約30人のスプリントを爆発的な加速で制したのは吉田隼人(マトリックスパワータグ)。チーム全員で獲得した今季初勝利。女子は吉川美穂(ASAHI MUUR ZERO)が3連勝、ユースは福田圭晃(Team BFY Racing)が優勝。



ゴール前、吉田隼人(マトリックスパワータグ)が先頭に立つゴール前、吉田隼人(マトリックスパワータグ)が先頭に立つ photo:Hideaki TAKAGI
P1 地元の群馬グリフィン・レーシングチームが最前列にP1 地元の群馬グリフィン・レーシングチームが最前列に photo:Hideaki TAKAGI群馬CSC連戦2日目、4月26日(日)は各クラスタのロードレースが行なわれた。連日の好天で朝晩は冷え込むものの昼は汗ばむほどの陽気。P1クラスタは20周120kmのレースに156人が出走。序盤からアタック合戦に。数人が仕掛けるが組織立った動きにならず逃げが決まらないまま推移する。逃げが決まったのは7周目。3人の先行に8人が追いつき11人の逃げができ、ようやく安定する。
11周目、19人の先頭集団11周目、19人の先頭集団 photo:Hideaki TAKAGI15周目、ホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)のアタック15周目、ホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)のアタック photo:Hideaki TAKAGI17周目、メイン集団のペースを上げるチーム右京勢17周目、メイン集団のペースを上げるチーム右京勢 photo:Hideaki TAKAGI
中盤に19人の先頭集団ができる

逃げメンバーは土井雪広(チーム右京)、オスカル・プジョル(チーム右京)、平塚吉光(愛三レーシングチーム)、中根英登(愛三レーシングチーム)、高岡亮寛(イナーメ信濃山形)、紺野元汰(イナーメ信濃山形)、ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)、木村圭佑(シマノレーシング)、野中竜馬(キナンサイクリングチーム)、鈴木龍(那須ブラーゼン)、山下貴宏(シエルヴォ奈良ミヤタメリダ)の11人。

しかし10周目にはメイン集団が活発化し前方がいくつかの小グループに分かれて追走する。そして11周目、先頭11人に追走8人が追いつき先頭は19人に。追いついたメンバーはホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)、アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)、鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)、阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)、狩野智也(群馬グリフィン・レーシングチーム)、秋丸湧哉(シマノレーシング)、阿曽圭佑(キナンサイクリングチーム)、小畑郁(なるしまフレンド)。

チーム右京がメイン集団を引き上げる

先頭19人はマトリックスが3名と最も多い。逃げは安定せず、ホセ・ビセンテを中心に先頭集団でゆさぶりがかかる。メイン集団は依然40人ほどと大きく、先頭19人との差は1分前後。ここにはチーム右京の畑中勇介と窪木一茂がいる。15周目、ホセ・ビセンテとフェルナンデスらの揺さぶりで先頭集団は11人と8人に分かれ、マトリックスは前方に、土井は後方に下がり17周目にはこの8人はメイン集団に戻る。

先頭11人と40人ほどのメイン集団とのタイム差は残り4周で1分半。メイン集団では土井を中心にチーム右京勢が先頭に立ってペースを上げ猛追、17周目終える時点でついに先頭集団を吸収して集団はひとつになる。ここから散発的なアタックがかかるがラスト2周でロイック・デリアック(キナンサイクリングチーム)がアタック、これが吸収されるとラスト2周の上りでプジョルがアタック。
最終周回上り、独走するオスカル・プジョル(チーム右京)に集団が迫る最終周回上り、独走するオスカル・プジョル(チーム右京)に集団が迫る photo:Hideaki TAKAGI優勝は吉田隼人(マトリックスパワータグ)。チームにとっても今季初優勝優勝は吉田隼人(マトリックスパワータグ)。チームにとっても今季初優勝 photo:Hideaki TAKAGI
約30人のスプリントを吉田隼人(マトリックスパワータグ)が制する

プジョルは独走を開始し最終周回を逃げ続ける。集団もこれを追い、ホームストレートに入ってから吸収される。チーム右京は窪木そして畑中が磐石のスプリント体制に。対抗するのはフェルナンデスと吉田隼人のマトリックス。フェルナンデスに発射された吉田がゴール前で伸び、畑中をかわして優勝。

マトリックスは常に先頭へメンバーを送り込み攻撃を仕掛け有利に進めた。終盤に集団ゴールが濃厚となってからはスプリントのエース、吉田を引き上げることとライバルチームの脚を削ぐためホセ・ビセンテ、フェルナンデスやプラデスが動いたことが功を奏した。チーム右京はメイン集団にいた畑中と窪木のため土井が下がって集団を牽引、先頭集団に戻したがその人数が多すぎ、小集団のスプリントと群馬のコースを得意とする畑中をもってしても2位に甘んじた。

「2年ぶりの勝利」優勝した吉田隼人(マトリックスパワータグ)

「今日はチームメイトが前で動いてくれていたのでずっと我慢していました。マトリックスに入ってから勝ちにずっとこだわっていたので結果を残せてよかったです。勝ったのは2年前の台湾でのステージ優勝以来です。自分の中では年々力が付いていると思っていたのですが結果が出ていなくて。ゴール前はアイラン(フェルナンデス)に全部任せていたので自信を持ってスプリントができました。今日はチーム全員が動いて勝ったのがよかったと思います」

