ベルギー・フランドル地方にて開催されたオムループ・ヘットニュースブラッド(UCI1.HC)。5人の逃げグループによるスプリントで、世界王者ペーター・サガン(ティンコフ)を下したグレッグ・ファンアフェルマート(BMCレーシング)が悲願の春のクラシック初優勝を飾った。
ベルギーにクラシックシーズンの訪れを告げるオンループ・ヘットニュースブラッド (c)CorVos
オムループ・ヘットニュースブラッド2016 コースマップ (c)www.omloophetnieuwsblad.be
クリスチャン・ハウス(イギリス、ワンプロサイクリング)ら13名の逃げ集団 (c)CorVos
タイエンベルグでアタックするルーク・ロウ(イギリス、チームスカイ) (c)CorVos
先頭集団に合流を果たしたグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギーBMCレーシング)ら4名 (c)CorVos
石畳の平坦路ラング・ムントでペースアップを図るペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) (c)CorVos
サガンら先頭5名を追うエティックス・クイックステップ (c)CorVosオムループ・ヘットニュースブラッド(UCI1.HC)は、ヘットニュースブラッド紙が1913年に創設したロンド・ファン・フラーンデレン(ツール・デ・フランドル)に対抗して、ヘットフォルク紙が1945年に創設したセミクラシックである。
長年「オムループ・ヘットフォルク」として開催されていたが、2009年にロンドと同じヘットニュースブラッド紙にスポンサーが変更され、現在の名称に変更された。このセミクラシック初戦となるオンループを皮切りに、ベルギーの春のクラシックシーズンが始動する。
71回目を迎える今大会には、25チームから199名のライダーがエントリー。ここまで2連覇を飾っているイアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)は参加を見送ったものの、2度の優勝経験を持つフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)、トム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)、そして現世界王者のペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)といった強豪クラシックハンターが顔を揃えた。
ヘントを発着する200.8kmのコースには、カペルミュールやレベルグ、ファルケンブルグ、クルイスベルグなどフランドルクラシック定番の急坂が13ヶ所、石畳が10ヶ所登場する。昨年より急坂区間が増え、かつ緩い登りゴールへと変更されたため、ピュアスプリンターよりも、いわゆる登れるスプリンターやアタッカーに勝機があるとされている。なお、ヘットニュースブラッド紙が行った優勝予想アンケートの1位は、グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)であった。
大勢の観客が詰めかけたヘントをスタートし、しばらくすると、クリスチャン・ハウス(イギリス、ワンプロサイクリング)、アレクシ・グジャール(フランス、AG2Rラモンディアール)、ザッカリ・デンプスター(オーストラリア、ボーラ・アルゴン18)を含む13名の逃げ集団が形成される。
最大で5分40秒のタイムギャップを稼いだ逃げ集団を追うのは、優勝候補を多数揃えたエティックス・クイックステップと、アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー)を擁するカチューシャ。134km地点の舗装路の登り「クルイスベルグ」へのアプローチで落車が発生し、トッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・ソウダル)らが地面に叩きつけられる。
続く143km地点の「タイエンベルグ」でレースが動く。最大勾配の18%の石畳の激坂で、メイン集団から飛び出したのはルーク・ロウ(イギリス、チームスカイ)で、この動きにファンアフェルマートと地元出身のティエシー・ベノート(ベルギー、ロット・ソウダル)が同調する。
その後、蓋をする形でメイン集団をコントロールしていたダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)のチェックをかいくぐりアタックしたサガンが、ロウら3名への単独ブリッヂに成功。続く149km地点のエイケンベルグでのファンアフェルマートのペースアップにより、グジャールら4名に人数を減らした先頭集団に合流を果たす。
メイン集団は、後手に回ったエティックス・クイックステップが先頭を牽引するも、強力な先頭集団とのタイムギャップを思う様に縮められず。そして、この日最長となる2,500mの石畳「ラング・ムント」に差し掛かった先頭集団で、サガンやロウがペースアップを図り、勝負はファンアフェルマート、サガン、ロウ、ベノート、グジャールの5名に絞られる。
