6つのカテゴリー山岳を含む難関コースで逃げグループの中からファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)がアタック。独走に持ち込んだ「スパルタクス」がシーズン初勝利を飾った。



マヨルカ島北部の山岳地帯を走るマヨルカ島北部の山岳地帯を走る photo:Bettini Photo
独走に持ち込んだファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)独走に持ち込んだファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード) photo:Bettini Photo


チャレンジマヨルカ3日目のトロフェオ・セッラデトラムンターナは、マヨルカ島北部に広がる山岳地帯を走る。全長143kmのコースは文字通りアップダウンの繰り返しで、標高935mの2級山岳プイグマヨールを含む合計6つのカテゴリー山岳が登場する。マヨルカ4日間の中で最も難易度が高く、1日の獲得標高差は2900m。

このクライマーたちの晴れ舞台で、レース中盤に形成された23名の逃げにカンチェラーラが入った。メイン集団とのタイム差をキープしながら最大の難所である2級山岳プイグマヨールに差し掛かるとダイェル・キンタナ(コロンビア、モビスター)やルイス・フェルファーク(ベルギー、ロット・ソウダル)らが動いたものの決まらず、頂上通過後にカンチェラーラがアタック。下り区間で独走モードに入ったカンチェラーラは、その後のアップダウンでもリードを失わなかった。

「逃げ切りのチャンスに疑問があったので、最初は逃げに乗る予定ではなかった。でも力を温存しながらアタックに反応しているうちに、最後の山岳(2級山岳プイグマヨール)も問題なくクリア。アラン(ギャロパン監督)の指示で下りを全開で攻めたんだ。その結果、下り切った時点で45秒リード。そこからフィニッシュラインまで踏み抜いた」というカンチェラーラが独走でフィニッシュした。17秒後方の追走グループの先頭を取ったミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)は2日連続の2位。



独走でフィニッシュするファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)独走でフィニッシュするファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード) photo:Bettini Photo
シーズン初勝利を飾ったファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)シーズン初勝利を飾ったファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード) photo:Challenge Mallorca


チームとして今シーズン2勝目を飾ったトレック・セガフレードのアラン・ギャロパン監督は「正直言ってファビアンの勝利は想定外だ」と驚く。「でも実際のレースは想定とは違うもの。朝のミーティングでも臨機応変に戦うことで一致していた。今日の残り25kmのうち16kmが下りというプロフィールがファビアンのやる気につながった。ファビアンの好調さはトレーニングキャンプの時点で明らかだったし、その強さを見せつけてくれた」。

クラシックレースとツール・ド・フランスに照準を合わし、キャリア最後のシーズンをスタートさせたカンチェラーラがシーズン初戦で好調ぶりをアピール。次戦はドバイツアー(2月3日〜6日)が予定されている。「今年のマヨルカは好天続きなので、例年よりもハードなレースが続いている。今日は休む暇のないほど1日中ずっと全開だった。チームの戦略とは違う結果になったものの、ストーリーブックに刻まれるのはいつもそんな勝利だ。この勝利と今のコンディションにはとても満足している。リラックスしてドバイに向かうよ」(トレック・セガフレード公式サイトより)



チャレンジマヨルカ2016トロフェオ・セッラデトラムンターナ結果
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)        3h41’48”
2位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)            +17”
3位 ティエシー・ベノート(ベルギー、ロット・ソウダル)
4位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)
5位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
6位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ)
7位 マキシム・ブエ(フランス、エティックス・クイックステップ)
8位 セルジュ・パウエルス(ベルギー、ディメンションデータ)
9位 ポール・ヴォス(ドイツ、ボーラ・アルゴン18)
10位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)

text:Kei Tsuji
photo:Bettini Photo

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