8月22日、スペイン南部アンダルシア州のプエルトバヌスで第70回ブエルタ・ア・エスパーニャが開幕する。暑さの残るアンダルシアからムルシア、バレンシアを駆ける第10ステージまで、つまりブエルタ前半戦のコースをチェックしておこう。



8月22日(土)第1ステージ
プエルトバヌス〜マルベーリャ 7.4km(チームTT) →コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2015第1ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2015第1ステージ image:Unipublic80年目、開催70回目を迎えるブエルタはアンダルシア州のプエルトバヌスで開幕する。初日は7.4kmのチームタイムトライアル。そこからイベリア半島を反時計回りに一周する長い旅路がスタートする。

まだ陽の高い18時40分(日の入りは21時02分)から4分間隔で合計22チームが7.4kmコースに駆け出す。マルベーリャを目指して海岸沿いを東に向かうコースは平坦そのもの。テクニックではなくパワーが求められるレイアウトだが、木製の桟橋や深い砂の区間があるとの情報も。西に沈む太陽の光を背中に浴びて、気温30度前後のオーシャンロードを行く。9名の中で5番目にフィニッシュした選手のタイムがチーム成績に反映され、トップタイムでステージ優勝を飾ったチームの先頭フィニッシャーにはマイヨロホが与えられる。



8月23日(日)第2ステージ
アラウリン・デ・ラ・トレ〜カミニート・デル・レイ 158.7km →コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2015第2ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2015第2ステージ image:Unipublicブエルタと言えばその山岳の険しさが有名だ。第70回大会も例外ではなく、大会2日目に早速カテゴリー3級の山頂フィニッシュが登場する。なお、3週間の大会の中で登場する9つの山頂フィニッシュはいずれもブエルタ初登場だ。

113km地点の3級山岳アルト・デ・アルダレスを高速で駆け上がった集団は、フレッシュなクライマーたちを先頭に最後の3級山岳カミニート・デル・レイにアタック。登坂距離4.7km/高低差310mの登坂が早速ビッグネームたちの脚を試す。ステージ優勝者がマイヨロホ(総合リーダー)、マイヨプントス(ポイント賞)、マイヨモンターニャ(山岳賞)、マイヨコンビナーダ(複合賞)を全て獲得してしまう可能性は十分にある。



8月24日(月)第3ステージ
ミハス〜マラガ 158.4km →コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2015第3ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2015第3ステージ image:Unipublic引き続きアンダルシア州を走る第3ステージは今大会最初の平坦コース。とは言っても序盤に3級山岳アルト・デ・ミハス、中盤に1級山岳プエルト・デル・レオンが設定されているあたりがブエルタらしい。標高925mのプエルト・デル・レオンは登坂距離16km/高低差835mで、登りの中盤にかけて勾配が最大15%まで上昇する。しかし仮にプエルト・デル・レオンでメイン集団から遅れたとしても、長い下りと長いオーシャンロードで集団復帰は可能だ。

プエルト・デル・レオンよりもスプリンターチームたちを悩ませるのは残り12kmを切ってから登場する高低差100mのほどの小高い丘だろう。登りで飛び出したアタッカーがスプリンターを振り切ってコスタ・デル・ソル(太陽海岸)の中心都市マラガにフィニッシュするかもしれない。



8月25日(火)第4ステージ
エステポナ〜ベヘール・デ・ラ・フロンテーラ 209.6km →コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2015第4ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2015第4ステージ image:Unipublic登場するカテゴリー山岳はゼロ。しかしそれがピュアスプリンター向きの平坦コースを意味しているかというと、残念ながら決してそうではない。イベリア半島の最南端に近く、2014年大会の開幕地を通過する第4ステージは熾烈なアタック合戦で締めくくられるかもしれない。

およそ205kmにわたる長い平坦路をこなした先に、カテゴリーの付いていない登りフィニッシュが待っている。残り4km地点から急にコースは上昇を開始する。残り2km地点までに高低差280mを駆け上がり、少し下って残り500mから再び登り勾配に。パワーで乗り切る軽量スプリンターやパンチャー、さらにはクライマーもステージ優勝争いに加わることになるだろう。



8月26日(水)第5ステージ
ロタ〜アルカラ・デ・グアダイラ 167.3km →コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2015第5ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2015第5ステージ image:Unipublic地中海の入り口として古くから栄えた港湾都市ロタからアンダルシア州の州都セビリアに向かう第5ステージ。スペイン第4の都市(人口70万人)の中心部に設置されたスプリントポイント通過後に、郊外のアルカラ・デ・グアダイラでフィニッシュを迎える。

平野を駆け抜ける167.3kmコースは起伏に乏しく、スプリンターチームが主導権を握ってレースを展開するだろう。最後は残り1kmを切ってから高低差40mを駆け上がる登りスプリント。ハイスピードを維持するタイプの重量級スプリンターではなく、レスポンスの良い加速力に秀でた軽量級スプリンターに有利だと言えるだろう。タイム差はつきにくいが、ステージ上位3名に与えられるボーナスタイム10秒、6秒、4秒によってマイヨロホは忙しく持ち主を変えるかもしれない。



