アドリア海に面した平坦路を往復する平坦な10kmで行われたティレーノ〜アドリアティコ最終個人タイムトライアル。ここまで数秒差で勝利を逃していたファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)が最速タイムで優勝した。



トップタイムで優勝したファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)トップタイムで優勝したファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング) photo:Tim de Waele


ステージ2位・4秒差 アドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター)ステージ2位・4秒差 アドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター) photo:Tim de Waele「もちろんすごく嬉しいよ。ここ最近アドリアーノ(マローリ)を始めとする若手の台頭が著しい。彼はプロローグだけではなく長距離TTでも勝つようになるだろう。個人TTは細かい詰めの積み重ねであり、今日はアドリアーノの走りを細かく観察した。プロローグで犯したミスを繰り返さないように心がけ、現在の力を最大限発揮出来たと思う」。10kmの平坦コースを平均52.7km/hで駆け抜け、11分23秒の一番時計を記録したカンチェラーラはそう語った。

ステージ3位・9秒差 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ)ステージ3位・9秒差 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ) photo:Tim de Waeleサンベネデット・デル・トロントで行われる毎年恒例のティレーノ〜アドリアティコ最終個人タイムトライアル。プロローグのような定番コースでカンチェラーラとマローリが再び相見えた。

ちょうど1年前の同じ個人TTで勝利したのはマローリで、カンチェラーラは6秒差の2位。さらに5.7kmの短距離で行われた今大会第1ステージの個人TTでマローリが勝利し、カンチェラーラは1秒差の2位。長距離TTではカンチェラーラに分があるが、密度の濃い短距離TTではマローリが勝ち続けていた。

結果は、マローリを4秒差で下したカンチェラーラの勝利。5日後に控えたミラノ〜サンレモや、その先の「北のクラシック」に向けて弾みとなる成功を収めた。

「ストラーデビアンケとティレーノはミラノ〜サンレモの準備レースとして知られているけど、今日は10kmで、ミラノ〜サンレモは世界最長の300kmだ。常に集中力を保ち、どこで力を使うべきかを見極めなければならない。フィニッシュ地点がローマ通りに戻されたことがレースに影響するとは思うけど、どんな展開になるのかは予想不可能。それよりも展開に大きく左右するのは天候であり、まだレースについて考えを巡らせてはいない」と、34歳の誕生日を翌日に控えたカンチェラーラは語る。

なお、クラシックシーズンでカンチェラーラの最大のライバルになると目されるペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)は完全に手を抜いて最下位フィニッシュ。前日に無理せずリタイアしたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)然り、各選手がミラノ〜サンレモを見据えたコンディショニングに励んでいる。



ステージ55位・55秒差 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)ステージ55位・55秒差 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:Tim de Waele


ステージ22位・34秒差 バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)ステージ22位・34秒差 バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング) photo:Tim de Waele青いリーダージャージを着て走ったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)は、総合2位バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)や総合3位リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)らにリードを縮められながらも首位を守り切った。最終的にモレマとの総合タイム差は18秒、ウランとは31秒だった。

ステージ26位・38秒差 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)ステージ26位・38秒差 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waele「自分自身のためにも、ファンのためにも、このティレーノ〜アドリアティコで総合優勝しなければならなかった。好調のまま挑んだ昨年ブエルタ・ア・エスパーニャの個人TTで酷い落車をしてファンをがっかりさせてしまった。今年のツール・ド・サンルイスでも総合表彰台に上ったものの勝てなかった。だから何が何でもここで勝たなければならなかったんだ」と25歳の小柄なコロンビアンクライマーは語る。2015年、キンタナは連覇が懸かったジロ・デ・イタリアをパスし、ツール・ド・フランスに集中する予定だ。

新城幸也(ユーロップカー)はステージ90位のタイムにまとめ、総合68位フィニッシュ。「シーズン初戦のUCIワールドツアーで逃げることが出来たり、追い込めたので、コンディションが上がりました。次レースのショレ・ペイ・ド・ロワール(3月22日)、クリテリウム・アンテルナシオナル(3月28日〜29日)には良い状態で臨めそうだ」とコメントしている。

選手コメントはレース公式リリースならびにTeamユキヤ通信より。



ステージ16位・31秒差 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)ステージ16位・31秒差 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:Tim de Waele


ティレーノ~アドリアティコ2015第7ステージ結果
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)
2位 アドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター)
3位 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ)
4位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター)
5位 マチェイ・ボドナール(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
6位 マイケル・ヘップバーン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
7位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、キャノンデール・ガーミン)
8位 スティーブ・クミングス(イギリス、MTNキュベカ)
9位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)
10位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、MTNキュベカ)
90位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
11’23”
+04”
+09”
+12”
+16”

+17”
+23”
+25”
+26”
+1’19”


個人総合成績
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア・モビスター)
2位 バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)
3位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)
4位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
5位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
6位 スティーブ・クミングス(イギリス、MTNキュベカ)
7位 ワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ)
8位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
9位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
10位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ)
68位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
25h11’16”
+18”
+31”
+35”
+39”
+40”
+56"
+59”
+1’09”
+1’11”
+29’46”


山岳賞
カルロス・キンテロ(コロンビア、チームコロンビア)

ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)

ヤングライダー賞
ナイロ・キンタナ(コロンビア・モビスター)

チーム総合成績
モビスター

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

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