終盤にかけて連続する2つのKOMを越えて、フィニッシュラインにやってきたのは19名の小集団。シーズン序盤から登れている精鋭達によるスプリント勝負でファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)が今季初勝利を飾った。



白壁の町並みを抜けてフィニッシュを目指す白壁の町並みを抜けてフィニッシュを目指す photo:Tim de Waele


ツアー・オブ・オマーン2015第2ステージツアー・オブ・オマーン2015第2ステージ image:A.S.O.「すごく嬉しいし満足している。カタールでは惜しいところまで行きながらも成績を残せなかった。だからチームに大きな自信を与えてくれる勝利だ。乾燥しているとは言え40度まで気温が上がったので、中盤は暑さに苦しんでいた。フィニッシュに向けて海が近づくにつれて空気が変わり、なんとかリフレッシュして勝負に挑めたんだ」。ステージ優勝を飾り、リーダージャージを手にしたカンチェラーラはレース後にそうコメントしている。

アスタナ率いるメイン集団がモスク前を通過するアスタナ率いるメイン集団がモスク前を通過する photo:Tim de Waeleアルハズム・キャッスルからアルブスタンまでの195kmで行われたツアー・オブ・オマーン第2ステージ。残り25kmを切ってから登場する2つのKOMがカタールとのキャラクターの違いを明確にする。特にフィニッシュ5km手前のKOMアルジサー(3.0km/8%)がスプリンターのフィニッシュラインへの侵入を拒む。

逃げるガティス・スムクリス(ラトビア、カチューシャ)ら3名逃げるガティス・スムクリス(ラトビア、カチューシャ)ら3名 photo:Tim de Waeleレース序盤に形成されたガティス・スムクリス(ラトビア、カチューシャ)と、トップスポートフラーンデレンのジェフ・ファンメイルハーグ(ベルギー)&プレベン・ファンヘッケ(ベルギー)のエスケープトリオが先行する展開。メイン集団を率いたいのはリーダージャージ擁するアスタナと、ペーター・サガン(スロバキア)での勝利を目指すティンコフ・サクソだった。

ティンコフ・サクソ率いるメイン集団がオマーン内陸部を進むティンコフ・サクソ率いるメイン集団がオマーン内陸部を進む photo:Tim de Waele内陸を貫く幅広コースは集団走行向き。先頭ではスムクリスが独走に持ち込んだものの、最後のKOMアルジサーを前に吸収される。平均勾配8%の直線的な登りでクライマーたちの戦いが始まった。

終盤にかけて連続して登場したアップダウン終盤にかけて連続して登場したアップダウン photo:Tim de Waeleティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)らの強力なプッシュによって集団は粉砕され、ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)やアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)らが前方を固めて頂上をクリア。下りで後続が追いつき、20名弱の集団がフィニッシュラインにやってきた。

「終始チームメイトに助けられたよ。特にジュリアンには登りで助けられた。彼が先頭でアタックに反応してくれたので、自分は後方でリズムを刻めばよかったんだ。頂上通過後、先頭集団に3人を揃えていたBMCレーシングがアタックを許さないペースで状況をコントロールしていたことが功を奏した」と語るカンチェラーラが、先頭でスプリントを開始したグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)を追い上げる。

シッティングでカンチェラーラが力を込め、ダンシングでもがくファンアフェルマートやペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)をパス。軽快なスプリントで追い上げたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)を振り切って、カンチェラーラが勢い良く両手を挙げた。

クラシックシーズンに向けて順調な仕上がりを示したカンチェラーラがシーズン初勝利。総合首位に立ったカンチェラーラはリーダージャージを着て平坦な第3ステージに挑む。

選手コメントはトレックファクトリーレーシング公式サイトより。



登り基調のスプリントで勝利したファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)登り基調のスプリントで勝利したファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング) photo:Tim de Waele
リーダージャージに袖を通したファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)リーダージャージに袖を通したファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング) photo:Tim de Waele


ツアー・オブ・オマーン2015第2ステージ結果
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)4h36’46”
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
3位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
4位 フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)
5位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
6位 ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)
7位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
8位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
9位 アンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)
10位 キャメロン・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

個人総合成績
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)8h22’14”
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)             +04”
3位 パトリック・コンラート(オーストリア、ボーラ・アルゴン18)        +05”
4位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)        +06”
5位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)            +10”
6位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)
7位 アンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)
8位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
9位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
10位 ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)

ポイント賞
ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)

ヤングライダー賞
パトリック・コンラート(オーストリア、ボーラ・アルゴン18)

チーム総合成績
BMCレーシング

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele