ドバイツアーの最終章となる第4ステージはゴールスプリントをマーク・カヴェンディッシュが制した。ボーナスタイムにより、総合成績も逆転。カヴェンディッシュがステージ優勝と同時に総合優勝を果たした。



世界最高の7つ星ホテル「バージュアル・アラブ」をバックに走る世界最高の7つ星ホテル「バージュアル・アラブ」をバックに走る photo:RCSsport


ペルシャ湾をバックに走るペルシャ湾をバックに走る photo:RCSsportドバイワニ園の看板ドバイワニ園の看板 photo:RCSsportドバイ中心市街を行くプロトンドバイ中心市街を行くプロトン photo:RCSsportトップスピードでゴールゲートを潜り抜けたカヴェンディッシュトップスピードでゴールゲートを潜り抜けたカヴェンディッシュ photo:RCSsport最終ステージとなるドバイツアー第4ステージ。ドバイ中心部をめぐり、世界最高を誇るビル、「ブルジュ・ハリファ」にゴールする124㎞のコースだ。コースに目立った登りはなく、フルフラットのコースはまさにピュアスプリンターのためにあつらえられたかのようなステージだ。

そんな逃げには向かないこのステージでも、5名の果敢な選手たちがスタートから逃げにチャレンジした。5名の内訳は、ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)、ペトロスキ・マシー(オランダ、CCCスプランディポルコワイス)、フランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイブドバイ)、ミカル・コラー(スロバキア、ティンコフ・サクソ)、マルコ・カノッラ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)。

集団は逃げを容認し、タイム差は最大4分まで開く。4秒差の総合順位を守るために、中間スプリントを狙ってくるかと思われたジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)は動かず、12.8㎞地点と92.1㎞地点のどちらの中間スプリントポイントも逃げ集団が獲得した。

しかし、ゴールスプリントへと向けてメイン集団は着々と逃げを追い詰めていく。ラスト25㎞地点で45秒差にまで迫った集団は、マルコ・カノッラとダニエル・オスの最後のあがきを意に介することなく、残り6㎞地点ですべての逃げを完全に吸収。吸収される二人は互いの健闘を讃えて拳を突き合わせる。

すぐそこに迫ったスプリントに向けて、エティックス・クイックステップ、チームスカイ、ジャイアント・アルペシンの主導権をめぐる激しい競り合いが始まった。どんどん近づいてくるブルジュ・ハリファに先頭でゴールするべく、集団のスピードは頂点に達する。

しかし、この日のエティックス・クイックステップは強かった。他のどのチームのトレインをも自分たちの前に出すことなく、最終発射台のマーク・レンショー(オーストラリア、エティックス・クイックステップ)がマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)をトップスピードで解き放つと、そのままの勢いでゴールまで突き進んだ。

エリア・ヴィヴィアーニが、遅ればせながらカヴェンディッシュを追うも届かず。マン島の超特急はステージ優勝、そして獲得した10秒のボーナスタイムによって、昨日手放した総合優勝を取り戻す逆転劇を成功させた。



ブルジュハリファをバックに行われた表彰式ブルジュハリファをバックに行われた表彰式 photo:RCSsport
ステージ優勝と総合優勝、ポイント賞を総なめにしたマーク・カヴェンデシッシュステージ優勝と総合優勝、ポイント賞を総なめにしたマーク・カヴェンデシッシュ photo:RCSsport「天にも昇りそうなくらい嬉しい勝利だ。」最高の形でレースを締めくくることができたカヴェンディッシュは語る。「僕らのチームは、レース全体を通して積極的にレースを展開した唯一のチームだ。僕にとっては不向きだった昨日のステージでさえ、総合ジャージに敬意を表してレースをしていた。他のチームが積極的にレースを作らなかったことに、少し苛立っていたんだ。」

カヴェンディッシュのスプリントによって幕を下ろしたドバイツアー2015。しかし、中東を舞台にしたレースはまだ始まったばかり。明日からはツアー・オブ・カタールが開催され、その後にはツアー・オブ・オマーンが控えている。シーズン序盤から繰り広げられる熱い戦いから目が離せない。



ドバイツアー2015第3ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)
2位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)
3位 フアンホセ・ロバト(スペイン、モビスター)
4位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
5位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)
6位 ダニエーレ・ラット(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)
7位 マーティン・ベルスコール(オランダ、ノボノルディスク)
8位 ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)
9位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアントアルペシン)
10位 アンドレア・パリーニ(イタリア、スカイダイブドバイ)
2h37'15"











個人総合成績
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)
2位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアントアルペシン)
3位 フアンホセ・ロバト(スペイン、モビスター)
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
5位 マルコ・カノーラ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)
6位 アレッサンドロ・バッザーナ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)
7位 グレガ・ボーレ(スロベニア、CCCスプランディポルコワイス)
8位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)
9位 マチェイ・ボドナール(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
10位 フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)
15h22'38"
+06"
+10"
+12"
+14"
+17"
+18"





ポイント賞
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)

新人賞
ミカエル・アンデルセン(デンマーク、ティンコフ・サクソ)

text:Naoki.YASUOKA
photo:CorVos,RCSsport