昨年のツール・ド・フランスでデビューしたカスクの新型エアロモデル「PROTONE(プロトーネ)」をインプレッション。チームスカイのフィードバックを基に開発され、通気性、エアロダイナミックス、安全性を兼ね備えた話題のヘルメットの性能は如何に。



カスク PROTONEカスク PROTONE photo:Makoto.AYANO
丸みを帯びたバックビュー丸みを帯びたバックビュー 効率的に配置されたパッドによってフィット感を高めている効率的に配置されたパッドによってフィット感を高めている


「PROTONE」は、チームスカイとのコラボレーションによって誕生したヘルメットだ。「涼しく、空力性能の高いヘルメットが欲しい」というチームスカイの選手達からの要望に応えたものであり、完成度の高さゆえに昨年のツール・ド・フランスで急遽実戦投入されたというストーリーを持つプロユース品である。

軽さを重視しつつ、既存のモデルと同等のフィット感を実現したOctoフィットクロージャー軽さを重視しつつ、既存のモデルと同等のフィット感を実現したOctoフィットクロージャー 上質なECOレザー製チンストラップ上質なECOレザー製チンストラップ [img_assist|nid=164721|title=クリス・フルーム(イギリス)らチームスカイのフィードバックを取入れ開発された|desc=photo:Makoto.AYANO|link=node|align=right|width=360|height=]エアロと快適性を両立させるためにカスクが行ったこと。それは流体力学と熱力学という2つの観点から行ったコンピューターシミュレーションや、プロトタイプを用いた数千時間に及ぶ風洞実験。その結果、目を惹くほどに大きなベンチレーションや丸みを帯びたこれまでに無い斬新なデザインが生まれたという。

また、ライディングポジションでのヘルメット周辺の空気の流れ、そして選手の動きを考慮して実世界における性能を追求したことも特長の1つ。同タイプのヘルメットとしては最も優れた空力性能を実現しつつ、高い放熱性を兼ね備え、アイウェアをヘルメットに挿しても空気抵抗に影響しない形状となっている。

もちろん、ヘルメットの最大の役割である安全性に関しても一切の妥協は無い。帽体にはポリスチレンのインナーシェルとポリカーボネイトのアウターシェルを一体成型する「In-Moulding」で衝撃吸収性を確保し、フロントの大きなベンチレーションホールには補強材を配置することで、大きな衝撃を受けた際の粉砕を防止している。CE EN 1078などの厳格な安全基準をパスする高い安全性を確保しており、もちろんJCF公認も取得済み(JCF公認仕様は海外版と前頭部のパッドの形状が異なる)。

フィッティングシステムは、高い評価を得ている「UP&DOWN SYSTEM」と同様にクロージャーの位置を上下方向に調整でき、さらに軽量化を図ったダイヤル式の「Octoフィットクロージャー」だ。シェルと頭部の接触を考慮した効果的なパッドの配置などとあわせてフィット感を高めた。

パッドは吸湿速乾性に優れるCoolmax製。SANITIZED社の抗菌加工によって防臭対策も万全だ。カスクのアイデンティティの1つであるストラップは、顎と触れる部分に心地よい肌触りのECOレザーを配している。

サイズはM (52~58cm)とL(59~62cm)の2種類で、重量はそれぞれ230gと250g。カラーはTOTAL BLACK、WHITE、BLACK WHITE、BLACK LIGHT BLUE、BLACK RED、BLACK LIME、WHITE LIGHT BLUE、WHITE RED、LIGHT BLUEの9色展開だ。取り扱いは日直商会が行う。



ーインプレッション「誰にでもフィットする上質な被り心地。長時間使っても首が疲れにくい」

PROTONEを実走テストしてみたPROTONEを実走テストしてみた photo:Naoki.YASUOKAカスクのヘルメットはモデルによって帽体のフォルムが異なるが、このPROTONEはヨーロピアンフィットとアジアンフィットの中間と言ったところ。

普通ヘルメットと言えば、日本人には日本人向けの製品が、欧米人には欧米人向けの製品が合う、というのが定説だが、このPROTONEは「どちらでも合う」。欧米人頭の筆者でも、「ザ・日本人頭」の他の編集部員でも、かなりしっくりとくる被り心地なのだ。

私が思うに、この理由はおそらくかなり厚みを持たせたインナーパッドにあると思う。帽体自体は前述したように中間サイズ(筆者だと前後にタイトで左右に余裕がある)だが、このクッション性の高いパッドのおかげで頭の形の差を吸収してくれる。今までフィット面で欧米ブランドのヘルメットを諦めていた方でも、可能であればぜひ一度試着をオススメしたいと思う。

かぶり心地は深め。新型の「Octoフィットクロージャー」は頭囲(横方向)からだけではなく、後頭部の下側から(縦方向)もホールドしてくれるので、軽く締め付けるだけで安心感も十二分。これも万人向けのフィッティングに貢献している部分だろう。

重量はMサイズで230gと標準的だが、被ってみると重量以上に軽く、頭を動かしてもストレスにならないことに少し驚いた。従来のヘルメットの中には重心が前よりだったり、そもそも重かったりと首の負担が大きいものがあったが、PROTONEは重心がどこにも寄っていないので軽く感じるし、そのため長時間被っても疲れにくい。

通気性もなかなかのもので、見た目通り前方のベンチレーターからはかなり風が入ってくる。高速になるほどによく分かり、涼しい日の長いダウンヒルでは少し寒く感じてしまう程だ。エアロ性能についてはなかなかコメントが難しいが、走行中に頭部周辺の空気の流れが乱れているという印象はない。もっとも、PROTONEの持ち味は空力性能と通気性の高バランスによる汎用性の高さにある。カスクのヘルメットでより優れたエアロダイナミクスを求めるのであればInfinityを選択すれば良いだろうし、実際にチームスカイの選手達もそういう使い分けをしている。

全方向から見てもスッキリとしたフォルムに仕上がっている全方向から見てもスッキリとしたフォルムに仕上がっている
プラスチッキーな質感が無くスムーズに嵌るバックルや、上質な肌触りのECOレザー製チンストラップ、厚くコシのあるパッド、しっかりとした被り心地など、ヘルメットとしてかなり高級感があるところもグッドポイント。シェル前方の厚みが抑えられているため、深く前傾姿勢をとった時に視界を遮らないし、機能面プラスアルファの部分までこだわっているのは、さすがイタリアンブランドだ。

機能性を高めつつ、徹底的な作り手のこだわりを伝えるヘルメットがPROTONEだ。プロレースに則したプロダクトながら「上質」や「高級感」といった言葉がしっくりくるし、デザイン面でもグラフィックに頼らず、フォルムで魅せている点も個人的には好印象だ。見た目が気に入って、頭に合えば34,000円という価格は間違いなく「買い」だ。



カスク PROTONE
サイズ:M(52~58cm)、L(59~62cm)
重 量:230g(Mサイズ)、250g(Lサイズ)
安全基準:CE EN 1078
カラー:TOTAL BLACK、WHITE、BLACK WHITE、BLACK LIGHT BLUE、BLACK RED、BLACK LIME、WHITE LIGHT BLUE、WHITE RED、LIGHT BLUE
価 格:34,000円(税抜)

impression:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto
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の画像 Inside Team Sky (English Edition)
メーカー: Simon & Schuster UK
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