ベルギーにクラシックシーズンの本格到来を告げるドワーズ・ドア・フラーンデレン(UCI1.HC)が開催。並み居る強豪UCIワールドチームを下し、イェーレ・ワレイス(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)が逃げの展開から勝利をつかみました。



路肩の轍を走る追走グループ路肩の轍を走る追走グループ photo:Tim de Waele


側溝に落ちたマチェイ・ボドナール(ポーランド、ティンコフ・サクソ)側溝に落ちたマチェイ・ボドナール(ポーランド、ティンコフ・サクソ) photo:Tim de Waele3月25日、今年で70回目を迎えるドワーズ・ドア・フラーンデレンがベルギーで開催された。「フランドル横断レース」とも呼ばれるこの大会を皮切りに、ベルギーのフランドル地方はクラシックウィークに突入。同じ主催者のロンド・ファン・フラーンデレン(4月5日)でクラシック熱は頂点を迎える。

マルセル・アレッゲル(スイス、IAMサイクリング)を介抱するリュトガー・ゼーリッヒ(ドイツ、カチューシャ)マルセル・アレッゲル(スイス、IAMサイクリング)を介抱するリュトガー・ゼーリッヒ(ドイツ、カチューシャ) photo:Tim de Waeleルーセラーレとワレヘムを結ぶ200kmに登場する急坂は12カ所。その多くは石畳が敷かれた悪路で、「レベルグ」や「ファルケンブルグ」「エイケンベルグ」「オウデ・クワレモント」「パテルブルグ」「ノケレベルグ」などが後半100kmに詰め込まれている。まさにロンドの前哨戦とも呼ぶべき1日は、フランドルらしい曇り&雨の天候に見舞われた。

ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)が入った先頭グループミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)が入った先頭グループ photo:Tim de Waeleフランス南東部に墜落したジャーマンウィングス機の犠牲者を偲ぶ1分間の黙祷を経てレースは動き出す。集団内で頻発した落車と断続的なアタックを切り抜けて飛び出したのは9名。リー・ハワード(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)やマティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)、バルト・ドックス(ベルギー、ロット・ソウダル)、イェーレ・ワレイス(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)らが逃げた。

アタックを仕掛けるラース・ボーム(オランダ、アスタナ)アタックを仕掛けるラース・ボーム(オランダ、アスタナ) photo:Tim de Waele2年連続3度目の勝利を目指すニキ・テルプストラ(オランダ)擁するエティックス・クイックステップが集団先頭を牛耳り、最大3分まで広がったタイム差を1分以内に抑え込んで後半の勝負所へ。するとフィニッシュまで60kmを残した「エイケンベルグ」でワレイスとドックスが先行。そこからワレイスが抜け出し、大集団を相手に独走に持ち込む。

石畳コースを走るナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)石畳コースを走るナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:Tim de Waele30秒ほどのリードを得たワレイスに合流したのは、残り56km地点の「ターインベルグ」で飛び出したミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)、ディラン・ファンバールレ(オランダ、キャノンデール・ガーミン)、エドワード・テウンス(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)の3名だった。ほどなくしてこの3名は先頭ワレイスに追いつき、世界チャンピオンを含む先頭グループが形成される。

4名の先頭グループを率いるイェーレ・ワレイス(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)4名の先頭グループを率いるイェーレ・ワレイス(ベルギー、トップスポートフラーンデレン) photo:Tim de Waele20名弱の追走グループから「オウデ・クワレモント」でラース・ボーム(オランダ、アスタナ)がアタックして単独追走を仕掛けたものの、舗装路の下りコーナーで落車してしまう。同じコーナーで併走モーターバイクやステイン・デヴォルデル(ベルギー、トレックファクトリーレーシング)も落車。

後続のトラブルも手伝って、先頭4名は1分以上のリードを築きながら最後の「ノケレベルグ」をクリア。そのままフィニッシュ地点ワレヘムの街に差し掛かり、残り1kmでワレイスが最初に仕掛けた。

追走する立場のクヴィアトコウスキーとファンバールレは協調体制を築けず、クヴィアトコウスキーの追撃アタックも届かず。ワレイスが2秒差でフィニッシュまで逃げ切り、そのすぐ後ろでチームメイトのテウンスが喜びの表情でフィニッシュラインを駆け抜けた。

2014年のパリ〜トゥールに続く逃げの展開からの勝利。UCIプロコンチネンタルチームのトップスポートフラーンデレンに大きな成功をもたらした24歳のワレイスは「昨年のパリ〜トゥールよりも価値ある勝利だ。自分の生まれ故郷をスタートするローカルレースであり、多くのファンが駆けつけてくれた。自分の故郷で行われるクラシックで勝つなんて最高の気分。ファンタスティックだ」とコメントする。

「レース終盤、スプリントに長けた(チームメイトの)エドワードのためにアタックしたところ、後続と思わぬ距離が開いたので、セカンドチャンスが舞い込んできた。こんなチャンスを与えてくれた彼に感謝している。もう力を使い果たしていたけど、クヴィアトコウスキーとファンバールレの牽制が勝負を決めたよ」と勝負を振り返るワレイス。「UCIワールドチームからの交渉を待つ」と、トップチームにアピールした。

またこの日、ツール・ド・フランスの石畳ステージを見据えてナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)が出走。終盤の勝負どころで集団から遅れ、7分02秒遅れの78位でレースを終えている。

選手コメントはレース公式サイトより。



4名での勝負を制したイェーレ・ワレイス(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)4名での勝負を制したイェーレ・ワレイス(ベルギー、トップスポートフラーンデレン) photo:Tim de Waele


ドワーズ・ドア・フラーンデレン2015結果
1位 イェーレ・ワレイス(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)      4h35’59”
2位 エドワード・テウンス(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)        +02”
3位 ディラン・ファンバールレ(オランダ、キャノンデール・ガーミン)
4位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)  +04”
5位 ギヨーム・ファンケイルスブルク(ベルギー、エティックス・クイックステップ) +1’20”
6位 ティエシー・ベノート(ベルギー、ロット・ソウダル)             +1’29”
7位 シリル・ルモワンヌ(フランス、コフィディス)
8位 イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル)
9位 ニコラス・マース(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
10位 アレクセイ・ツァテヴィツク(ロシア、カチューシャ)

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

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