石畳を抜けた先に待っていたのは、惜しいレースが続いたマルティンのステージ優勝とマイヨジョーヌ。歓喜のマルティンは「ドイツの人々により自転車競技に興味を持ってもらえたら最高だ。この4日間はまさにジェットコースターだった」と振り返ります。



念願のマイヨジョーヌを獲得したトニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)

ステージ優勝を飾ったトニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)ステージ優勝を飾ったトニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waele
後方を確認するトニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)後方を確認するトニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waeleマイヨジョーヌに袖を通すトニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)マイヨジョーヌに袖を通すトニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ) photo:CorVos念願のマイヨジョーヌに袖を通したトニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)念願のマイヨジョーヌに袖を通したトニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waele今朝トム・ボーネンから電話をもらって石畳の走り方について話し、それからスタート地点でエディ・メルクスに直々に励まされたんだ。僕のアタックに誰も同調しないとは思っていなかった。最後の石畳セクションでパンクを起こしたのは誰もが見たと思う。マッテオ・トレンティンのバイクですぐに再スタート。自分のバイクではないのでブレーキの掛かり方も違うし追走に力を使ってしまった。すでにリミットに近い状態で走っていたので、最後のアタックにはみんな驚いたと思う。

それに、ほぼ全員がかなり疲労していたので早めのアタックも予想外だったと思う。自分にとっては最高のチャンスだったんだ。更に力が出てきて、集団に対して差をつける事ができた。開幕前に2日間、この場所に練習しに来ていて、ステージ中の180kmを練習していたんだ。だからコースの隅々まで分かっていた。コース最終盤はテクニカルなレイアウトだから、そこまで単独で逃げ切れれば可能性はあった。最後のコーナーをゴールに据えて踏み続けたんだ。

単独逃げ切り勝利とマイヨジョーヌを掴んだ事に興奮している。パンクした後の追走に力を使い切ってしまっていたので、自分にとって本当にサプライズなボーナスだ。この3日間は不運続きだった。初日にマイヨジョーヌ獲得を目指していたが、ギリギリで逃してしまった。本当に悲しいし悔しかった。昨日も超ハードだったが、結果的に自分向きのコースで無かったためにまたもやイエローを逃してしまった。プレッシャーが日一日ごとに大きくなっていったんだ。

今日は自分向きのコースだったから自分の力を活かす事ができたし、モチベーションも非常に高かった。ここ数日チームからの大きなサポートを受けていたので、僕だけではなくチームのためにマイヨジョーヌを持ち帰りたかったんだ。ゴールラインを切った瞬間はスーパーハッピーだった。ドイツにとってもマイヨジョーヌは誇りに思うし、ドイツのファンも僕が総合首位であることを喜んでくれると思う。初日のTTで着たドイツナショナルチャンピオンジャージ、そして今度はマイヨジョーヌ。ドイツの人々により自転車競技に興味を持ってもらえたら最高だ。この4日間はまさにジェットコースターだった。久々にツールが中継されているドイツ国内も盛り上がっているはず。このマイヨジョーヌはピレネーまでキープ出来ると思う。

集団の先頭をとったジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアントアルペシン)

今日のステージで勝てなかったのは本当に残念。ドイツ人が勝ったのはうれしいけど、このステージは自分の手で勝ちたかったんだ。全てがパーフェクトに進んでいたのに、勝利を逃してしまった。

メイン集団はジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)を先頭にフィニッシュメイン集団はジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)を先頭にフィニッシュ photo:Tim de Waele
3位に入ったペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)

アルベルト(コンタドール)と一緒のチームにいるということを理解して動くというのは本当に大切なこと。僕の役割は彼が先頭集団に残る為のアシストで、今日は彼を助けるためにベストな働きが出来た。最後のパヴェの後に先頭をいく8名に追いつくために脚を使ってしまったから、集団からは千切れそうになっていたんだ。でも、ラストのスプリントのためになんとかついていった。

スプリントまでにたくさんの力を使ってしまったから正直、3位でフィニッシュできたことには驚いているんだ。多くのエネルギーを費やすのに値する結果が残せたし、アルベルトがこのステージを問題なく過ごせたことも喜ばしいね。

マイヨジョーヌを着用して走ったクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)

