残すところ2ステージとなったツアー・オブ・カタール。ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)とのスプリントを制したアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)が大会3勝目を挙げた。



スタート前のエディ・メルクス氏とマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)スタート前のエディ・メルクス氏とマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・アルペシン) photo:A.S.O.大会スタッフと記念撮影に応じるブラッドレー・ウィギンス(イギリス、チームスカイ)大会スタッフと記念撮影に応じるブラッドレー・ウィギンス(イギリス、チームスカイ) photo:A.S.O.

修復作業中の世界遺産フォート・アル・ズバラからスタートした第5ステージ修復作業中の世界遺産フォート・アル・ズバラからスタートした第5ステージ photo:A.S.O.


スタートフラッグを前に3賞ジャージを着た選手たちが集合スタートフラッグを前に3賞ジャージを着た選手たちが集合 photo:A.S.O.ニキ・テルプストラ(オランダ、エティックス・クイックステップ)を守って走るトム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)ニキ・テルプストラ(オランダ、エティックス・クイックステップ)を守って走るトム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ) photo:A.S.O.2日連続で砂漠を逃げたデミトリ・グルージェフ(カザフスタン、アスタナ)2日連続で砂漠を逃げたデミトリ・グルージェフ(カザフスタン、アスタナ) photo:A.S.O.スプリントに備えてトレインを形成し始めるティンコフ・サクソスプリントに備えてトレインを形成し始めるティンコフ・サクソ photo:A.S.O.カタール半島の北部を巡る、ツアー・オブ・カタール第5ステージ。世界遺産にも登録されたフォート・アル・ズバラの前からスタートし、一旦内陸に入ったあと折り返して海岸線を北上し、マディナ・アッシュ・シャマルの周回コースへと向かう153kmのレースだ。

レースが始まった直後から、エティックス・クイックステップが激しく攻撃を仕掛ける。集団はこのペースアップによって、いくつものエシュロンに分断され、先頭に残ったのは40名のみとなった。リーダージャージのニキ・テルプストラ(オランダ、エティックス・クイックステップ)や、アレクサンダー・クリストフ、ペーター・サガンは先頭に残る一方、総合2位につけるマチェイ・ボドナール(ポーランド、ティンコフ・サクソ)や、ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)らが後方に取り残される。

しかし、追走集団は諦めず粘りの走りを見せる。両者のタイム差は35秒以上に広がることなく、62km地点で追走集団は合流に成功。集団は再び一つに戻り、状況は振り出しに戻ることとなった。

その後、ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)、マルコ・ハラー(オーストリア、カチューシャ)、デミトリ・グルージェフ(カザフスタン、アスタナ)、ジェル・ワレイス(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)、マシュー・ヘイマン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)の5名が逃げを成功させる。

残り50kmを残して、2分30秒までタイムギャップを獲得した5名だったが、ゴールスプリントに向けて速度を上げる集団はマディナ・アッシュ・シャマルの周回を1周残した、残り18km地点で逃げを全て吸収。

ゴールへと突き進む集団は更にスピードが上がる。残り10kmで、ティンコフ・サクソとカチューシャのトレインのあまりの速さに、中切れが発生。

クリストフやサガン、ボドナールやトム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)らを含む10名のグループが形成され、集団に15秒差をつける。テルプストラは後方に取り残されたものの、残り2kmを切ったあたりでブリッジをかけることに成功している。

残り200mで、リードアウトから解き放たれたクリストフ。その番手につけていたサガンが、残り100mからクリストフをまくろうとするが、わずかに届かず。3位には昨ステージからジャイアント・アルペシンのエースとなった、ニキアス・アルント(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)が入った。



リム差でスプリントに競り勝ったアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)リム差でスプリントに競り勝ったアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ) photo:A.S.O.


3勝目を決めたアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)3勝目を決めたアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ) photo:A.S.O.「今日のステージは、かなり疲労が溜まっていたんだよ。カタールはどのステージでも本当に疲れるんだ。これまでの4ステージ、どれをとっても気を抜けない日ばかりだった。でも、僕らのチームは常に集団前方で展開してきた。ゴールに向けて集中し、仕事を果たしてきた。

特にラスト5km、僕を最高のポジションに連れて行ってくれたのは大変な働きだったと思う。今日のために、最高の計画を練っていたし、それを実行出来た。本当にチームメイトには感謝しかないよ。このチームでの勝利にとっても満足している。」とハットトリックを果たしたクリストフは語った。

今日のステージ優勝により、ボーナスタイム10秒を獲得したクリストフは、総合でもジャンプアップを果たし、テルプストラから11秒差の3位につけている。明日の最終ステージで再びステージ優勝し、中間スプリントを1秒でも獲得すれば逆転可能なタイム差だ。テルプストラは11秒差を守りきれるのか、クリストフが逆転を果たすのか。総合争いは最終ステージにもつれ込んだ。

選手コメントはカチューシャ公式サイトより。



ツアー・オブ・カタール2015第5ステージ結果
1位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
2位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
3位 ニキアス・アルント(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
4位 トム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
5位 アダム・ブライス(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
6位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)
7位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
8位 アルノー・デマール(フランス、FDJ)
9位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
10位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)
3h03'11"











個人総合成績
1位 ニキ・テルプストラ(オランダ、エティックス・クイックステップ)
2位 マチェイ・ボドナール(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
3位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
4位 イアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)
5位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMC レーシング)
6位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
7位 ルーク・ロウ(イギリス、チームスカイ)
8位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)
9位 アンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)
10位 トム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
15h12'45"
+06"
+11"
+12"
+19"
+31"
+33"
+39"
+41"
+42"


ポイント賞
アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)

新人賞
ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)

チーム総合成績
エティックス・クイックステップ

text:Naoki.YASUOKA
photo:A.S.O
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