連戦連勝のチーム右京の独走をストップさせたのは大久保陣(宇都宮ブリッツェン)。スタートアタックでできた18名の逃げから向かい風のゴールを制し、大会2連覇を達成。



ゴール、大久保陣(宇都宮ブリッツェン)が入部正太朗(シマノレーシング)をかわすゴール、大久保陣(宇都宮ブリッツェン)が入部正太朗(シマノレーシング)をかわす photo:Hideaki TAKAGI


4月19日(日)、白浜2日目はクリテリウム。P1は予選各組上位30名、計60名が決勝へ進出。滑走路のコース1周1.5kmを25周する37.5kmで決勝が行なわれた。天候は曇り、ホームストレート側が向かい風となった。

オスカル・プジョルのスタートアタック

P スタートアタックはオスカル・プジョル(チーム右京)、入部正太朗(シマノレーシング)が反応するP スタートアタックはオスカル・プジョル(チーム右京)、入部正太朗(シマノレーシング)が反応する photo:Hideaki TAKAGIスタートと同時に飛び出したのはオスカル・プジョル(チーム右京)。これに入部正太朗(シマノレーシング)が反応して追走。さらにフラヴィオ・ヴァルセッキ(シエルヴォ奈良ミヤタメリダレーシングチーム)の3人に。さらに阿曽圭佑(キナンサイクリングチーム)、紺野元汰(イナーメ信濃山形)、遠藤績穂(チャンピオンシステムジャパン)の3人が合流し6人に。
20分経過、メイン集団とは20秒差20分経過、メイン集団とは20秒差 photo:Hideaki TAKAGI40分経過、メイン集団はアタックと牽制の繰り返し。先頭は窪木一茂(チーム右京)40分経過、メイン集団はアタックと牽制の繰り返し。先頭は窪木一茂(チーム右京) photo:Hideaki TAKAGI
2周目にはさらに土井雪広(チーム右京)と新城雄大(那須ブラーゼン)、大村寛(レモネードベルマーレレーシングチーム)、大久保、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)、アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)、金子大介(群馬グリフィンレーシングチーム)、中山卓士(ヴィクトワール広島)が合流し14名に。最後に小畑郁(なるしまフレンド・レーシングチーム)、小室雅成(ウォークライド・シクロアカデミア)、宮澤崇史(レモネードベルマーレレーシングチーム)が合流し17名の逃げができる。

7周目に15秒差のメイン集団からルビーレッドジャージのパブロ・ウルタスン(チーム右京)が単独でブリッジを成功させ、18名の先頭集団が完成。チーム右京はスプリンターのウルタスンを含む3名、宇都宮ブリッツェンが2名、レモネードベルマーレレーシングチームが2名の構成。先頭集団はプジョルが積極的に先頭に出て集団を牽引する。
ラスト1周へ、先頭からアタックするオスカル・プジョル(チーム右京)ラスト1周へ、先頭からアタックするオスカル・プジョル(チーム右京) photo:Hideaki TAKAGIゴール前200m、入部正太朗(シマノレーシング)が先頭ゴール前200m、入部正太朗(シマノレーシング)が先頭 photo:Hideaki TAKAGI大久保陣(宇都宮ブリッツェン)が大会2連覇達成大久保陣(宇都宮ブリッツェン)が大会2連覇達成 photo:Hideaki TAKAGI
18名の先頭集団が逃げ切りへ

各チームのエース格スプリンターが逃げ集団とメイン集団の両方に散らばり、それぞれの集団の中でも駆け引きが繰り返される。メイン集団の窪木一茂(チーム右京)や吉田隼人(マトリックスパワータグ)は先頭に合流したいがお互いを連れて行きたくない。先頭集団でも後半になるとチーム右京を中心に揺さぶりがかかる。なかでもよく動くのはプジョル。さらに土井らも動き、これをおもに増田らが追走して封じる。

最大30秒差まで開いた逃げとメインの差も縮まり、最終周回には10秒ほどにまで迫る。ラスト2周で中山がパンクで離脱。そして先頭は17名でゴールへ向かう。最終折り返しは紺野が先頭、それを2番手の入部がかわしてラスト300mで向かい風の中、先頭に立つ。その後方から大久保がスパートをかけたのがラスト100m。これを混戦から抜け出したウルタスンが追うが届かない。大久保はゴール直前で入部をかわして優勝。メイン集団は5秒後に窪木を先頭にゴール。

優勝した大久保は昨年大会に続いての連覇。チーム右京の攻撃を増田が抑えて、向かい風ゴールをギリギリまで待ってスパートしたことが勝因。入部は300mのロングスプリントに挑みそれでも2位に。ウルタスンはラスト200mで他選手が接触し一旦は失速したものの持ち直して3位に。終始攻撃を続けたチーム右京と、それをことごとく耐えた宇都宮ブリッツェン。後者に軍配が上がった。

優勝した大久保は「予定通りに6番手ぐらいで最終ターンを曲がって、待って待って入部を差せました。増田さんが右京の攻撃を全部処理してくれて脚を貯めることができました。エースを任されていたのでここで決められて嬉しいです」と語る。アシストに回った増田は「チーム右京がダントツに強く動いていて、とにかく(大久保)陣を信じて、最後の勝負に送り込むこと、まとめることに集中しました。ここまでチーム右京が強かったので、この1勝の価値は凄く大きいですね」と語る。

