イタリア・トスカーナ州のシエナ近郊を舞台に第9回ストラーデビアンケが開催。次第に数を減らす精鋭グループの中で生き残り、ゴール前の登坂でライバルを引き千切ったチェコナショナルチャンピオンがカンポ広場で腕を振り上げた。
砂煙を蹴立て、延々と連なる丘を縫うように走るストラーデ・ビアンケ photo:CorVos
ストラーデ・ビアンケ2015コースマップ
テクニカルな未舗装のダウンヒルをこなす選手たち photo:CorVos
集団内で走るヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:CorVos
終盤に形成された9名の強力な先頭グループ photo:CorVosベルギーや北フランスでセミクラシックが開催され、いよいよパリ〜ルーベやロンド・ファン・フラーンデレンに向けての機運が高まる中、イタリアはトスカーナ州で開催されたストラーデビアンケ。直訳で「白い道(Strade Bianche)」を意味するこのレースは、石畳や急坂を走る「北のクラシック」とは異なり、その名の通り丘陵地帯に続く未舗装路を駆け抜ける特異なレイアウトが特徴だ。
今年遂に200kmに達したコースには未舗装区間が計10セクション用意されており、その合計は45.1kmにも及ぶ。最短で800m、最長で11.5kmの「ストラーデ・ビアンケ」は基本的に石畳のそれとは異なる踏み固められたフラットダートだが、普段農道として使われているだけに予期せぬ凹凸が現れることも。テクニカルな下りも用意され、単純な走力はもちろんコントロールスキルやコースに合わせた機材、そして万全なバックアップ体制が求められるレースだ。
快晴に恵まれたサン・ジミニャーノのスタート地点には13のワールドチームを筆頭に、全20チームの選手達が集結。膳年度覇者のミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド)は出走せず、エティックス・クイックステップはニキ・テルプストラ(オランダ)とゼネク・スティバル(チェコ)のダブルエース体制を敷く。また日本からは石橋学(NIPPOヴィーニファンティーニ)が、イタリアナショナルチームからはMTBで活躍するマルコアウレリオ・フォンタナが出走した。
まず先手を打ったのはイリア・コシェヴォイ(ベラルーシ、ランプレ・メリダ)やジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)ら8名の逃げグループ。NIPPOヴィーニファンティーニは2名(ジャコモ・ベルラート&ダニエーレ・コッリ、共にイタリア)をエスケープに乗せ、レースは暫くこのままの体制で進んでいく。
ワインの産地として世界的に知られ、延々と続く丘にブドウ畑が広がるキャンティ地方を縫うようにプロトンは走る。白い砂煙を蹴立てる集団の内部では小さな落車も発生し、サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)らが巻き込まれてしまう。
ゴールまで60kmを切ってタイム差が縮小すると、いよいよ集団ではティンコフ・サクソやモビスターらが徐々にペースアップを開始する。強く吹き付けた横風も手伝って人数が減る中、逃げ吸収と共に超強力な9名が先行を始める。メンバーは以下の通り。
セプ・ファンマルク(ベルギー、ロットNLユンボ)
ディエゴ・ローザ(イタリア、アスタナ)
ネイサン・ハース(オーストラリア、キャノンデール・ガーミン)
ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)
ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)
ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)
グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)、ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が先行するも吸収される photo:CorVos
積極的に仕掛けるグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング) photo:CorVosすると間髪入れずにスティバル、サガン、そしてバルベルデがアタックし、3名の第1グループが形成される。慣例的に1つのレースで2人のナショナルチャンピオンを決めるチェコスロバキア選手権の勝者2名(スティバルとサガン)とバルベルデという逃げは20秒ほどのリードを得たものの、残る6名がゴールまで40kmを切った段階で吸収する。
オスとファンアフェルマートのBMCコンビが積極的に抜け出す動きを見せるものの、決定的な動きには繋がらない。次いでファンマルクやスティバルが登りでペースアップを図ると、どこか走りに精彩を欠くサガンやカンチェラーラらは千切れてしまう。やがて先頭3名(バルベルデ、スティバル、ファンアフェルマート)→追走1名(ファンマルク)→追走2名(カンチェラーラ、オス)という構図に切り替わった。
先頭からサガンが脱落したため、メイン集団ではティンコフ・サクソが牽引を開始するも時既に遅し。均等なローテーションでペースを維持する先頭3名、そして遅れながらも粘るファンマルクに追いつくことは終始叶わなかった。
残り3kmを切ると3名の中に駆け引きが生じ、ローテーションを飛ばしたファンアフェルマートにスティバルがいらだつ場面も。やがてスティバルもバルベルデの付き位置に入り、じりじりとした展開のままカンポ広場へと続く最後の急坂に突入する。
先頭グループで積極的に前を牽いたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:CorVos
粘り強く先頭3名を追い続けたセプ・ファンマルク(ベルギー、ロットNLユンボ)は4位に photo:CorVos
カンポ広場に飛び込むゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ) photo:CorVos
ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)が表彰台の中央に。チームはストラーデ・ビアンケ2連覇だ photo:CorVosすると後方からファンアフェルマートが勢い良く先行し、反応したバルベルデは追いつく寸前で失速。バルベルデを上手く使ったスティバルは頂上付近でファンアフェルマートをパスすると、勢いをキープしたままテクニカルな路地の下りをクリア。ファンアフェルマートを2秒をつけ、勢い良く腕を振り上げた。
チームを大会2連覇に導いたスティバルは以下のように述べている。
「今日は全てが上手くいったし、この成功にとても興奮している。チームが僕を信頼して託してくれたことに対して凄く価値を感じているし、ハッピーに思う。今日のようなテクニカルなレースは完全に僕向きだ。サガンとバルベルデの3人になったときは"まだ早い"と感じていて、来るべきタイミングを待った。最後はバルベルデもそうだけれど、牽かなくなったファンアフェルマートを特に警戒したいた。最後は自分のフィニッシュラインは登坂の頂上だと思って全力で踏んだんだ。」
なおNIPPOヴィーニファンティーニの石橋学は24分14秒遅れの85位でゴールし、初のストラーデ・ビアンケを走りきっている。
ストラーデ・ビアンケ2015結果
text:So.Isobe
photo:CorVos





