首都マスカットのマトラ海岸通にフィニッシュするツアー・オブ・オマーン第6ステージで4名の逃げ切りが決まり、元アワーレコード保持者のマティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)がステージ優勝の栄冠を手にした。



波打つ山岳地帯を進むプロトン波打つ山岳地帯を進むプロトン photo:Tim de Waele


首都マスカットに差し掛かるプロトン首都マスカットに差し掛かるプロトン photo:Tim de Waeleオマーン最終ステージは首都マスカットにフィニッシュする平坦コース。後半にかけて2つのKOMを越えて、マトラ海岸通の7km周回コースを2周する。この日のために山岳ステージを乗り越えてきたスプリンターたちが鼻息を荒くするレイアウトだが、脚の揃った4人の逃げがスプリンターチームの計算を狂わせた。

逃げるイーリョ・ケイセ(ベルギー、エティックス・クイックステップ)ら4名逃げるイーリョ・ケイセ(ベルギー、エティックス・クイックステップ)ら4名 photo:Tim de Waeleレースがキャンセルされた第5ステージを除いて4日連続で逃げていたジェフ・ファンメイルハーグ(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)がこの日も当然のように逃げに乗る。イーリョ・ケイセ(ベルギー、エティックス・クイックステップ)とマティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)、ダニー・ペイト(アメリカ、チームスカイ)が加わり、4名による逃げが始まった。

メイン集団をコントロールするランプレ・メリダメイン集団をコントロールするランプレ・メリダ photo:Tim de Waele138.5kmという比較的短いステージにも関わらずタイム差は9分まで広がり、後半にかけて先頭4名がペースを上げて抵抗する。KOMでモビスターがペースアップを試みると、ポイント賞ジャージを着るアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)らは脱落。コフィディス率いるメイン集団が引き続き追走したが、先頭4名は粘り強くハイスピード巡行を続けた。

マトラ海岸通の周回コースを走るマトラ海岸通の周回コースを走る photo:Tim de Waele逃げ切りが確定的になったところで現れた残り3kmの短い登りで先頭4名の間に亀裂が生まれる。力強くアタックしたブランドルが数秒のリードを得て独走開始。2014年10月にアワーレコードに挑戦し、イェンス・フォイクト(ドイツ)の記録を742m塗り替える51.852kmの新記録(当時)をマークした24歳がそのままフィニッシュまで独走した(現アワーレコード保持者は2015年2月8日に52.491kmを記録したローハン・デニス)。

「コースプロフィールを見て逃げ向きだと思っていた。残り50kmの時点でタイム差は8分あったので、逃げの4人の足も揃っていたし、集団には捕まらないと確信したよ。平等にローテーションを回し、同じ目標に向かって走り続けた他の逃げメンバーに感謝している。残り3kmの登りを全開でアタック。フィニッシュラインで両手を挙げるのはいつだって最高だ」とブランドル。次戦オンループ・ヘット・ニュースブラッドやティレーノ〜アドリアティコに向けて好調ぶりを確認した。

1分16秒遅れの集団はペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)を先頭にフィニッシュ終始ランプレ・メリダにプロテクトされ、9秒の総合リードを守ったラファエル・バルス(スペイン)が総合優勝を決めた。「今日は総合に関係のない逃げの4名がボーナスタイムを全て潰してくれる理想的な展開だった。終盤にかけて向かい風が吹いて、アタックに不利な状況だったことも味方したよ。支えてくれたチームメイトやスタッフ全員にこの勝利を捧げたい」と、キャリア最高の勝利を手にしたスペイン・バレンシア地方出身の27歳は語っている。

選手コメントはチーム公式サイトより。



逃げメンバーを振り切って勝利したマティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)逃げメンバーを振り切って勝利したマティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング) photo:Tim de Waeleラファエル・バルス(スペイン、ランプレ・メリダ)の勝利を祝福するティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)ラファエル・バルス(スペイン、ランプレ・メリダ)の勝利を祝福するティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) photo:Tim de Waele


ツアー・オブ・オマーン2015第6ステージ結果
1位 マティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)      3h02’31”
2位 イーリョ・ケイセ(ベルギー、エティックス・クイックステップ)       +04”
3位 ジェフ・ファンメイルハーグ(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)   +13”
4位 ダニー・ペイト(アメリカ、チームスカイ)                 +16”
5位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)           +1’16”
6位 ラモン・シンケルダム(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
7位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)
8位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
9位 アレクセイ・ルトセンコ(カザフスタン、アスタナ)
10位 サム・ベネット(アイルランド)、ボーラ・アルゴン18)

個人総合成績
1位 ラファエル・バルス(スペイン、ランプレ・メリダ)          21h09’31”
2位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)        +09”
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)             +19”
4位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)            +32”
5位 ジャック・ジャンセヴァンレンスバーグ(南アフリカ、MTNキュベカ)     +1’04”
6位 ルイス・マインティーズ(南アフリカ、MTNキュベカ)            +1’08”
7位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)               +1’10”
8位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)               +1’15”
9位 ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)   +1’25”
10位 パトリック・コンラート(オーストリア、ボーラ・アルゴン18)       +1’36”

ポイント賞
アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)

ヤングライダー賞
ルイス・マインティーズ(南アフリカ、MTNキュベカ)

チーム総合成績
BMCレーシング

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

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