10月25日(日)、三重県四日市市で「第11回全国ジュニア自転車競技大会」が開催された。クラス分けの変更により、新たに全日本選手権の申込資格獲得大会となった「四日市ジュニア」をレポートする。



色づき始めた木々の中をいく男子ジュニアの集団色づき始めた木々の中をいく男子ジュニアの集団 photo:Satoru.Kato「弱虫ペダル」とのコラボレーションによる大会ポスター「弱虫ペダル」とのコラボレーションによる大会ポスター photo:Satoru.Kato未就学児クラスは補助輪付き自転車でも出場できる未就学児クラスは補助輪付き自転車でも出場できる photo:Satoru.Kato今年で11回目の開催となった通称「四日市ジュニア」。昨年の10周年の区切りを経て新たなスタートとなる今大会には、過去最多の678人がエントリー。北は北海道から南は沖縄まで全国から参加者が集まった。

今年はクラス分けに変更があった。これまで高校生、中学生という区切りで分けていたが、Aクラスは男女共にジュニア、アンダー17の年齢別のクラス分けとなった。これは全日本選手権の申込資格を獲得できる大会とするため、それに合わせたクラス分けにした事による。

今回のクラス分け変更には、2020年の東京オリンピックを控え、「四日市ジュニア」から全日本選手権、そして世界へという主催者の願いも込められている。この変更により、ジュニアには早生まれの大学生が、アンダー17には中学生が出場可能になった。一方で未登録の高校生や中学生が出場するBクラスと、小学生のB・Cクラス、未就学児のクラス分けは従来通り。

また、今年は話題のアニメ「劇場版・弱虫ペダル」とコラボレーション。弱虫ペダルのキャラクター達の大会ポスターが盛り上げにひと役かった。

コースは三重県四日市市西部の「鈴鹿山麓リサーチパーク」周辺に設定された1周9km。2004年のアジア選手権で使用されたコースの一部で、1周あたりの標高差は約100m。スタート地点から2km続く登りでコースの最高地点へ。その後は長い下りと細かいアップダウンを繰り返す構成だ。

この日は関東と近畿で木枯らし1号が吹き荒れた。四日市市のある三重県も前夜から冷たい強風が吹き荒れ、朝は12℃まで気温が下がった。日中は良く晴れて20℃近くまで上がったものの強い風はおさまらず、体感的にはやや寒い1日となった。

A-J 男子ジュニア 花田聖誠が単独逃げ切り勝ち

男子ジュニア 1周目から抜け出した3人男子ジュニア 1周目から抜け出した3人 photo:Satoru.Kato男子ジュニア 先行する3人を北桑田高校が中心となって追う男子ジュニア 先行する3人を北桑田高校が中心となって追う photo:Satoru.Kato109人がエントリーした男子ジュニアは10周90kmで争われた。1周目から花田聖誠(昭和第一学園高)、吉岡衛(奈良北高)、浜田大雅(藤井寺工科高)の3人が抜け出し、メイン集団に20秒の差をつけて先行する。2周目には30秒差まで開くものの、タイム差はそれ以上開く事なく4周目までに吸収される。その後何度かアタックがかかるものの、1周以上続く逃げは発生しないままレースは終盤へ。

9周目までに先頭集団に残ったのは30人弱。徳田匠(北桑田高)がペースアップし、集団がバラけた状態で最終周回の10周目に突入。徳田と吉岡の2人が若干先行し、登り区間で花田が2人に追いつく。そこから花田が単独でアタックすると、差は一気に20秒まで開く。

「逃げきれるか不安はあったけど、集団も牽制が入ってペースが落ちるだろうと思ってそのまま行く事にした。最後は向かい風がきつかったけど、逃げ切る事だけを考えて踏み続けた」と言う花田は、後続とのタイム差を維持したままホームストレートに。そして集団が背後に迫っていない事を何度か確認する余裕を見せてゴールした。

「今日はレース中盤までに逃げを決めるつもりでいた。1周目から3人の逃げが決まったので、そのまま行けると思っていた。でも吸収されてしまったので、ラスト2周か1周で決めようと切り替えた」と、花田はこの日の戦略を振り返る。「レース序盤から吉岡選手と徳田選手と自分でペースをつくっていった。単独参戦の自分が勝てたのは彼等のおかげ」と、ライバルへの敬意を忘れない。

男子ジュニア 単独でゴールする花田聖誠(昭和第一学園高)男子ジュニア 単独でゴールする花田聖誠(昭和第一学園高) photo:Satoru.Kato
男子ジュニア 3位争いのスプリント男子ジュニア 3位争いのスプリント photo:Satoru.Kato「今高校2年生なので、もう1年ジュニアがある。JCFの強化指定選手にもなれたので、インターハイや全日本選手権、ネイションズカップで勝てるようになりたい」と、今後の抱負を語った。

A-J 男子ジュニア 90km 結果
1位 花田聖誠(昭和第一学園高) 2時間22分42秒
2位 溝口智貴(北桑田高) +12秒
3位 大前翔(慶應義塾高) +16秒
4位 徳田匠(北桑田高)
5位 吉田衛(奈良北高)
6位 平林楓輝(松山聖陵高) +17秒



