日本からキナンサイクリングチームが出場したスペインでのステージレース、ボルタ・ア・バレンシアナ。初日からリーダージャージを着続けたワウト・ポエルスが個人総合優勝を決め、それを支えたチームスカイも団体総合優勝で幕を閉じた。2ステージをダイジェストでレポートする。



第4ステージ オリウエラ-ゾレ・デ・カティ 141.3㎞

第4ステージ ラスヴェロがコントロールするメイン集団第4ステージ ラスヴェロがコントロールするメイン集団 photo:Satoru.Katoコース沿いのあちこちに咲くアーモンドの花コース沿いのあちこちに咲くアーモンドの花 photo:Satoru.Katoボルタ・ア・バレンシアナのクイーンステージとなる第4ステージ。コース後半から3級山岳と2級山岳が計3回連続し、最後は標高1098mの1級山岳を通過してゴールする。その1級山岳への登りは、4kmの距離に15%から17%の斜度の坂が続き、登りの中ほどには20%や22%の部分も現れる今大会最大の難所だ。

第3ステージまでと同様に、序盤に7人の逃げが容認され、メイン集団は3分から4分の差を維持して進行する。残り40kmを過ぎると集団がペースアップし、1級山岳の登り入口までに全ての逃げを吸収。リーダージャージを擁するチームスカイと、総合2位のルイスレオン・サンチェス(スペイン)を擁するアスタナが主導権を争いながら山頂を目指す。

残り3km付近で、黄色のリーダージャージを着るワウト・ポエルス(オランダ・チームスカイ)が自らアタック。独走のまま山頂を通過する。ポエルスはそのままゴールに駆け込み、今大会2勝目。2位サンチェスとの差を広げて総合優勝へ大きく前進した。

キナンサイクリングチームはこの第4ステージを重視。特にマルコス・ガルシアは、前日の第3ステージをセーブしてこの日を迎えた。そのガルシアが健闘し、トップから約1分遅れの15位でゴール。ジャイ・クロフォードも2分以内の遅れで35位と続いた。阿曽圭佑や中西重智、第1ステージの落車から復調した伊丹健治、途中の2級山岳で遅れた野中竜馬らも、10分以上遅れながら完走。7人全員揃って最終日を迎える事になった。

第4ステージ 独走でゴールするワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ)第4ステージ 独走でゴールするワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ) photo:Satoru.Kato
第4ステージ 約1分遅れの15位でゴールするマルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)第4ステージ 約1分遅れの15位でゴールするマルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) photo:Satoru.Kato第4ステージ 初日の落車から復調を見せた伊丹健治(キナンサイクリングチーム)第4ステージ 初日の落車から復調を見せた伊丹健治(キナンサイクリングチーム) photo:Satoru.Kato




第5ステージ バレンシア-バレンシア 105.7㎞

第5ステージ 最後の出走サインのためステージにあがるキナンサイクリングチームのメンバー第5ステージ 最後の出走サインのためステージにあがるキナンサイクリングチームのメンバー photo:Satoru.Kato第5ステージ バレンシア市内に戻ってきたメイン集団は縦に長く伸びる第5ステージ バレンシア市内に戻ってきたメイン集団は縦に長く伸びる photo:Satoru.Kato大会最終日の第5ステージは、バレンシア州の州都・バレンシア市をスタートして途中3級山岳をクリアし、バレンシア市に戻る設定。最後は市内中心部に設定された2.2kmの周回コースを回ってゴールする。当初、周回コースを10周する事になっていたが5周に変更となり、レース距離も120.6㎞から105.7㎞に短縮された。

バレンシア市内をパレードしてスタートしたレースは、序盤からハイスピードの時間が長く続いた。第4ステージまでの展開と違い、集団から遅れる選手が続出。キナンサイクリングチームの中西重智と阿曽圭佑も遅れ、残念ながら途中リタイアに追い込まれた。

バレンシア市内の周回コースに戻ってきたメイン集団では最後の勝負が始まり、縦長に伸びる集団の仲から数名が飛び出しを試みるも即座に捕まる。その中、最後に単独で飛び出したステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、エティックス・クイックステップ)が逃げきって最終ステージを制した。リーダージャージのポエルスはメイン集団内でゴールして個人総合優勝を決め、チームスカイも団体総合優勝。終わってみれば、チームスカイの総合力を見せつける大会となった。

第5ステージ 個人総合優勝と団体総合優勝を決めたチームスカイ第5ステージ 個人総合優勝と団体総合優勝を決めたチームスカイ photo:Satoru.Kato
平均スピードが47㎞/hオーバーという高速レースに、キナンサイクリングチームはガルシアとクロフォードの2人が、約1分遅れのグルペットでゴール。サルツバーガー、伊丹、野中が完走扱いとなった。

キナンサイクリングチームの闘ったボルタ・ア・バレンシアナについては、改めてレポートする。



ボルタ・ア・バレンシアナ2016結果
個人総合成績

1位 ワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ)    14時間15分51秒
2位 ルイス・レオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)      +46秒
3位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、チームスカイ)     +56秒
4位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)         +1分1秒
5位 ハビエル・モレーノ(スペイン、モビスター)        +1分10秒
6位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)           +1分26秒
53位 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム)    +6分28秒
70位 マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)        +10分19秒
118位 ウェズリー・サルツバーガー(オーストラリア、キナンサイクリングチーム)+22分06秒
177位 伊丹健治(キナンサイクリングチーム)                 +45分15秒
178位 野中竜馬(キナンサイクリングチーム)                  +46分8秒
DNF 阿曽圭佑(キナンサイクリングチーム) 
DNF 中西重智(キナンサイクリングチーム)

チーム総合成績
1位 チームスカイ             42時間50分7秒
2位 アスタナ                   +59秒
3位 モビスターチーム              +1分00秒
4位 エティックス・クイックステップ       +3分16秒
5位 キャノンデールプロサイクリング        +4分6秒
6位 カハルラル                 +5分58秒
21位 キナンサイクリングチーム         +26分39秒

text&photo:Satoru.Kato