イタリア、アンドローニジョカトリ)が飛び出す。しかしいずれの動きも決定力を欠き、完全に集団を引き離すには至らない。

ポマランチェの登りで動くエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)ポマランチェの登りで動くエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) photo:Tim de Waele残り3kmの急勾配区間でディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)がアタックしたが決まらず、およそ40名に絞られた状態でポマランチェ頂上をクリアする。選手たちが互いの様子を観察する牽制状態の中からするすると抜け出したのはゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)。「終盤のコースレイアウトはブラマーティ監督と下見済みだった」というスティバルが残り2.5km地点から独走に持ち込んだ。

後続を振り切ってフィニッシュするゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)後続を振り切ってフィニッシュするゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waele短い下りと平坦路、そしてコーナーが連続する街中でスティバルはリードをキープし、残り1kmを切ってからアタックしたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)を振り切って登り基調の最終ストレートへ。爆発力のあるペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)やエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)はニーバリを飲み込んだが、先頭スティバルの背中には届かなかった。

「(2位だった)ストラーデビアンケ以降ずっと調子は良かったし、コースが完璧に自分向きだと分かっていたからアタックしたんだ。下りとコーナーでうまくリカバリーして、残り200mを全開で踏んだ」というスティバルが先頭でフィニッシュ。後続とのタイム差1秒とボーナスタイムによって総合首位に立った。

「総合リードを得たことを嬉しく思う。このままこのポジションを守って総合優勝を狙いたいけど何も約束は出来ない。日曜日の山頂フィニッシュは自分には厳しすぎるかも知れないけど、出来る限りのことをやってみるよ」と新リーダーのスティバルは語っている。元シクロクロス世界チャンピオンは同時に山岳賞ジャージとポイント賞ジャージも手に入れた。

この日は多くの総合優勝候補を含む37名が同タイムでフィニッシュ。ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)とプリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ランプレ・メリダ)は1分23秒、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)とラファエル・バルス(スペイン、ロット・ソウダル)は3分01秒遅れでフィニッシュしている。

選手コメントはチーム公式サイトより。



リーダージャージを手に入れたゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)リーダージャージを手に入れたゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waele


ティレーノ〜アドリアティコ2016第2ステージ結果
1位 ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)    5h10’03”
2位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)               +01”
3位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
4位 サイモン・クラーク(オーストラリア、キャノンデール)
5位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
6位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
7位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
8位 ティエシー・ベノート(ベルギー、ロット・ソウダル)
9位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)
10位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)

個人総合成績
1位 ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)    5h33’50”
2位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)       +09”
3位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
4位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)
5位 ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)
6位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ) +11”
7位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)
8位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)               +14”
9位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)                    +18”
10位 セバスティアン・ライヘンバッハ(スイス、FDJ)

ポイント賞
1位 ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)

山岳賞
1位 ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)

ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)

チーム総合成績
1位 BMCレーシング

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

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