清水裕輔監督は「昨年は突っ込み勝負の面もありましたが今年は実力での勝負。先頭集団にはグランツール経験者が3人、しかもスプリンターのウルタスンに勝ったのは大きいです。でもチーム右京はやはり強かったですね。ウルタスンは単独で合流したし。この勝利で今までの良くない流れを断ち切れるかなと思います。宇都宮、台湾と落車が多く増田を含めて負傷者も出てきていたので。大久保と青柳の成長が今年のチームの課題ですが、いい流れでここまできています」と語る。

Pクラスタ 表彰Pクラスタ 表彰 photo:Hideaki TAKAGIポイント賞(地元賞)1位はホストチームの阿曽圭佑(キナンサイクリングチーム)ポイント賞(地元賞)1位はホストチームの阿曽圭佑(キナンサイクリングチーム) photo:Hideaki TAKAGI

吉川美穂(ASAHI MUUR ZERO)が独走優勝

Fクラスタ 吉川美穂(ASAHI MUUR ZERO)が独走優勝Fクラスタ 吉川美穂(ASAHI MUUR ZERO)が独走優勝 photo:Hideaki TAKAGI女子は9周13.5kmのレース。5周目のポイント賞をきっかけに吉川が単独抜け出して独走優勝。優勝した吉川は「牧瀬さんがスピードを上げた5周目のスプリント賞のあとにそのまま踏んだら後続が離れたのでそのまま踏みました」と語る。
E1 表彰E1 表彰 photo:Hideaki TAKAGI
吉川は4月10日まで3ステージのウイメンズ・ツアー・オブ・タイランド第2ステージで3位、第3ステージは2位と強豪スプリンターの中でも好成績を出し、UCIポイントを獲得していた。「タイでも先行して勝負しました。最終日は600m先行してゴール前10mで差されて2位でした。私は集団の中を一人で縫って上がっていくのが得意です。これからもっと上のレベルのレースで走りたいですね」と語る。世界での活躍が期待される選手の一人だ。
E2 ゴールポイントE2 ゴールポイント photo:Hideaki TAKAGIE3 1組ゴールE3 1組ゴール photo:Satoru KATOE3 2組ゴールE3 2組ゴール photo:Satoru KATO
結果

Pクラスタ 37.5km

1位 大久保陣(宇都宮ブリッツェン)56分24秒
2位 入部正太朗(シマノレーシング)
3位 パブロ・ウルタスン(チーム右京)
4位 アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)
5位 新城雄大(那須ブラーゼン)
6位 オスカル・プジョル(チーム右京)
7位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
8位 小室雅成(ウォークライド・シクロアカデミア)+01秒
9位 宮澤崇史(レモネードベルマーレレーシングチーム)
10位 小畑郁(なるしまフレンド・レーシングチーム)

Jプロツアーリーダー パブロ・ウルタスン(チーム右京)
U23リーダー 新城雄大(那須ブラーゼン)

Fクラスタ 13.5km

1位 吉川美穂(ASAHI MUUR ZERO)24分25秒
2位 牧瀬翼(ASAHI MUUR ZERO)+31秒
3位 智野真央(Neilpryde-Nanshin Subaru Cycling)+32秒

Jフェミニンリーダー 伊藤杏菜(チャンピオンシステムジャパン)

E1クラスタ 27km

1位 藤岡徹也(クラブシルベスト)18点
2位 松木健治(クラブシルベスト)8点
3位 佐藤信哉(VC Fukuoka)7点
4位 小西悠貴(クラブシルベスト)5点
5位 豊田勝徳(コラッジョカワニシサイクリングチーム)5点
6位 井上人志(クラブシルベスト)3点
Jフェミニンリーダー 伊藤杏菜(チャンピオンシステムジャパン)Jフェミニンリーダー 伊藤杏菜(チャンピオンシステムジャパン) photo:Hideaki TAKAGIJエリートツアーリーダー 風間博之(サイクルフリーダムレーシング)Jエリートツアーリーダー 風間博之(サイクルフリーダムレーシング) photo:Hideaki TAKAGI
Jエリートツアーリーダー 風間博之(サイクルフリーダムレーシング)

E2クラスタ 22.5km

1位 野間貴裕(モジュマ エリアゼロナナゴ)5点
2位 山本雅之(チーム・シルクロード)5点
3位 小原洋未(クラブシルベスト)5点
4位 日隈優輔(Pinazou Test Team)5点
5位 松井響(クラブシルベスト)5点
6位 大橋聖二(Honda 栃木 JET)4点

E3クラスタ1組 18.0km

1位 村田雄耶(VC Fukuoka)10点
2位 衣本始司(八ヶ岳 CYCLING CLUB)6点
3位 竹内和城(ネクストリーム・うどん棒)5点
4位 チャールズ・マイケル・ワイズナー(RITCHEY BREZZAカミハギRT)3点
5位 北見涼(TOKYO VENTOS)3点
6位 畦地利哉(名岐ベンド)3点

E3クラスタ2組 18.0km
 
1位 森一馬(AVANT GARDE)13点
2位 阿部航大(ブラウ・ブリッツェン)8点
3位 菊地悠介(湘南ベルマーレサイクル)5点
4位 江口成臣(ブラウ・ブリッツェン)4点
5位 廣田力也(VC Fukuoka)3点
6位 村田修(ドゥールース)1点

photo:高木秀彰、加藤智
text:高木秀彰

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