デパンヌ・コクサイデ3日間レース(UCI2.HC)の最終個人タイムトライアルで世界チャンピオンジャージを着るブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)が勝利。スプリントでハットトリックを果たしたアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)が総合優勝に輝きました。



第3aステージ 「死のトレンチ」と呼ばれる第一次世界大戦の塹壕を通過第3aステージ 「死のトレンチ」と呼ばれる第一次世界大戦の塹壕を通過 photo:Tim de Waele
第3aステージ コース外に投げ出されたテオ・ボス(オランダ、MTNキュベカ)第3aステージ コース外に投げ出されたテオ・ボス(オランダ、MTNキュベカ) photo:Tim de Waele第3aステージ メイン集団をコントロールするカチューシャ第3aステージ メイン集団をコントロールするカチューシャ photo:Tim de Waele



第3aステージ ハンドルを投げ込むアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)とアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)第3aステージ ハンドルを投げ込むアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)とアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ) photo:Tim de Waeleデパンヌ・コクサイデ3日間レース最終日はお決まりのハーフステージ形式。午前中にデパンヌを発着する111.4kmのロードレース(第3aステージ)が行われ、午後の14.2km個人タイムトライアル(第3bステージ)で総合優勝者が決まる。

第3bステージ 優勝を飾ったブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)第3bステージ 優勝を飾ったブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele第3aステージは逃げグループを残り1.7kmで吸収した100名強の集団によるスプリント勝負に。残り1kmでリードアウトトレインを発射されたFDJの後ろからリーダージャージを着るクリストフとアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)がスプリントを開始した。

第3bステージ 2位・10秒差 ステファン・キュング(スイス、BMCレーシング)第3bステージ 2位・10秒差 ステファン・キュング(スイス、BMCレーシング) photo:Tim de Waeleスプリントが進むうちにクリストフがグアルディーニを引き離していく。するとその後方からドイツチャンピオンジャージのアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)が浮上。グライペルがクリストフに並び、両者揃ってハンドルを投げ込んでフィニッシュ。写真判定の結果、わずか5mm差でクリストフの先着が判明した。

第3bステージ 18秒差の3位に入ったアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)第3bステージ 18秒差の3位に入ったアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ) photo:Tim de Waele開幕からスプリント3戦3勝、無敗のハットトリックを達成したクリストフがボーナスタイムによって総合リード拡大に成功。直近のライバルであるステイン・デヴォルデル(ベルギー、トレックファクトリーレーシング)に対して22秒リードで午後の個人タイムトライアルに挑むことに。

第3bステージ 4位・18秒差 ギヨーム・ファンケイルスブルク(ベルギー、エティックス・クイックステップ)第3bステージ 4位・18秒差 ギヨーム・ファンケイルスブルク(ベルギー、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waeleデパンヌとコクサイデの街中を駆ける第3bステージで他を圧倒したのは、世界チャンピオンジャージを着るウィギンズだった。14.2kmコースを17分50秒で駆け抜けたウィギンズがステージ優勝。2014年9月のロード世界選手権以降、ウィギンズがアルカンシェルを着てTTで勝利するのは初めて。

「大会を通してずっと勝負に絡むことが出来たし、タイムトライアルは良いテストになった。今日はチャンスがあると思っていたし、総合表彰台までジャンプアップ出来て良かった」と語るウィギンズは最終的に総合3位に。「北のクラシック」を前に少し体調を崩していたものの、3日後のロンド・ファン・フラーンデレンと10日後のパリ〜ルーベ(チームスカイジャージで走る最終戦)に向けて調子を戻してきた。

「フランドルではゲラント・トーマスとともに勝負所まで残りたい。最終局面のチームメイトの有無は大きな差を生む。とにかくイギリス人選手がフランドルの優勝候補に挙がる良い時代になった」とウィギンズは意気込む。

リーダージャージを着るクリストフはステージ3位の好タイムでフィニッシュし、ウィギンズ以外のライバルたちから更にリードを奪う走りで総合優勝。文句なしの走りで38代チャンピオンに輝いた。

完璧な3日間を締めくくったクリストフは「最終TTで勝利は逃したものの、スタートからフィニッシュまで全開で走ることが出来たし、キャリア最高のTTだったと思う。調子としては去年よりも良くもなく悪くもなく。でもスプリントの感触はとても良い」と語る。今シーズンの勝利数は世界トップの9勝。

注目されるのはやはりロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベでの走りだ。クリストフは2012年ロンド15位・ルーベ57位、2013年ロンド4位・ルーベ9位、2014年ロンド5位・ルーベDNFという成績を残している。「フランドルは過去3年間走っているし、ベルギーレースの経験も積んでいるので登りもよく知っている。ミラノ〜サンレモで起きたようなこと(スプリント敗退)がフランドルでも起こり得るけど、あの時は本調子ではなかった。今は最高の調子だ」とクリストフ。トム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)とファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)のいない「北のクラシック」において、優勝候補の一角に名乗りを上げた。



第3bステージ 優勝を飾ったブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)第3bステージ 優勝を飾ったブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele
第3bステージ デパンヌ総合優勝に輝いたアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)第3bステージ デパンヌ総合優勝に輝いたアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ) photo:Tim de Waele


第3aステージ デパンヌ〜デパンヌ 111.4km
1位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)         2h28’26”
2位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
3位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)
4位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)
5位 ヤコブ・マレツコ(イタリア、サウスイースト)
6位 ライモント・クレダー(オランダ、ルームポット)
7位 ディラン・フルーネヴェーフェン(オランダ、ルームポット)
8位 マルク・サロー(フランス、FDJ)
9位 エンリケ・サンス(スペイン、モビスター)
10位 アントワーヌ・デモアティエ(ベルギー、ワロニー・ブリュッセル)
141位 黒枝士揮(NIPPOヴィーニファンティーニ)                +3’39”
DNF 山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)


第3bステージ デパンヌ〜デパンヌ 14.2km(個人TT)
1位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)              17’50”
2位 ステファン・キュング(スイス、BMCレーシング)                +10”
3位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)            +18”
4位 ギヨーム・ファンケイルスブルク(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
5位 ステイン・デヴォルデル(ベルギー、トレックファクトリーレーシング)      +19”
6位 ジェシー・サージェント(ニュージーランド、トレックファクトリーレーシング)  +28”
7位 ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)        +31”
8位 ジュリアン・ヴェルモト(ベルギー、エティックス・クイックステップ)      +34”
9位 イヴ・ランパート(ベルギー、エティックス・クイックステップ)         +35”
10位 イェンス・モーリス(オランダ、オリカ・グリーンエッジ)           +41”
DNS 黒枝士揮(NIPPOヴィーニファンティーニ)


個人総合成績
3位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)         12h19’10”
2位 ステイン・デヴォルデル(ベルギー、トレックファクトリーレーシング)      +23”
3位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)               +42”
4位 ステファン・キュング(スイス、BMCレーシング)                +50”
5位 ショーン・デビー(ベルギー、ロット・ソウダル)                +58”
6位 ラルスイティング・バク(デンマーク、ロット・ソウダル)            +59”
7位 ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)       +1’13”
8位 ジュリアン・ヴェルモト(ベルギー、エティックス・クイックステップ)     +1’16”
9位 イヴ・ランパート(ベルギー、エティックス・クイックステップ)        +1’17”
10位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)             +1’20”

ポイント賞
アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)

山岳賞
ヤール・サロメイン(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)

チーム総合成績
ロット・ソウダル

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

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