2015/06/17(水) - 11:25
リーダージャージ獲得を狙うペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)を振り切ってマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)が勝利。40名の小集団スプリントでキャンベラ生まれの24歳がツール・ド・スイス初勝利を飾った。
スイス東部のフリムスラークスファレーラからシュヴァルツェンバッハまで、アップダウンをこなしながら進む193.2km。後半にかけて3級山岳フーゼンシュトラッセ(1.9km/6%)を含むシュヴァルツェンバッハを起点にした29kmの周回コースを3周する。
前日までより難易度は低いが、3級山岳フーゼンシュトラッセがピュアスプリンターの侵入を拒む。加えてボーナスタイムをかけた闘いも勃発したため、獲得標高差2300mという数字以上に厳しいステージとなった。
第4ステージのスタート時点で総合首位トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)と総合2位サガンのタイム差は5秒。ツール・ド・スイスではフィニッシュで10秒、6秒、4秒のボーナスタイム、スプリントポイントで3秒、2秒、1秒のボーナスタイムが設定されている。つまりサガンがステージ優勝を飾れば総合は逆転する。
レースは序盤からアレックス・ハウズ(アメリカ、キャノンデール・ガーミン)やトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)ら5名が逃げたものの、メイン集団とのタイム差は3分止まり。ステージ優勝を狙うオリカ・グリーンエッジのペースアップによって、シュヴァルツェンバッハの周回コースに差し掛かる頃には1分を割り込んだ。
逃げを早々に捕まえ、スピードを弱めることなく周回を重ねたメイン集団からはマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)やアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)らが相次いで脱落する。
2回目のスプリントポイントで動いたのはリーダージャージを着るドゥムランで、先頭通過によってボーナスタイム3秒を獲得(ドゥムランとサガンとの総合タイム差は5秒→8秒)。
続いてアレクセイ・ルトセンコ(カザフスタン、アスタナ)やジョナサン・フモー(スイス、IAMサイクリング)らがカウンターアタックを仕掛け、ルトセンコが独走で2回目のスプリントポイントを先頭通過。その後方ではサガンが2番手通過し、ボーナスタイム2秒を獲得した(ドゥムランとサガンとの総合タイム差は8秒→6秒)。
独走していたルトセンコは残り7kmを切って吸収。集団先頭ではアタックが継続し、登りでマルコ・マルカート(イタリア、ワンティ・グループグベルト)やセルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)、ヤン・バケランツ(ベルギー、AG2Rラモンディアール)が飛び出したものの、オリカ・グリーンエッジやティンコフ・サクソの集団牽引によって残り2kmで吸収。アップダウンコースで生き残った40名によるスプリントが始まった。
ステージ連勝と総合逆転を狙うサガンが早めに仕掛け、その後ろからマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)とグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)が追い上げる。サガンは先頭を守りきることが出来ず、フィニッシュラインまで加速し続けたマシューズが勝利した。
「昨日のスプリントを見る限りサガンが好調なのは間違いなかった。だから今日は彼の後輪に食らいついて、そこから全力でスプリントしたんだ。この近くに住んでいるチームメイトのミハエル・アルバジーニがスプリントを狙いたがっていたけど、最終的に僕をアシストしてくれた。経験豊かで尊敬している彼のサポートを受けるなんて感激だった」とマシューズは振り返る。
中級山岳ステージでの小集団スプリントにめっぽう強いマシューズはパリ〜ニース、ブエルタ・アル・パイスバスコ、ジロ・デ・イタリア、そしてこのツール・ド・スイスでステージ優勝。2015年のUCIワールドツアーレースで勝利を重ねている。
ステージ2位に入ったサガンはボーナスタイム6秒を獲得。ドゥムランと同タイムで並んだが、初日の個人タイムトライアルでついた0秒以下の差によって総合逆転は起こらなかった。「スプリントを開始するのが早すぎた。自分自身のミス。でもこれがロードレースだ」とサガン。リーダージャージ獲得は逃したが、ポイント賞ではトップに立っている。
また、この日、MRI検査によって脛骨に小さなヒビが見つかったフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)はスタートしなかった。ヒビはフレーシュ・ワロンヌでの落車が原因であると考えられており、ジルベールはツール・ド・フランスのメンバーから外れることが決まっている。
選手コメントはチーム公式サイトより。
ツール・ド・スイス2015第4ステージ結果
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 4h36’00”
2位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
3位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
4位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
5位 ヤスパー・ストゥイフェン(ベルギー、トレックファクトリーレーシング)
6位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
7位 シルヴァン・ディリエル(スイス、BMCレーシング)
8位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
9位 マッテオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ)
10位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)
個人総合成績
1位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) 11h19’09”
2位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
3位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) +08”
4位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +09”
5位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ) +15”
6位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ) +17”
7位 スティーブ・モラビート(スイス、FDJ) +18”
8位 クリスチャン・デュラセック(クロアチア、ランプレ・メリダ) +21”
9位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング) +22”
10位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
山岳賞
ステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)
ベストスイスライダー賞
スティーブ・モラビート(スイス、FDJ)