8月27日(木)第6ステージ
コルドバ〜シエラ・デ・カソルラ 200.3km →コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2015第6ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2015第6ステージ image:Unipublic歴史地区が世界遺産に登録されているコルドバから東に向かってアンダルシア州の内陸部を行く1日。登場するカテゴリー山岳は2つの3級山岳だけだが、主催者は「平坦区間がなく、一日中アップダウンの繰り返し」と説明している。暑い丘陵地帯を走るコースは見た目以上にハードだ。

ステージ後半にかけてアップダウンが増し、最後は3級山岳シエラ・デ・カソルラの山頂フィニッシュ。残り3kmを切ってから高低差200m強を駆け上がり、10%前後の勾配を刻みながらフィニッシュラインに向かう。スプリンターの許容範囲を超えているため、総合系チームがステージ優勝に興味を示さなければ逃げ切りが決まる可能性も。



8月28日(金)第7ステージ
ホダル〜ラ・アルプハラ 191.1km →コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2015第7ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2015第7ステージ image:Unipublic第7ステージは今大会最初の本格的な標高のある山頂フィニッシュ。「雪の山脈」を意味するシエラネバダ山脈に位置する標高1565mの1級山岳アルト・デ・カピレイラをブエルタは初めて訪れる。

中盤に平坦区間を含むアルト・デ・カピレイラ(登坂距離18.7km/高低差945m)の実質的な平均勾配は5〜6%。残り2kmを切ってから登場する最大勾配14%の急勾配区間でビッグネームたちが仕掛けてくるはず。ブエルタ前半戦最大の山場であり、ここで総合争いから脱落する選手も出てくるだろう。グランツールでよく使われる「ここで総合を決めることはできないが、ここで総合を失う可能性はある」という表現がバッチリはまるステージだ。



8月29日(土)第8ステージ
プエブラ・デ・ドン・ファドリケ〜ムルシア 182.5km →コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2015第8ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2015第8ステージ image:Unipublic開幕から1週間にわたって走り続けたアンダルシア州を離れ、ブエルタはお隣のムルシア州に舞台を移す。前半から単調な下り基調の幹線道路が続き、133km地点でスペイン第7の都市ムルシアを一旦通過。そこから登坂距離4.2km/高低差315mの3級山岳アルト・デラ・クレスタ・デル・ガジョを含む周回コースを2周する。

2回目のアルト・デラ・クレスタ・デル・ガジョ通過はフィニッシュの17.3km手前。集団スプリントに持ち込まれる公算が高いが、登りで脱落するスプリンターも出てくるだろう。なお、アルト・デラ・クレスタ・デル・ガジョ&ムルシアの組み合わせは2010年大会の第6ステージでも登場しており、当時はトーム・フースホフト(ノルウェー)が優勝。フースホフトはその直後のロード世界選手権で優勝している。



8月30日(日)第9ステージ
トレビエハ〜クンブレ・デル・ソル/ベニタチェル 168.3km →コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2015第9ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2015第9ステージ image:Unipublicバレンシア州の地中海に沿った海岸線コスタ・ブランカをプロトンは進む。168.3kmコースの大半は平坦なオーシャンロード。しかし残り45kmを切ってから様相はガラッと変わる。まずは2級山岳アルト・デ・プイグジョレンカを駆け上がり、40km弱の平坦路とスプリントを経て再びアルト・デ・プイグジョレンカへ。2級山岳の頂上から左に逸れ、標高415mの1級山岳アルト・デ・プイグジョレンカでフィニッシュを迎える。

登坂距離4.1kmで高低差365mを駆け上がる1級山岳アルト・デ・プイグジョレンカは平均勾配が9%を超え、残り2km地点で19%の最大勾配ゾーンが登場。壁のような激坂区間を越え、そこから10%の勾配がフィニッシュラインまで続いている。激坂の名手たちがステージ優勝とマイヨロホ獲得を狙ってくるだろう。



8月31日(月)第10ステージ
バレンシア〜カステリョン 146.6km →コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2015第10ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2015第10ステージ image:Unipublic長い長い1週目はバレンシア州のカステリョンでようやく終わりを迎える。州都バレンシアを出発する146.6kmコースに登場するカテゴリー山岳は2つ。残り25km地点のスプリントポイント通過後すぐに始まる2級山岳アルト・デル・デシエルト・デ・ラス・パルマスが勝負のカギを握る。

登坂距離7.5km/高低差395mという登りは軽量スプリンターであればこなせる難易度。しかし登りで飛び出したパンチャーやクライマーたちが頂上の17.1km先に待つフィニッシュラインまで逃げ切ってしまうことも考えられる。この日を最後に南スペインの灼熱ステージは終了。レース後に選手たちは一路北上し、ピレネー山脈のアンドラ公国周辺で1回目の休息日を迎える。



9月1日(火)休息日




text:Kei Tsuji