UCI(国際自転車競技連盟)は、2月5日、エドゥアルト・ヴォルガノフ(ロシア、カチューシャ)のサンプルから禁止薬物メルドニウムの陽性反応が検出されたと発表した。12ヶ月のうちに2件目の陽性となったカチューシャには最長で45日間にわたってレース出場停止処分が与えられる可能性がある。



エドゥアルト・ヴォルガノフ(ロシア、カチューシャ)エドゥアルト・ヴォルガノフ(ロシア、カチューシャ) photo:Tim de WaeleUCIのプレスリリースによると、2016年1月14日に行われたレース外コントロールで採取されたヴォルガノフのサンプルから禁止薬物メルドニウムの「違反が疑われる分析報告(AAF)」が出た。メルドニウムはホルモン調節薬および代謝調節薬に分類され、体液性免疫の活性化や心臓保護の効果がある。2016年1月1日にWADA(世界アンチドーピング機構の)禁止薬物リストに加えられたばかりだ。

エドゥアルト・ヴォルガノフ(ロシア、カチューシャ)エドゥアルト・ヴォルガノフ(ロシア、カチューシャ) photo:Kei Tsujiヴォルガノフは2010年にシャコベオ・ガリシアからカチューシャに移籍した33歳のロシア人選手で、2012年にロシアのナショナルチャンピオンに輝いている。これまでグランツールに通算12回出場し、2012年のツール・ド・フランスで総合19位。2月3日開幕のボルタ・ア・バレンシアナでシーズンインしたが、今回のドーピング陽性の一報を受けて2月6日にリタイアしている。

UCIアンチドーピング規程によって暫定的な出場停止状態におかれているヴォルガノフはBサンプルの再検査を要請する権利を有している。

カチューシャは禁止薬物メルドニウムがチームから処方されたものではなく、ヴォルガノフがチームの許可なく摂取したものであると主張。その行為自体がチームの内規に反するものであるとして調査を行うとプレスリリースの中で発表している。

また、UCIアンチドーピング規程によると、12ヶ月間に同じチームから2人のドーピング違反者が出た場合、チームには15日から45日間の出場停止処分を与えられる。2015年7月にはルーカ・パオリーニのコカイン陽性が発覚しており、チームの出場停止処分は免れない見通しだ。

UCIアンチドーピング規程によって過去にはアンドローニジョカトリが30日間の出場停止処分を受けている。2015年6月14日のドーピング検査でEPOの陽性が判明したダヴィデ・アッポローニオに続いて、同6月16日のドーピング検査でファビオ・タボーレが禁止薬物FG-4592の陽性に。チームは2015年8月1日から30日までの30日間、すべてのレース活動を停止した。

UCIは懲罰委員会が近日中にチームの処分を発表するとしている。開幕迫るツアー・オブ・カタールやツアー・オブ・オマーンばかりでなく、ブエルタ・ア・ムルシア、ヴォルタ・アン・アルガルヴェ、パリ〜ニース、ティレーノ〜アドリアティコ、そしてクラシックレースへの出場にも影響が及ぶ可能性がある。

text:Kei Tsuji