チーム総合成績
アスタナ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
スイス東部のフリムスラークスファレーラからシュヴァルツェンバッハまで、アップダウンをこなしながら進む193.2km。後半にかけて3級山岳フーゼンシュトラッセ(1.9km/6%)を含むシュヴァルツェンバッハを起点にした29kmの周回コースを3周する。
前日までより難易度は低いが、3級山岳フーゼンシュトラッセがピュアスプリンターの侵入を拒む。加えてボーナスタイムをかけた闘いも勃発したため、獲得標高差2300mという数字以上に厳しいステージとなった。
第4ステージのスタート時点で総合首位トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)と総合2位サガンのタイム差は5秒。ツール・ド・スイスではフィニッシュで10秒、6秒、4秒のボーナスタイム、スプリントポイントで3秒、2秒、1秒のボーナスタイムが設定されている。つまりサガンがステージ優勝を飾れば総合は逆転する。
レースは序盤からアレックス・ハウズ(アメリカ、キャノンデール・ガーミン)やトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)ら5名が逃げたものの、メイン集団とのタイム差は3分止まり。ステージ優勝を狙うオリカ・グリーンエッジのペースアップによって、シュヴァルツェンバッハの周回コースに差し掛かる頃には1分を割り込んだ。
逃げを早々に捕まえ、スピードを弱めることなく周回を重ねたメイン集団からはマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)やアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)らが相次いで脱落する。
2回目のスプリントポイントで動いたのはリーダージャージを着るドゥムランで、先頭通過によってボーナスタイム3秒を獲得(ドゥムランとサガンとの総合タイム差は5秒→8秒)。
続いてアレクセイ・ルトセンコ(カザフスタン、アスタナ)やジョナサン・フモー(スイス、IAMサイクリング)らがカウンターアタックを仕掛け、ルトセンコが独走で2回目のスプリントポイントを先頭通過。その後方ではサガンが2番手通過し、ボーナスタイム2秒を獲得した(ドゥムランとサガンとの総合タイム差は8秒→6秒)。
独走していたルトセンコは残り7kmを切って吸収。集団先頭ではアタックが継続し、登りでマルコ・マルカート(イタリア、ワンティ・グループグベルト)やセルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)、ヤン・バケランツ(ベルギー、AG2Rラモンディアール)が飛び出したものの、オリカ・グリーンエッジやティンコフ・サクソの集団牽引によって残り2kmで吸収。アップダウンコースで生き残った40名によるスプリントが始まった。
ステージ連勝と総合逆転を狙うサガンが早めに仕掛け、その後ろからマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)とグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)が追い上げる。サガンは先頭を守りきることが出来ず、フィニッシュラインまで加速し続けたマシューズが勝利した。
「昨日のスプリントを見る限りサガンが好調なのは間違いなかった。だから今日は彼の後輪に食らいついて、そこから全力でスプリントしたんだ。この近くに住んでいるチームメイトのミハエル・アルバジーニがスプリントを狙いたがっていたけど、最終的に僕をアシストしてくれた。経験豊かで尊敬している彼のサポートを受けるなんて感激だった」とマシューズは振り返る。
中級山岳ステージでの小集団スプリントにめっぽう強いマシューズはパリ〜ニース、ブエルタ・アル・パイスバスコ、ジロ・デ・イタリア、そしてこのツール・ド・スイスでステージ優勝。2015年のUCIワールドツアーレースで勝利を重ねている。
ステージ2位に入ったサガンはボーナスタイム6秒を獲得。ドゥムランと同タイムで並んだが、初日の個人タイムトライアルでついた0秒以下の差によって総合逆転は起こらなかった。「スプリントを開始するのが早すぎた。自分自身のミス。でもこれがロードレースだ」とサガン。リーダージャージ獲得は逃したが、ポイント賞ではトップに立っている。
また、この日、MRI検査によって脛骨に小さなヒビが見つかったフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)はスタートしなかった。ヒビはフレーシュ・ワロンヌでの落車が原因であると考えられており、ジルベールはツール・ド・フランスのメンバーから外れることが決まっている。
選手コメントはチーム公式サイトより。
ツール・ド・スイス2015第4ステージ結果
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 4h36’00”
2位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
3位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
4位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
5位 ヤスパー・ストゥイフェン(ベルギー、トレックファクトリーレーシング)
6位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
7位 シルヴァン・ディリエル(スイス、BMCレーシング)
8位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
9位 マッテオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ)
10位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)
個人総合成績
1位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) 11h19’09”
2位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
3位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) +08”
4位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +09”
5位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ) +15”
6位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ) +17”
7位 スティーブ・モラビート(スイス、FDJ) +18”
8位 クリスチャン・デュラセック(クロアチア、ランプレ・メリダ) +21”
9位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング) +22”
10位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
山岳賞
ステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)
ベストスイスライダー賞
スティーブ・モラビート(スイス、FDJ)
チーム総合成績
アスタナ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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