世界最大のバイクショー「EUROBIKE(ユーロバイク)」より、現地取材で見つけた数々のプロダクトの中からニューモデル&面白いアイテムを続々とピックアップして紹介していきます。第8弾ではキャニオン、オープンサイクル、セラミックスピード、デダ・エレメンティの4ブランドをピックアップします。



キャニオン(ドイツ)

ナイロ・キンタナ(モビスター)がツール最終ステージで駆ったマイヨブランカラーのULTIMATE CF SLXナイロ・キンタナ(モビスター)がツール最終ステージで駆ったマイヨブランカラーのULTIMATE CF SLX
アレクサンダー・クリストフ(カチューシャ)が駆るAEROAD CF SLXアレクサンダー・クリストフ(カチューシャ)が駆るAEROAD CF SLX 新型トライアスロンバイクSpeedmax CF SLXのプロトタイプ新型トライアスロンバイクSpeedmax CF SLXのプロトタイプ


世界各国の輸入代理店を主な対象とするユーロバイクにあって、エンドユーザー直販ながら毎年精力的にブース出展を行うキャニオン。新モデルに加え、ナイロ・キンタナ(モビスター)やアレクサンダー・クリストフ(カチューシャ)らの実車や近未来的なプロトタイプを展示し、今年も多くの来場者を集めた。

数多くの興味深い展示の中で、最も注目を集めていたプロダクトの1つが「ULTIMATE CF SLX」のディスクブレーキバージョンだ。現在はこのオフシーズンからカチューシャやモビスターによってテストされる前の段階にあるという。前後共にDTスイスと共同開発したスルーアクスルを採用しており、レバー部分が取り外し可能。「大柄で体重のあるライダーにも対応できる様に」とローター径は前後とも160mmとしているが、最終的には今後定まっていくであろう標準規格にあわせるとしている。

ULTIMATE CF SLXのディスクブレーキバージョン。現在開発中のプロトタイプだULTIMATE CF SLXのディスクブレーキバージョン。現在開発中のプロトタイプだ
2006年に試作機として作成したULTIMATEのディスクブレーキ仕様2006年に試作機として作成したULTIMATEのディスクブレーキ仕様
エンジニアのマイケル・アドマイト氏エンジニアのマイケル・アドマイト氏 ねじれ剛性を考慮しフロントには2枚のローターを装備ねじれ剛性を考慮しフロントには2枚のローターを装備


その横に展示されていたのは、2006年に試作機として作成した「ULTIMATE」のディスクブレーキ仕様だ。驚くべきことにフロントはなんと両側にスプロケットと同程度の直径のローターとキャリパーがアッセンブルされている。これはハブにかかる左右のねじれ荷重を均等化するもので、スルーアクスルが無かった時代における最善の解決策だったとしている。

またブレーキは油圧で駆動させており、当時は対応するレバーが無かったことからキャニオンが自社内で試作したものが取り付けられていた。シュモルケのハンドルなど軽量パーツを装備しているものの、UCIレギュレーションの最低重量であり6.9kgに仕上げられている。

ソニーと共同開発中のスマホ連携型サイクルコンピューターソニーと共同開発中のスマホ連携型サイクルコンピューター ダウンチューブ内に搭載されたMRSCコネクテッドの発信機ダウンチューブ内に搭載されたMRSCコネクテッドの発信機


4.85kgをマークした超軽量なULTIMATE CF EVO4.85kgをマークした超軽量なULTIMATE CF EVO
THMのブレーキなど軽量パーツをふんだんに使用THMのブレーキなど軽量パーツをふんだんに使用 バイクアヘッドの軽量バトンホイールで武装した新型クロカンバイクEXCEED CF SLXの超軽量仕様バイクアヘッドの軽量バトンホイールで武装した新型クロカンバイクEXCEED CF SLXの超軽量仕様


プロトタイプでもう一つトピックスなのが、ソニーと共同開発中のサイクルコンピューターだ。これはAndroid OSに標準搭載のAndroid Wear機能を利用し、様々なAppと連携することができるというもの。例えばSTRAVAのスマホ用アプリをサイクルコンピューターとして使用でき、マップナビゲーションアプリなども利用可能。ハード面ではステムキャップとモニターが一体化したスマートなルックスも特徴である。もし製品化されれば、ほぼ寡占状態にあるといっても過言ではないサイクルコンピューター市場に大きな風穴を開けることになるかもしれない。

