黒いナショナルジャージに黒塗りバイクという黒ずくめのリンダ・ヴィルムセン(ニュージーランド)が初めて虹色ジャージを獲得。トップ10入りを目指していた與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)はトップと2分10秒差の18位でレースを終えた。



トップと2分10秒差の18位 與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)トップと2分10秒差の18位 與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) photo:Kei Tsuji
與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)スタート4秒前與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)スタート4秒前 photo:Kei Tsujiコーナーに進入する與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)コーナーに進入する與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) photo:Kei Tsuji


トップタイムで優勝したリンダ・ヴィルムセン(ニュージーランド)トップタイムで優勝したリンダ・ヴィルムセン(ニュージーランド) photo:Tim de Waeleリッチモンドの15km周回コースを2周するレイアウトは前日のU23男子と共通。前日に引き続き北風がコンスタントに吹き、ジェームズ川にかかる橋の区間は往路が追い風、復路が向かい風というコンディション。「行きは50km/hで、帰りは30km/hしか出なかった」と與那嶺が語るほど。

2位・2秒差 アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)2位・2秒差 アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ) photo:Kei Tsuji33カ国から集まった44名の選手達は、周回コースを2周する関係で4組に分かれてスタート。ハワイのマウイ島で1ヶ月のトレーニングを行い、1週間前に現地入りした與那嶺は3組目にスタートした。

與那嶺は1周目を21分11秒で終えたが、2周目はタイムを落として21分29秒。フィニッシュタイムは42分40秒で、30名がフィニッシュした時点で暫定7位につけた(平均スピードは42.043km/h)。

スタートしていくリサ・ブレナウアー(ドイツ)スタートしていくリサ・ブレナウアー(ドイツ) photo:Kei Tsuji4組目のトップライダーがトップタイムを更新し続けたため、最終的に與那嶺は2分10秒遅れの18位という結果に。リオ五輪の出場権が懸かったトップ10入りに向けて準備を整えていた與那嶺は「トップに及ばなかった。全然ダメでした」と結果を受け止める。

4位・9秒差 カトリン・ガーフート(オーストラリア)4位・9秒差 カトリン・ガーフート(オーストラリア) photo:Kei Tsuji「自分の力は出し切ったんですが、順位や実際の走りを見て、トップ10の選手達は格が違うと感じました。(体重の)約5.5倍のワットは出ていたし、去年よりもパワーは伸びているんですが、TTバイクでのコーナリングスキルを含めて(格の違いを)突きつけられた感じがします。自分も成長したものの、周りがもう一段階レベルアップしていた」と與那嶺。 目標レースを終えた今、気持ちを切り替えて4日後のロードレースに挑む。

5位・20秒差 クリスティン・アームストロング(アメリカ)5位・20秒差 クリスティン・アームストロング(アメリカ) photo:Kei Tsuji暫定トップのホットシートに座ったのは、2番手スタートの42歳クリスティン・アームストロング(アメリカ)だった。地元アメリカの大ベテランが長時間にわたってトップタイムを維持したが、4組目の選手達にタイムを塗り替えられることに。

まずはリンダ・ヴィルムセン(ニュージーランド)が1周目完了時でアームストロングのタイムを11秒更新。続いてアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)も肉薄するタイムを記録する。ディフェンディングチャンピオンのリサ・ブレナウアー(ドイツ)は1周目を6位のタイムで終えたが、後半に盛り返した。

ヴィルムセンは2周目後半にかけてタイムを落としたものの、堂々の40分29秒でトップタイムを更新。後半に追い込んだファンデルブレッヘンは2.5秒届かず、誰よりも速いタイムで2周目を駆け抜けた最終走者ブレナウアーも5.2秒届かなかった。2009年から5年連続で表彰台に上りながらも勝利が届いていなかったヴィルムセンが初勝利を飾った。

普段はユナイテッドヘルスケアで走る30歳のヴィルムセン。デンマーク生まれだが2009年にニュージーランドに帰化。2010年からニュージーランド籍で走っている。

「もう2位や3位、4位、5位はこりごり。今日は全てが自分の思い通りに進んだ。中間計測のタイムは知らされていなかったけど、1周目を終えた時点でチャンスはあると思っていた。ただただ全力を出しただけ。今日は私の日だった」。念願のアルカンシェルを獲得したヴィルムセンはレース後の記者会見で満足の表情を浮かべた。



6位・26秒差 イヴリン・スティーヴンス(アメリカ)6位・26秒差 イヴリン・スティーヴンス(アメリカ) photo:Kei Tsuji7位・53秒差 エレン・ファンダイク(オランダ)7位・53秒差 エレン・ファンダイク(オランダ) photo:Kei Tsuji
エリート女子TT表彰台 2位ファンデルブレッヘン(オランダ)、優勝ヴィルムセン(ニュージーランド)、3位ブレナウアー(ドイツ)エリート女子TT表彰台 2位ファンデルブレッヘン(オランダ)、優勝ヴィルムセン(ニュージーランド)、3位ブレナウアー(ドイツ) photo:Tim de Waele



UCIロード世界選手権2015タイムトライアル エリート女子結果
1位 リンダ・ヴィルムセン(ニュージーランド)     40’29”(Ave.44.299km/h)
2位 アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)      +02”
3位 リサ・ブレナウアー(ドイツ)            +05”
4位 カトリン・ガーフート(オーストラリア)       +09”
5位 クリスティン・アームストロング(アメリカ)     +20”
6位 イヴリン・スティーヴンス(アメリカ)        +26”
7位 エレン・ファンダイク(オランダ)          +53”
8位 アレーナ・アミアリウシク(ベラルーシ)      +1’06”
9位 アンソフィー・ダイク(ベルギー)         +1’19”
10位 トリキシ・ヴォラック(ドイツ)
18位 與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)        +2’10”

text&photo:Kei Tsuji in Richmond, United States of America

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