着実にローテーションを回しヘントの街へと戻ってきた先頭5名。サガンのブロックをかいくぐり、残り250mでスプリントを開始したファンアフェルマートがそのまま伸びると、トップでフィニッシュラインを通過。表彰台の常連ながらも春のクラシックでは勝利に恵まれなかったファンアフェルマートが、嬉しいオンループ初優勝を飾った。2位にはサガン、3位には地元出身のベノートが入っている。
ベノートとサガンを下したグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギーBMCレーシング)が優勝 (c)CorVos
オンループ初優勝を飾ったグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギーBMCレーシング) (c)CorVos
ポディウムガールから祝福を受けるグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギーBMCレーシング) (c)CorVos「シーズン最初のクラシックレースで優勝できたことは、自身にとってとても重要なこと。オンループでは過去に僅差で優勝を逃していたし、春のクラシックで勝つことの難しさを何度も味わってきたから、今回勝利することができてとても嬉しいよ。」とコメントしたファンアフェルマート。実は春のクラシックでの勝利は今年のオンループが初となる。
また今日の勝ち方については「長距離であったり、展開がハードだったレースでのゴール前スプリントでは、ピュアスプリンターを打ち負かせると信じていた。以前にオンループで2位と3位に入った時も、もっと完璧に展開を作ることができれば必ず勝てると感じていた。そして今日、それが現実になった。今日のようなスプリントでサガンに勝てたことは、とても自信になる。」とも。
春のクラシックへの意気込みを聞かれると「もちろんメインターゲットはロンド・ファン・フラーンデレン。ロンドで初優勝するために自分が考えたベストな形で、シーズンインすることができている。」と語った。
一方のサガンは、2位に甘んじたことよりも、調子の良さを確認したことを強調する。「調子は上々。この1ヶ月はレースを走らず、シエラ・ネヴァダでトレーニングを積んでいた。今日のレースはハードだったけど、あと1~2週間もすればもっとコンディションが上がってくると感じた。今日は勝てなかったけど、クラシックシーズン序盤であることを考えれば良い兆候だと捉えている」。
なお、本日2月28日(日)はクールネ~ブリュッセル~クールネ(UCI1.1)が開催。オンループとは打って変わってピュアスプリンターによるゴール前スプリントで勝負が決すると予想される。
オムループ・ヘットニュースブラッド2016結果
text:Yuya.Yamaoto
photo:CorVos







長年「オムループ・ヘットフォルク」として開催されていたが、2009年にロンドと同じヘットニュースブラッド紙にスポンサーが変更され、現在の名称に変更された。このセミクラシック初戦となるオンループを皮切りに、ベルギーの春のクラシックシーズンが始動する。
71回目を迎える今大会には、25チームから199名のライダーがエントリー。ここまで2連覇を飾っているイアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)は参加を見送ったものの、2度の優勝経験を持つフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)、トム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)、そして現世界王者のペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)といった強豪クラシックハンターが顔を揃えた。
ヘントを発着する200.8kmのコースには、カペルミュールやレベルグ、ファルケンブルグ、クルイスベルグなどフランドルクラシック定番の急坂が13ヶ所、石畳が10ヶ所登場する。昨年より急坂区間が増え、かつ緩い登りゴールへと変更されたため、ピュアスプリンターよりも、いわゆる登れるスプリンターやアタッカーに勝機があるとされている。なお、ヘットニュースブラッド紙が行った優勝予想アンケートの1位は、グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)であった。
大勢の観客が詰めかけたヘントをスタートし、しばらくすると、クリスチャン・ハウス(イギリス、ワンプロサイクリング)、アレクシ・グジャール(フランス、AG2Rラモンディアール)、ザッカリ・デンプスター(オーストラリア、ボーラ・アルゴン18)を含む13名の逃げ集団が形成される。
最大で5分40秒のタイムギャップを稼いだ逃げ集団を追うのは、優勝候補を多数揃えたエティックス・クイックステップと、アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー)を擁するカチューシャ。134km地点の舗装路の登り「クルイスベルグ」へのアプローチで落車が発生し、トッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・ソウダル)らが地面に叩きつけられる。