今年遂に200kmに達したコースには未舗装区間が計10セクション用意されており、その合計は45.1kmにも及ぶ。最短で800m、最長で11.5kmの「ストラーデ・ビアンケ」は基本的に石畳のそれとは異なる踏み固められたフラットダートだが、普段農道として使われているだけに予期せぬ凹凸が現れることも。テクニカルな下りも用意され、単純な走力はもちろんコントロールスキルやコースに合わせた機材、そして万全なバックアップ体制が求められるレースだ。
快晴に恵まれたサン・ジミニャーノのスタート地点には13のワールドチームを筆頭に、全20チームの選手達が集結。膳年度覇者のミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド)は出走せず、エティックス・クイックステップはニキ・テルプストラ(オランダ)とゼネク・スティバル(チェコ)のダブルエース体制を敷く。また日本からは石橋学(NIPPOヴィーニファンティーニ)が、イタリアナショナルチームからはMTBで活躍するマルコアウレリオ・フォンタナが出走した。
まず先手を打ったのはイリア・コシェヴォイ(ベラルーシ、ランプレ・メリダ)やジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)ら8名の逃げグループ。NIPPOヴィーニファンティーニは2名(ジャコモ・ベルラート&ダニエーレ・コッリ、共にイタリア)をエスケープに乗せ、レースは暫くこのままの体制で進んでいく。
ワインの産地として世界的に知られ、延々と続く丘にブドウ畑が広がるキャンティ地方を縫うようにプロトンは走る。白い砂煙を蹴立てる集団の内部では小さな落車も発生し、サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)らが巻き込まれてしまう。
ゴールまで60kmを切ってタイム差が縮小すると、いよいよ集団ではティンコフ・サクソやモビスターらが徐々にペースアップを開始する。強く吹き付けた横風も手伝って人数が減る中、逃げ吸収と共に超強力な9名が先行を始める。メンバーは以下の通り。
セプ・ファンマルク(ベルギー、ロットNLユンボ)
ディエゴ・ローザ(イタリア、アスタナ)
ネイサン・ハース(オーストラリア、キャノンデール・ガーミン)
ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)
ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)
ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)
グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)


オスとファンアフェルマートのBMCコンビが積極的に抜け出す動きを見せるものの、決定的な動きには繋がらない。次いでファンマルクやスティバルが登りでペースアップを図ると、どこか走りに精彩を欠くサガンやカンチェラーラらは千切れてしまう。やがて先頭3名(バルベルデ、スティバル、ファンアフェルマート)→追走1名(ファンマルク)→追走2名(カンチェラーラ、オス)という構図に切り替わった。
先頭からサガンが脱落したため、メイン集団ではティンコフ・サクソが牽引を開始するも時既に遅し。均等なローテーションでペースを維持する先頭3名、そして遅れながらも粘るファンマルクに追いつくことは終始叶わなかった。
残り3kmを切ると3名の中に駆け引きが生じ、ローテーションを飛ばしたファンアフェルマートにスティバルがいらだつ場面も。やがてスティバルもバルベルデの付き位置に入り、じりじりとした展開のままカンポ広場へと続く最後の急坂に突入する。




チームを大会2連覇に導いたスティバルは以下のように述べている。
「今日は全てが上手くいったし、この成功にとても興奮している。チームが僕を信頼して託してくれたことに対して凄く価値を感じているし、ハッピーに思う。今日のようなテクニカルなレースは完全に僕向きだ。サガンとバルベルデの3人になったときは"まだ早い"と感じていて、来るべきタイミングを待った。最後はバルベルデもそうだけれど、牽かなくなったファンアフェルマートを特に警戒したいた。最後は自分のフィニッシュラインは登坂の頂上だと思って全力で踏んだんだ。」
なおNIPPOヴィーニファンティーニの石橋学は24分14秒遅れの85位でゴールし、初のストラーデ・ビアンケを走りきっている。
ストラーデ・ビアンケ2015結果
1位 ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)
2位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
4位 セプ・ファンマルク(ベルギー、ロットNLユンボ)
5位 ディエゴ・ローザ(イタリア、アスタナ)
6位 オスカル・ガット(イタリア、アンドローニ・ジョカトリ)
7位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)
8位 ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
9位 プリジミスラウ・ニエミエック(ポーランド、ランプレ・メリダ)
10位 ジャンパオロ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ)
2位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
4位 セプ・ファンマルク(ベルギー、ロットNLユンボ)
5位 ディエゴ・ローザ(イタリア、アスタナ)
6位 オスカル・ガット(イタリア、アンドローニ・ジョカトリ)
7位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)
8位 ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
9位 プリジミスラウ・ニエミエック(ポーランド、ランプレ・メリダ)
10位 ジャンパオロ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ)
5h22'13"
+02"
+18"
+46"
+56"
+59"
+1'02"
+1'03"
+02"
+18"
+46"
+56"
+59"
+1'02"
+1'03"
text:So.Isobe
photo:CorVos
Amazon.co.jp