地元の温かいバックアップを得て、京都府南丹市美山町の大野ダムで行われた関西シクロクロス第2戦。雨によって泥に覆われたコースで、脚の怪我から復活した沢田時(ブリヂストンアンカー)が勝利を収めた。



パターゴルフ場の木々が色づくパターゴルフ場の木々が色づく photo:Kei Tsuji
選手たちを苦しめた泥コース選手たちを苦しめた泥コース photo:Kei Tsujiパターゴルフ場を流れる小川が堰き止められて洗車場にパターゴルフ場を流れる小川が堰き止められて洗車場に photo:Kei Tsuji


地元の方々が用意したおでんや柚子を使ったカレーライス地元の方々が用意したおでんや柚子を使ったカレーライス photo:Kei Tsuji今やサイクリストにとってはお馴染みの「聖地」となった京都府の美山町が関西シクロクロスに登場。美山ロードレースのスタート地点である南丹市美山支所の西8kmに位置する大野ダムの湖畔で同シリーズ第2戦が開催された。

C1 序盤にレースをリードする伊澤優大(岩井商会RACING)C1 序盤にレースをリードする伊澤優大(岩井商会RACING) photo:Kei Tsuji色づく木々に覆われたパターゴルフ場と隣接する山間部がレースの舞台。地元向山地区の誘致によってレース開催が実現した。

C1 乗車で泥の登りをクリアする沢田時(ブリヂストンアンカー)C1 乗車で泥の登りをクリアする沢田時(ブリヂストンアンカー) photo:Kei Tsuji「お客さんが減ってしまったパターゴルフ場を有効活用したいという声を向山地区からいただき、全面的な協力を得てレースを開催することになりました」と話すのは関西シクロクロスのオーガナイザー矢野淳さん。

C1 先頭の2名を追う中井路雅(京都産業大学)C1 先頭の2名を追う中井路雅(京都産業大学) photo:Kei Tsuji美山ではすでに美山ロードレースや美山サイクルグリーンツアーなどのイベントが開催されており、シクロクロスを美山第3の自転車イベントとして定着させたい考えだ。「数ヶ月前から地元の方々に草刈りをしていただき、コース設営の際には重機を入れていただきました。山側のエリアは普段から練習の場として活用していただきたいと言われています。継続的に開催してほしいという声をいただいており、レースだけでなくスクールの場所として使っていきたいと思っています」。

C1 独走態勢に入る沢田時(ブリヂストンアンカー)C1 独走態勢に入る沢田時(ブリヂストンアンカー) photo:Kei Tsuji初開催のウィークポイントとして駐車場がレース会場から1kmほど離れていることが挙げられたものの、地元の方々によるマイクロバスやトラックのピストン輸送で参加者や荷物の移動が容易に。会場では特産品の柚子を使ったカレーライスや温かいおでん、回転焼きが販売され、地元の暖かい歓迎の中でレースは開催された。なお、来年の開催に向けて会場の一部の林を切り開き、参加者の駐車場として整備する予定だという。

時間の経過とともに泥の質が変わっていく時間の経過とともに泥の質が変わっていく photo:Kei Tsuji前夜から降り続いた雨によってコースは泥々。レースの進行とともに泥の粘性が変わる難しいマッドコンディションの中、伊澤優大(岩井商会RACING)が1周目からC1レースをリードする展開。脚の故障によって第1戦をパスしたため後方スタートとなった沢田時(ブリヂストンアンカー)が2周目に伊澤に追いついた。

やがて先頭を奪った沢田だったが、泥コーナーでのミスが重なって伊澤に先行を許してしまう。再度伊澤を抜いたものの、思うようにリードを広げることが出来ない沢田は「身体に余裕はあったんですが、まだシクロクロスバイクに乗り慣れていないこともあり、ミスが多く出てしまいました。後ろを引き離そうと頑張りすぎるともっとミスが増えてしまうと思い、淡々と走った」と振り返る。

後方ではロードレースU23全日本チャンピオンの中井路雅(京都産業大学)が勢いよく追い上げて3番手に浮上したもののメカトラによって後退する。代わって村田憲治(tacurino.net)と松木健治((有)村上建具)が表彰台を争う展開に。

沢田は先頭を守りながらも最後まで決定的なリードを築けず、伊澤に対して4秒差でフィニッシュ。今シーズンMTB全日本選手権U23で3連覇を達成した21歳が苦しみながらも白星でシクロクロスシーズンをスタートさせた。