パヴェでニーバリと遜色ない走りを披露したクリス・フルーム(チームスカイ)パヴェでニーバリと遜色ない走りを披露したクリス・フルーム(チームスカイ) photo:Makoto.AYANO今日はただトラブルを避けるべく走っていて、自分のパワーを見せつけることはしていなかった。200kmを越えた時に誰が脚を残しているのだろう?と思った。その時にゲラント・トーマスが一緒にいてくれたからアタックしない手は無かった。だから少しだけ仕掛けてみたが、後続が付いてきてしまった。

マルティンに対してはおめでとうと言いたい。惜しいレースが続いていたし、ここ数日の彼の働きに対する報いだと思う。一旦マイヨジョーヌを失ったことに対して不安を感じていないし、まだまだ先は長い。マルティンは素晴しい選手だがTTスペシャリストなので、彼自身も山岳でイエローを守るとは思っていないだろう。だから他のライバルではなくマルティンにジャージが渡ったのはある意味嬉しい。チームのメンバーにとっても休息日までは脚を使わずに済むので良かった。

パヴェステージを乗り切ったアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)

歯を食いしばって先頭グループに最後尾でついていくアルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ)歯を食いしばって先頭グループに最後尾でついていくアルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ) photo:Makoto.AYANO今日はかなり調子がよく感じられて満足している。ペーター・サガンをはじめ、チームのみんなが僕のために素晴らしい働きをしてくれたことに大きな感謝を。

このステージの目標はまずはノートラブルで最後まで走り切ることだった。実際、僕に起こったトラブルらしいトラブルは最後の25kmでリアホイールの調子が悪くなったくらい。ラスト3kmでバイク交換するか悩んだんだけどそのまま走り続けることにした。幸運なことに、フィニッシュまで問題なく走ることができたね。最終局面でバイク交換をするというのはかなりリスクが高いことだから、交換せずに済んでよかった。

パヴェで力強い走りを見せたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)

パヴェでアタックを仕掛けるヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)パヴェでアタックを仕掛けるヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waele去年と比べての違いといえば、天候だけだった。最後のパヴェセクションでの緩い登り区間で集団をバラバラにして、誰かを遅れさせようと試みたんだけどね。凄く難しいステージだったよ。チームの素晴らしいサポートを受けて走ることができたのは救いだったね。

でも、今日は路面もドライで去年に比べると危険度は低かったから、大きな差をパヴェで築くことはできなかった。僕がペースを上げたことによる最大の効果といえば、集団が一列棒状になったくらいで、それ以上のことは出来なかった。今日のステージでタイムを失わなかっただけでも良しとしよう。この最初の数ステージを終えて、体調も良いしね。他のライバルたちに対して取り返さないといけないビハインドがあるから、どんな時でも攻めていくつもり。

バルベルデの引くグループにニーバリ、フルームがいる。コンタドールはこの集団の後方に下がっているバルベルデの引くグループにニーバリ、フルームがいる。コンタドールはこの集団の後方に下がっている photo:Makoto.AYANO
アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

このステージで勝つチャンスも少なくなかったと思うが、結果に対してハッピーにならなくてはいけない。常に集団前方に位置していたし、個人的にもパヴェを上手く走れていた。他のチームはスプリンターを抱えていたので、マルティンのようにアタックすべきだったかもしれない。でも僕は最終盤に一人だったし、あの状況でできる事も少なかったように思う。

パンクでチャンスを失ったセプ・ファンマルケ(ベルギー、ロットNLユンボ)

石畳をこなすセプ・ファンマルケ(オランダ、ロットNLユンボ)石畳をこなすセプ・ファンマルケ(オランダ、ロットNLユンボ) photo:CorVos今日自分ができる事全てをこなせていたし、調子も良かった。その分こんな結果になってしまって落ち込んでいる。最初にパンクした後、先頭に戻るまではかなりのリスクを冒さねばならなかった。砂埃で何も前が見えない状態だったんだ。その後もう一度パンク。終わったと思った。

勝負に加われなかったアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)

僕のステージになるはずだったが、セクター4の石畳でパンクしたことで勝負から遅れてしまった。それまではチーム全員がそれぞれの持ち場に付いて上手く運んでいたが、そこで僕のレースは終わってしまった。他にもルーカ(パオリーニ)が落車してしまい、マルコ(ハラー)も怪我を負ってしまった。でも昨日のプリートのように、悪いこともあれば良いことだってある。明日からのステージでグッドニュースがあることを祈ろう。

text:So.Isobe,Naoki.Yasuoka