続く143km地点の「タイエンベルグ」でレースが動く。最大勾配の18%の石畳の激坂で、メイン集団から飛び出したのはルーク・ロウ(イギリス、チームスカイ)で、この動きにファンアフェルマートと地元出身のティエシー・ベノート(ベルギー、ロット・ソウダル)が同調する。
その後、蓋をする形でメイン集団をコントロールしていたダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)のチェックをかいくぐりアタックしたサガンが、ロウら3名への単独ブリッヂに成功。続く149km地点のエイケンベルグでのファンアフェルマートのペースアップにより、グジャールら4名に人数を減らした先頭集団に合流を果たす。
メイン集団は、後手に回ったエティックス・クイックステップが先頭を牽引するも、強力な先頭集団とのタイムギャップを思う様に縮められず。そして、この日最長となる2,500mの石畳「ラング・ムント」に差し掛かった先頭集団で、サガンやロウがペースアップを図り、勝負はファンアフェルマート、サガン、ロウ、ベノート、グジャールの5名に絞られる。
着実にローテーションを回しヘントの街へと戻ってきた先頭5名。サガンのブロックをかいくぐり、残り250mでスプリントを開始したファンアフェルマートがそのまま伸びると、トップでフィニッシュラインを通過。表彰台の常連ながらも春のクラシックでは勝利に恵まれなかったファンアフェルマートが、嬉しいオンループ初優勝を飾った。2位にはサガン、3位には地元出身のベノートが入っている。



また今日の勝ち方については「長距離であったり、展開がハードだったレースでのゴール前スプリントでは、ピュアスプリンターを打ち負かせると信じていた。以前にオンループで2位と3位に入った時も、もっと完璧に展開を作ることができれば必ず勝てると感じていた。そして今日、それが現実になった。今日のようなスプリントでサガンに勝てたことは、とても自信になる。」とも。
春のクラシックへの意気込みを聞かれると「もちろんメインターゲットはロンド・ファン・フラーンデレン。ロンドで初優勝するために自分が考えたベストな形で、シーズンインすることができている。」と語った。
一方のサガンは、2位に甘んじたことよりも、調子の良さを確認したことを強調する。「調子は上々。この1ヶ月はレースを走らず、シエラ・ネヴァダでトレーニングを積んでいた。今日のレースはハードだったけど、あと1~2週間もすればもっとコンディションが上がってくると感じた。今日は勝てなかったけど、クラシックシーズン序盤であることを考えれば良い兆候だと捉えている」。
なお、本日2月28日(日)はクールネ~ブリュッセル~クールネ(UCI1.1)が開催。オンループとは打って変わってピュアスプリンターによるゴール前スプリントで勝負が決すると予想される。
オムループ・ヘットニュースブラッド2016結果
1位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
2位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)
3位 ティエシー・ベノート(ベルギー、ロット・ソウダル)
4位 ルーク・ロウ(イギリス、チームスカイ)
5位 アレクシ・グジャール(フランス、AG2Rラモンディアール)
6位 イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル)
7位 アドリアン・プティ(フランス、ディレクトエネルジー)
8位 エドワード・テウンス(ベルギー、トレック・セガフレード)
9位 ヤスパー・ストゥイフェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
10位 マチュー・ラダニュ(フランス、FDJ)
2位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)
3位 ティエシー・ベノート(ベルギー、ロット・ソウダル)
4位 ルーク・ロウ(イギリス、チームスカイ)
5位 アレクシ・グジャール(フランス、AG2Rラモンディアール)
6位 イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル)
7位 アドリアン・プティ(フランス、ディレクトエネルジー)
8位 エドワード・テウンス(ベルギー、トレック・セガフレード)
9位 ヤスパー・ストゥイフェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
10位 マチュー・ラダニュ(フランス、FDJ)
4'54"12"
+05"
+09"
+05"
+09"
text:Yuya.Yamaoto
photo:CorVos
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APIS (アピス) レーシングキャップ BMC RACING
APIS (アピス)