A-Y 男子アンダー17 4/100秒差のスプリント勝負を蠣崎優仁が制する

男子アンダー17 スタート男子アンダー17 スタート photo:Satoru.Kato男子アンダー17 10秒以上の差がつく逃げが出来ないままレースは進行男子アンダー17 10秒以上の差がつく逃げが出来ないままレースは進行 photo:Satoru.Kato

男子アンダー17 ライン上ハンドルの投げ合いは、わずかに蠣崎優仁(伊豆総合高)が先着男子アンダー17 ライン上ハンドルの投げ合いは、わずかに蠣崎優仁(伊豆総合高)が先着 photo:Satoru.Kato
163人がエントリーした男子アンダー17は6周54km。強風の中、逃げが決まりづらい状況ながらも集団の人数は減りながらレースは進行。最終周回までに残った14人ほどで最後のスプリント勝負に。日野泰静(小松中学)が先行するも、蠣崎優仁(伊豆総合高)が並びかけ、ゴールライン上でハンドルを投げ合う。

「ゴールの瞬間、前輪が浮いてしまった」と言う日野に対し、「僅差だったので勝てたとは思わなかった」と言う蠣崎。結果は0.04秒差で蠣崎が先着していた。

男子アンダー17 表彰 上位3人男子アンダー17 表彰 上位3人 photo:Satoru.Kato「ゴール後の検車場で優勝した事を知らされた。ゴール前は傾斜が一度緩くなるので、1段重いギアでスプリントに入った。そのおかげで最後に伸びてくれた」と、勝因を語った。

A-Y 男子アンダー17 54km 結果
1位 蠣崎優仁(伊豆総合高) 1時間24分35秒
2位 日野泰静(小松中) +00秒
3位 井手口滝吾(南大隅高)
4位 平林飛都(松山聖陵高)
5位 西原裕太郎(榛生昇陽高) +1秒
6位 三好憲士郎(榛生昇陽高)



A-F 女子ジュニア+女子アンダー17  下山美寿々が残り2周を逃げ切り勝ち

女子 スタート女子 スタート photo:Satoru.Kato女子 レース序盤から積極的に動いた野寺楓(伊豆総合高)女子 レース序盤から積極的に動いた野寺楓(伊豆総合高) photo:Satoru.Kato

女子 残り2周を逃げ切ってゴールする下山美寿々(大阪教大附天王寺高)女子 残り2周を逃げ切ってゴールする下山美寿々(大阪教大附天王寺高) photo:Satoru.Katophoto:Satoru.Kato
19人がエントリーした女子ジュニア+女子アンダー17は4周36km。3周目に単独で抜け出した下山美寿々(大阪教大附天王寺高)が30秒差をつけて最終周回へ。後続は差を詰めることができず、下山は最終的に2位に1分以上の大差をつけて優勝した。

A-F 女子ジュニア+女子アンダー17 36km 結果
1位 下山美寿々(大阪教大附天王寺高) 1時間5分53秒
2位 野寺楓(伊豆総合高) +1分9秒
3位 川嶋百香(三重・川越高)
4位 長石悠里(倉吉西高) +1分10秒
5位 菅原朱音(倉吉総合産高) +1分11秒
6位 平尾愛菜(星和中)+1分12秒

A-F 女子アンダー17 結果
1位 下山美寿々(大阪教大附天王寺高)
2位 長石悠里(倉吉西高)
3位 平尾愛菜(星和中)



その他カテゴリーの結果

B-9 高校生男子 優勝した森崎英登(愛知産大工高)B-9 高校生男子 優勝した森崎英登(愛知産大工高) photo:Satoru.KatoB-10 高校生女子 松井香菜乃(都城工高)が優勝B-10 高校生女子 松井香菜乃(都城工高)が優勝 photo:Satoru.Kato

B-7 中学生男子 表彰B-7 中学生男子 表彰 photo:Satoru.KatoB-8中学生女子 表彰B-8中学生女子 表彰 photo:Satoru.Kato


B-7 中学生男子 36km
1位 高木英行(高槻中) 1時間0分50秒
2位 林祐作(名古屋中) +00秒
3位 津田悠義(守山中)
4位 柳澤創(遠刈田中) +1秒
5位 道見優太(江井島中)
6位 高梨万里王(富士根南中)

B-8 中学生女子 18km
1位 渡部春雅(はるひ野中) 33分21秒
2位 村場里咲(鹿児島大附中) +2秒
3位 畑昭音(岸本中) +43秒
4位 太郎田水桜(東京成徳大学中) +1分11秒
5位 石上夢乃(釜利谷中)  +1分32秒
6位 奥居美音(港南中) +2分24秒


B-9 高校生男子 36km
1位 森崎英登(愛知産大工高) 1時間1分19秒
2位 大澤昌輝(東海工専熱田校) +1秒
3位 前田陵(小野田高)
4位 西川徹(東海工専熱田校)
5位 近藤大稀(中部大第一高)
6位 河野史瑛呂(衣台高) +2秒

B-10 高校生女子 27km
1位 松井香菜乃(都城工高) 1時間0分53秒
2位 早川有華(暁高) +1LAP


text&photo:Satoru.Kato

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