その他、独テレコム社と共同開発を行うモニタリング機能「MRSCコネクテッド」の最新版や、先日正式発表となった新型トライアスロンバイク「Speedmax CF SLX」のプロトタイプも。新製品ではエアロ性能を強化したオールラウンドロード「ULTIMATE CF SLX」や軽さを追求したハードテールXC「EXCEED CF SLX」をアピール。両バイクにラインアップされる、ドイツ製カーボンパーツで武装した軽量モデルも大きな話題となっていた。



オープンサイクル

MTBタイヤが装着可能なグラベルロード「UP」MTBタイヤが装着可能なグラベルロード「UP」
超軽量ハードテールXCバイクのHARDTAIL O-1.0超軽量ハードテールXCバイクのHARDTAIL O-1.0 サーヴェロを興したエンジニアのジェラルド・ヴルーメンが共同創業者の一人を務めるMTBフレームブランド「オープンサイクル」。処女作である超軽量ハードテールXC「HARDTAIL O-1.0」に次ぐ4年ぶりの2作目としてグラベルロード「UP」が登場した。

シクロクロスバイクよりもワイドなタイヤを装着可能とした「グラベルロード」は今回のユーロバイクで多く発表されたが、「UP」は27.5インチのXC用タイヤに対応する超ワイドなクリアランスを持つ。サーヴェロから続くレーシングバイクブランドというイメージとは真逆の、正しく楽しさに原点回帰した1台だ。このユニークなアイデアで、ユーロバイクアワードを獲得している。



セラミックスピード(デンマーク)

上下共に17Tのプーリーを採用し摩擦抵抗の低減を図ったOPWSシステム上下共に17Tのプーリーを採用し摩擦抵抗の低減を図ったOPWSシステム
独自のコーティングと表面処理によって最大5Wもの摩擦抵抗低減に成功したUFOチェーン独自のコーティングと表面処理によって最大5Wもの摩擦抵抗低減に成功したUFOチェーン 3Dプリンターで成型した中空チタン製プーリー3Dプリンターで成型した中空チタン製プーリー


セラミックスピードは、ベアリング以外の駆動摩擦抵抗低減パーツの第2段として「OPWS」というプーリーゲージを発表。上下のプーリーを共に17Tとすることで、プーリーが発生する摩擦抵抗の60%を、そして出力を2.4W以上低減するとしている。開発に際してはプーリーの歯数を15T~17Tの間で変えながら最も摩擦抵抗の低くなる歯数を調査し、結果17Tに行き着いたという。ケージ自体はアルミ製で総重量は55.4gと軽量に仕上げられている。この他にも3Dプリンターで成型した中空チタン製プーリーや、独自のコーティングと表面処理によって最大5Wもの摩擦抵抗低減に成功した「UFOチェーン」も展示されていた。



デダ・エレメンティ(イタリア)

ロード用ハンドル/ステムの新たなトップレンジSUPERZEROロード用ハンドル/ステムの新たなトップレンジSUPERZERO
ドロップ部は同社定番のエルゴノミック形状であるRHMを採用ドロップ部は同社定番のエルゴノミック形状であるRHMを採用 ステムはアルミ製で、130gをマークステムはアルミ製で、130gをマーク


デダ・エレメンティからはロード用ハンドル/ステムの新たなトップレンジ「SUPERZERO」シリーズが登場。カーボン製のハンドルは昨今のエアロロードにあわせ、フラット部分をエアロ形状とし、内蔵ケーブルルーティングを採用。ドロップ部は同社定番のエルゴノミック形状であるRHMとしている。アルミ製ステムはこれまでのリバーシブルデザインを廃し、ボディは逆三角形断面とされた。それぞれ重量は230gと130gだ。

サメ肌の様な表面の構造によって優れたグリップ力を実現したSqualoバーテープサメ肌の様な表面の構造によって優れたグリップ力を実現したSqualoバーテープ 国内未展開のホイール群国内未展開のホイール群

ブースの床に敷かれたバーテープ編みのクロスブースの床に敷かれたバーテープ編みのクロス 裏面に磁石を配したトップキャップ替わりのステアリングコラムカバー裏面に磁石を配したトップキャップ替わりのステアリングコラムカバー


そして、近年はアクセサリーも充実のデダ・エレメンティ。新型バーテープ「Squalo」は、イタリア語でサメという意味のネーミングの通り、サメ肌の様な表面の構造によって優れたグリップ力を実現。この他にもトップキャップ替わりのステアリングコラムカバーや、国内未展開のホイールなども展示されていた。



text&photo:Yuya.Yamamoto