1888年創業のアイウェアブランド・ボレーが、サイクリング用に開発したフラッグシップモデルが「6th Sense」。ロマン・バルデ(AG2Rラモンディアール)、ナセル・ブアニ(コフィディス)、サイモン・ゲランス(オリカ・グリーンエッジ)らトップライダーが使用するアイウェアをインプレッションした。



120年以上の歴史を有し、ミゲール・インデュラインやローラン・ジャラベールを始めとしたトップスター選手が使用してきたフランスの名門アイウェアブランド、ボレー。昨今ではオリカ・グリーンエッジやAG2Rラモンディアールといったワールドツアーチームが使用し、第一線で活躍している選手たちをサポートしている。

ボレー 6th Senseボレー 6th Sense photo:Yuya.Yamamoto
そのラインアップ中でも、スポーツ系モデルのハイエンドに位置づけられるのが、今回インプレッションする「6th Sense」だ。オリカ・グリーンエッジとの共同開発によって誕生し、単に眼球を保護するだけでなく、装着者自身のパフォーマンスを最大限に発揮させることを可能としたサイクリング用モデルだ。

こめかみまで届くワイドな一眼タイプを採用したレンズには、横方向の視野を確保するディセンター加工を発展させた、サイクリング専用の「b-MAX(全方位視野補正)」を採用。ロードレーサー乗車時の深い前傾姿勢においても歪みが少なく、広い視界を確保している。

風の巻き込みを更に低減するエアロシールド風の巻き込みを更に低減するエアロシールド 無断階で調整可能なノーズパッド無断階で調整可能なノーズパッド

イヤーソックも無断階で調整可能。アレルギーフリーの特殊ラバー「サーモグリップ」を採用しているイヤーソックも無断階で調整可能。アレルギーフリーの特殊ラバー「サーモグリップ」を採用している エアロシールドは、使用環境に応じて脱着可能だエアロシールドは、使用環境に応じて脱着可能だ


レンズには撥水/撥油コーティングが施されており、埃や泥、油脂、水垢などの付着を防止している。さらに、曇り止めのコーティングも施されているため、使用中はクリアな視界を保ち続けることが可能となっている。また、防弾素材としても使用される「b-CLEAR(NXT)」をレンズ素材に採用し、高いプロテクション性能を実現した。

フレームはエッジの効いたシャープなリムレスデザインとしており、風の巻き込みを防ぐエアロシールドを標準装備することも大きな特徴だ。ノーズパッドとイヤーソックには水を弾くアレルギーフリーの特殊ラバー「サーモグリップ」を採用。細やかなフィット感調整機構とあわせて、ホールド力を高めている。

ツール・ド・フランス第8ステージを制したアレクシ・ヴィエルモーズ(フランス、AG2Rラモンディアール)も6th Senseを愛用するツール・ド・フランス第8ステージを制したアレクシ・ヴィエルモーズ(フランス、AG2Rラモンディアール)も6th Senseを愛用する photo:Tim de Waele
ラインアップにはレンズの寸法別にノーマルサイズと、幅とハイトがそれぞれ1cmずつ狭められたSサイズの2種類が用意されている。レンズ下部の左右の幅はノーマルサイズが14.5cmで、Sサイズが13.5cm。レンズ上下の高さはノーマルサイズが5cmで、Sサイズが4.5cmだ。一方、フレーム自体の寸法は共通しており、左右のヒンジ間の距離は13.5cm、ヒンジからテンプルの端までの長さは12cmとなっている。

通常モデルとSサイズどちらともカラーバリエーションは豊富に用意されており、通常モデルはAG2RラモンディアールカラーのAG2R Shiny Blue Brown/Blue Violet、グリーンエッジカラーのShiny White/Lime Modulator Emerald、加えてShiny Red/TNS Fire、Shiny Black Gary/Modulator Rose Gun、Shiny White Blue/Rose Blue、Shiny Yellow Black/TNSという6種類。

SサイズはShiny Black/Modulator Brown Emerald、Shiny White Pink/Rose Gold Mirror (TNS)、Shiny Red Grey/TNS Gun、Shiny Blue White/Modulator Rose Gunという4種類だ。



