ロンド・ファン・フラーンデレンの開催にあわせて、ピナレロが新たなグランフォンド/北のクラシック用バイクを発表。新型となる「DOGMA K8-S」はリアシートステーにサスペンション機構を取り入れることにより、更なる衝撃吸収性の向上を図ったことが特徴だ。



ベルンハルト・アイゼル(チームスカイ)のピナレロ DOGMA K8-Sベルンハルト・アイゼル(チームスカイ)のピナレロ DOGMA K8-S photo:Makoto.AYANO
エラストマー搭載の専用サスペンションシステム「DSS1.0」をシートステイ上部に搭載エラストマー搭載の専用サスペンションシステム「DSS1.0」をシートステイ上部に搭載 photo:Makoto.AYANOピナレロ DOGMA K8-Sのリアステー周り。チェーンステイはリーフ形状になっているピナレロ DOGMA K8-Sのリアステー周り。チェーンステイはリーフ形状になっている photo:Makoto.AYANO


先代である 「DOGMA K」のフルモデルチェンジから僅か1年たらずで発表された「DOGMA K8-S」。そのネーミングからも想像できる通り、昨年登場した「DOGMA F8」をベースとした1台であり、開発パートナーであるイギリスの自動車メーカー「ジャガー」が持つ振動吸収技術が投入されている。

DOGMA K8-Sをテストするチームスカイのライダー達DOGMA K8-Sをテストするチームスカイのライダー達 (c)Team SkyDSS1.0をチェックするゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)DSS1.0をチェックするゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) (c)Team Skyその特徴はシートステーに設けられた僅か95gと軽量なエラストマー搭載専用サスペンションシステム「DSS1.0」と、板バネの様な設計によって10mmもの変形を可能としたチェーンステー「FLEXSTAYS」を搭載したこと。この組み合わせによって快適性を追求し、荒れた石畳に代表されるフランドルクラシックへの適応力を更に向上させた。

もちろん、快適性向上による剛性及びパワー伝達効率の低下は最小限に抑えられているとのこと。ピナレロ社CEOのファウスト・ピナレロ氏は「石畳の上で要求されるトルクフルかつ正確なペダリングを維持できる様に、衝撃吸収性を最適化している」とプレス向けリリースの中でコメントしている。

また、リアブレーキにはピナレロのロードバイクとしては初となるシートステー取付けタイプのダイレクトマウントを採用し制動力を強化。内蔵式シートポストクランプのネジの本数を、DOGMA F8より1本多い3本とすることにより、より高い固定力を確保。トラブルを未然に防ぐ、より堅実性の高い造りとなっている

大きなアップデートが加えられたリア三角に対して、フロント三角及びフォークはDOGMA F8を踏襲。卵形断面の後ろ半分を切り落としたような形状の「Flatback」チューブ、ブレーキキャリパーやボトルが生む空気抵抗を最小限に留めるようなフレーム形状、緩やかな曲線を描きつつ前方から見た際の車輪とのクリアランスが非常に大きなフォークブレードなど、ジャガーとの共同開発により実現した優れた空力特性を受け継いだ。

素材もDOGMA F8と同じく、優れた剛性、強度、振動吸収性を兼ね備え、自転車業界においてはピナレロのみ使用が許されているという東レの最新カーボン「T1100-1K CARBON Nanoalloy」としている。

結果、先代のDOGMA Kに対して悪路でのパフォーマンスを4.5%、ライダーの快適性を50%向上させることに成功。一方でDOGMA F8に対する重量増は最低限に抑えられており、フレーム単体で990gと軽量。加えて、体重100kgを超える大柄なサイクリストにも対応する高い強度を確保したという。

ピナレロ DOGMA K8-S(672/チームスカイ)ピナレロ DOGMA K8-S(672/チームスカイ) (c)pinarello.comピナレロ DOGMA K8-S(693/BOB)ピナレロ DOGMA K8-S(693/BOB) (c)pinarello.com

ピナレロ DOGMA K8-S(691/カーボンイエローフルオ)ピナレロ DOGMA K8-S(691/カーボンイエローフルオ) (c)pinarello.comピナレロ DOGMA K8-S(689/カーボンレッド)ピナレロ DOGMA K8-S(689/カーボンレッド) (c)pinarello.com


チームスカイのブラドレー・ウィギンズ(イギリス)はプレス向けリリースの中でDOGMA K8-Sについて以下の様に語っている。「DOGMA K8-SはDOGMA F8と同様にルックスも素晴らしく、乗った瞬間からすぐさま違いに気がつく。ひどく荒れた石畳の上で、DOGMA K8-Sほど扱いやすいと感じたバイクにはこれまで乗ったことがない。リアの快適性が大幅に向上し、加えて優れた空力特性と剛性も兼ね備えている。一言で例えるならば『ゲームチェンジャー』というべきバイクだ。」

「石畳を走る際に求められる性能に着目し、それを追求することができた最初のバイクといえるだろう。石畳の上でK8-Sに乗ったライダーとそうでないバイクに乗ったライダーを比較したテストは非常に興味深いものであった。K8-Sはロンドやパリ~ルーベへ向けての大きなアドバンテージであり、我々の自信を高めてくれる。チームスカイ、ジャガー、ピナレロのコラボレーションによるイノベーションと独走的なアイデアは、他のチームとバイクメーカーのそれよりも数段優っているね。」



DOGMA K8-Sは4月5日(日)に開催されるロンド・ファン・フラーンデレンで実戦投入される。プレスリリースのなかではウィギンズ、ゲラント・トーマス(イギリス)、イアン・スタナード(イギリス)という3名のエース級ライダーが駆る予定とされていたが、実際にはアシストとして活躍が期待されるベルンハルト・アイゼル(オーストリア)らにも供給されている。

販売パッケージはフレームセット及び機械式DURA-ACE完成車の2種類。サイズは44、46.5、50、51.5、53、54、55、56、57.5、59.5の10種類と豊富に揃う。カラーは672/チームスカイ、691/カーボンイエローフルオ、689/カーボンレッド、693/BOBの4色がラインアップされる。取り扱いはピナレロ・ジャパン。



ピナレロ DOGMA K8-S
フレーム:T1100-1K CARBON Nanoalloyカーボン、THNIK2(電動/メカニカル兼用)対応
フロントフォーク:ONDA F8 Carbon T1100-1K Nanoalloy Torayca
ボトムブラケット:スレッド(イタリアン)
コンポーネント:シマノ DURA-ACE9000系(メカニカル)
ホイール:マヴィック KSYRIUM SLE WTS
ハンドル:ジャガー XA 2016
ステム:MOst TIGER-ULTRA
サイズ:44、46.5、50、51.5、53、54、55、56、57.5、59.5(C-C)
フレーム重量:990g(サスペンション付き、塗装前サイズ53)
カラー:672/チームスカイ、691/カーボンイエローフルオ、689/カーボンレッド、693/BOB
価 格:810,000円(税抜、フレームセット)、1,350,000円(税抜、DURA-ACE完成車)
デリバリー:6月~7月 689/カーボンレッド(フレームセット)、7~8月 カーボンレッド(DURA-ACE完成車)、その他カラーは10月以降順次

photo:Makoto.AYANO, Cicli Panarello S.P.A.