泥のついた顔で沢田はレースを振り返る。「泥コースは久しぶりだったので良い練習になりました。シクロクロスはMTB以上にパワーとテクニックの両立が大切で難しい。泥への対応などまだクロス慣れしていない部分がありましたが、身体の状態が良いことは確認出来ました」。

「あくまでも目標は全日本選手権なので、残りの1ヶ月間徐々に上げていければいいと思っています」と沢田。シクロクロス全日本選手権は12月6日に長野県飯山市運動公園で開催予定だ。

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C1 テクニカルな泥のダウンヒルに差し掛かる沢田時(ブリヂストンアンカー)C1 テクニカルな泥のダウンヒルに差し掛かる沢田時(ブリヂストンアンカー) photo:Kei Tsuji
C1 村田憲治(tacurino.net)C1 村田憲治(tacurino.net) photo:Kei TsujiC1 メカトラで後退する中井路雅(京都産業大学)C1 メカトラで後退する中井路雅(京都産業大学) photo:Kei Tsuji
CL1 先頭を走る宮内佐季子(Club La.sista Offroad Team)CL1 先頭を走る宮内佐季子(Club La.sista Offroad Team) photo:Kei TsujiCM1 後続を1分以上引き離した筧五郎CM1 後続を1分以上引き離した筧五郎 photo:Kei Tsuji
C2 1周目から独走する田口純也(662CCC)C2 1周目から独走する田口純也(662CCC) photo:Kei Tsuji


関西シクロクロス2015-2016第2戦大野ダム結果
C1
1位 沢田時(ブリヂストンアンカー)1:03:06
2位 伊澤優大(岩井商会RACING)+0:04
3位 村田憲治(tacurino.net)+3:00
4位 松木健治((有)村上建具)+3:06
5位 菅原成典(662-496部)+3:15
6位 大渕宏紀(DECOJARACINGTEAM)+3:27
7位 岡将行(TonicCXTeamJapan)+3:28
8位 川村誠(スクミズマシンワークス)+4:27
9位 木村吉秀(JPSTMASSAANDEX)+4:29
10位 久保伸次(岩井商会RACING)+4:41

CM1
1位 筧五郎 35:02
2位 石田純之(美山CC)+1:07
3位 大河内二郎(シルクロード)+1:30

CL1
1位 宮内佐季子(Club La.sista Offroad Team)29:55
2位 上田順子(ダム部)+1:51
3位 高田由貴 +2:49

C2
1位 田口純也(662CCC)38:13
2位 森峰明(京都MTB朝ライド)+0:24
3位 熊崎雄太(R2 SPORTS CYCLINGTEAM)+0:55

CM2
1位 國分圭二(Mt.HASE321)33:53
2位 榊原延征(きゅうべえsports)+0:21
3位 小澤隆(Team Speed)+2:19

CL2
1位 江嶋綾 32:07 7%
2位 川崎麻美(バルバクラブフクイ)+0:55
3位 石田唯(美山CC)+1:52

C3
1位 小森誠司(岩井商会RACING)32:19
2位 北尾宜久 +1:50
3位 徳田鍛造(CCT p/b ChampionSystem ひだまりの家)+2:15

U17
1位 妻木祥太郎(RINGO ROAD)34:16

CM3A
1位 松本功二(チームBMレーシング関西支部)28:16
2位 村田孝幸(本町クラブ)+1:01
3位 青木聡(自転車工房エコー)+1:34

CM3B
1位 杉村英太郎(きゅうべえsports)29:12
2位 衛藤将之自転車工房エコー)+0:46
3位 大上野宏幸(Team SONIC)+1:25

CL3
1位 藤本友理 14:27
2位 久木田紗代子(Teamスクアドラ)+0:21
3位 石田明梨 +1:32

C4A
1位 坂本章 26:35
2位 八木汰珠(Team スクアドラ)+1:06
3位 浅井孝文(神戸大学)+1:38

C4B
1位 明石岳志(京都産業大学)28:21
2位 金森透(バルバクラブタカオカ)+0:06
3位 伊藤政利(TADO BICYCLE TEAM)+0:11

U15
1位 古里翔 12:10 20%
2位 横野甫(Sonic Racing)+1:24
3位 堀池野吹(CHARGE CYCLING CLUB)+3:26

text&photo:Kei Tsuji