ーインプレッション

まず、「6th Sense」を装着してみて感じることはレンズの大きさ。ノーマルサイズは、比較的顔の大きな筆者でも眉毛の上縁ぐらいまでレンズが覆ってくれる。特にノーズパッドを調整せずに装着し、顔を上下に振っても、常に視界全域がレンズを通した状態となる。一方で、レンズの下縁が頬と接触することもなく、その形状と配置も良好と言える。

ボレー 6th Sense S(Shiny Blue / Modulator Rose Gun)ボレー 6th Sense S(Shiny Blue / Modulator Rose Gun) photo:Naoki.YASUOKA
加えてヘルメットの縁との隙間が小さいため、恐らく被りの浅いヘルメットであっても、おでこが出た間抜けな状態になることもないはず。Sサイズでも他社のアイウェアと比較すれば充分にレンズが大きい。サイズはヘルメットとの相性や見た目で選択すれば良いだろう。装着感は比較的ソフトで、これは両サイズに共通する。ノーズパッドとイヤーソックの調整幅が大きいため、女性でもしっかりとフィットさせることができるはずだ。

レンズの高さを比較。左がSサイズで、右がノーマルサイズだレンズの高さを比較。左がSサイズで、右がノーマルサイズだ Modulator Brown Emeraldレンズを通した視界Modulator Brown Emeraldレンズを通した視界 Modulator Rose Gunレンズを通した視界Modulator Rose Gunレンズを通した視界 実際に走り出してみると、すぐに風の巻き込みが少ないに気付く。プロライダーが多く使用する1眼式の他社製アイウェアを普段は使用していて、風の巻き込みには特に不満を覚えることは無かったが、今回のインプレッションの後に使用したら、やや巻き込みが気になるほど。この巻き込みの少なさは時速50km/h以上出てしまう様な峠の下りでも同様である。一方で気温35℃以上の猛暑日でも、レンズと顔との間でこもるという印象はなく、コーティグの効果とあわせてレンズが曇ることは無かった。仮に熱いと感じることがあっても、両サイドのエアロシールドを外すことで対処できる。

視界の歪みはほんの僅かに感じられるが、目に過度な疲労を覚えるレベルではない。レンズが広がってしまう構造のため、仕方ないことではあるが、ソフトでいつまでも付けていられるほどに快適な装着感に繋がっており、メリットの方が上回っている。走りだす前はやや視界に入って気になっていたノーズパッドも、走りだしてしまえば、ほとんど視界には入ってこない。

今回のテストで使用した、調光機能付きの「Modulator Brown Emerald」と「Modulator Rose Gun」の両レンズは日中であれば、あまり日が差さない林道であっても、ストレスなく、視野を最適化な明るさに調整してくれる。ミラーコーティングもしっかりと効いており、眩しさを覚えることは無かった。2枚のレンズを同じ条件下で比較すると、Modulator Rose Gunの方がややコントラストが強い印象だ。

ソフトな装着感、快適な視野を提供するレンズ、細やかなフィッティング機能と、より走りに集中することを可能とする「6th Sense」。風の巻き込みの少なさは特筆もので、コンタクトレンズを使用する方や、ドライアイに悩まされていると言う方に特にオススメしたい。伝統あるブランドではあるものの、国内ではまだまだ珍しい存在といえるため、仲間や周りのサイクリストと被りたくないという方にもピッタリであろう。



ボレー 6th Sense バリエーション
フレームカラー/レンズ/価格(税抜):
■AG2R Shiny Blue Brown / Blue Violet / 23,500円
■Shiny White / Lime Modulator Emerald / 23,500円
■Shiny Red / TNS Fire / 23,500円
■Shiny Black Gary / Modulator Rose Gun / 23,500円
■Shiny White Blue / Rose Blue / 21,000円
■Shiny Yellow Black / TNS / 21,000円

ボレー 6th Sense S バリエーション
フレームカラー/レンズ/価格(税抜):
■Shiny White Pink / Rose Gold Mirror (TNS) / 23,500円
■Shiny Red / TNS Gun / 21,000円
■Shiny Blue / Modulator Rose Gun / 23,500円
■Shiny Black / Modulator Brown Emerald / 23,500円

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