急逝した和田力選手とともに戦ったマトリックスパワータグ。前日が四十九日急逝した和田力選手とともに戦ったマトリックスパワータグ。前日が四十九日 photo:Hideaki TAKAGI
「今日勝たねばという気持ちが全員にあった」マトリックスパワータグ安原昌弘監督

「中盤まで先頭にうちが3人いたので良かったのですが、右京が戻す動きをしたので、うちも1人が戻って(吉田)隼人での集団スプリントに備えました。今までずっといいところがなくて悔しくて。この群馬大会期間が和田の四十九日だから、ここで和田がいるうちに絶対勝たないといけないという気持ちがみんなにありました。向川が最後に先頭を引いたのも大きかったですね。みんな男気でこのチームに集まってくれています。これから巻き返していきますよ」

3月に事故で急逝した故・和田力選手の四十九日が前日だった。メンバー全員が宇都宮から和田のネームシールをトップチューブに貼ってレースに臨んでいる。「和田が力をくれた」とゴール直後に和田の遺影を掲げながら安原監督は男泣きして声を振り絞った。チームメイトに囲まれ、そして吉田とともに表彰台に上がった和田。今頃は安住の地から仲間を見ているだろう。



F 吉川美穂(ASAHI MUUR ZERO)が圧倒的なスプリントで3連勝F 吉川美穂(ASAHI MUUR ZERO)が圧倒的なスプリントで3連勝 photo:Hideaki TAKAGIY 福田圭晃(Team BFY Racing)が優勝Y 福田圭晃(Team BFY Racing)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI

E1 西島優太郎(チャンピオンシステムジャパン)が優勝E1 西島優太郎(チャンピオンシステムジャパン)が優勝 photo:Hideaki TAKAGIE2 八幡光哉(Team SPORTS KID)が優勝E2 八幡光哉(Team SPORTS KID)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI

E3 1組 早瀬憲太郎(日本ろう自転車競技協会)が優勝E3 1組 早瀬憲太郎(日本ろう自転車競技協会)が優勝 photo:Hideaki TAKAGIE3 2組 野口悠真(Team SPORTS KID)が優勝E3 2組 野口悠真(Team SPORTS KID)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI




第7回 JBCF群馬CSCロードレース Day-2結果

Pクラスタ 120km
1位 吉田隼人(マトリックスパワータグ)2時間55分40秒
2位 畑中勇介(チーム右京)+01秒
3位 窪木一茂(チーム右京)
4位 パブロ・ウルタスン(チーム右京)
5位 小森亮平(AISAN Racing Team)
6位 サルバドール・グアルディオラ(チーム右京)
7位 水野恭兵(キナンサイクリングチーム)
8位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
9位 鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)
10位 河賀雄大(ヴィクトワール広島)

Jプロツアーリーダー パブロ・ウルタスン(チーム右京)
U23リーダー 新城雄大(那須ブラーゼン)

Fクラスタ 30km
1位 吉川美穂(ASAHI MUUR ZERO)1時間13分03秒(ニュートラル20分含む)
2位 小島蓉子(日体大クラブLIONS)
3位 金子広美(イナーメ信濃山形-EFT)

Jフェミニンリーダー 吉川美穂(ASAHI MUUR ZERO)

Yクラスタ 24km
1位 福田圭晃(Team BFY Racing)37分08秒
2位 越智崇裕(湘南ベルマーレサイクル)
3位 小野康太郎(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)

Jユースツアーリーダー 福田圭晃(Team BFY Racing)

E1クラスタ 54km
1位 西島優太郎(チャンピオンシステムジャパン)1時間20分53秒
2位 河合宏樹(オッティモ)
3位 中野公之(チームリマサンズ)
4位 蓑原大介(VC Fukuoka)
5位 佐藤信哉(VC Fukuoka)
6位 高橋誠(イナーメ信濃山形-EFT)

Jエリートツアーリーダー 佐藤信哉(VC Fukuoka)

E2クラスタ 36km
1位 八幡光哉(Team SPORTS KID)55分26秒
2位 荒牧和敬(なるしまフレンド)
3位 遠藤健太(チームフィンズ)
4位 野宮一朗(ブラウ・ブリッツェン)
5位 小林貴大(AQULS内房レーシング)
6位 松井響(クラブシルベスト)+01秒

E3クラスタ1組 30km
1位 早瀬憲太郎(日本ろう自転車競技協会)46分41秒
2位 吉田勝雅(ALTOPIANO)+03秒
3位 小嶋渓円(湘南ベルマーレサイクル)
4位 佐藤忠則(ブラウ・ブリッツェン)
5位 高橋滉太郎(Blanche Racing Team)
6位 北原茂明(チームオーベスト)+04秒

E3クラスタ 2組 30km
1位 野口悠真(Team SPORTS KID)46分10秒
2位 鈴木達朗(ACQUA TAMA)
3位 長瀬智史(セオレーシング)+01秒
4位 銀山耕一(イナーメ信濃山形-EFT)
5位 豆野天星(トンデモクラブCSKAGA)+03秒
6位 田村武士(TRC PANAMAREDS)+08秒

photo:高木秀彰、加藤智
text:高木秀彰

最新ニュース(全ジャンル)