一週間の長丁場を戦い抜いた144名の選手たちが凱旋。最終スプリントでマーク・カヴェンディッシュが待望の勝利を挙げ、ダニエル・ディアスは2回目の総合優勝。サンルイスは地元アルゼンチン人選手の活躍に湧いた。



ツール・ド・サンルイス2015第7ステージコースプロフィールツール・ド・サンルイス2015第7ステージコースプロフィール (c)toursanluis.com最終ステージの舞台はサンルイスの市街地と郊外を繋いだ43.6kmの周回路を3周する122.4km。周回途中には3級山岳が1つ設定されているものの難易度は高くない。スプリンターのために設けられたこの最終ステージで、ダニエル・ディアス(アルゼンチン、ファンヴィック・ブラジルインベスト)以下144名の選手たちが凱旋を果たした。

ユナイテッドヘルスケアやコロンビアが逃げグループを追い上げるユナイテッドヘルスケアやコロンビアが逃げグループを追い上げる photo:toursanluis.com40℃という気温の下、第5ステージ勝者のアドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター)やトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)、ベン・ガスタウアー(ルクセンブルグ、AG2Rラモンディアール)、ミカル・ゴラス(ポーランド、エティックス・クイックステップ)、ベン・キング(アメリカ、キャノンデール・ガーミン)ら9名の逃げによってレースは動き出す。カヴェンディッシュ擁するクイックステップとサーシャ・モードロ(イタリア)を勝たせたいランプレ・メリダは逃げにメンバーを送り込み、有利にレースを進めていく。

しかし強力なメンバーが逃げたことも影響し、タイム差は最大3分ほどで推移する。コロンビアやユナイテッドヘルスケアがペースを上げる集団は最終盤で逃げを飲み込むと、ここから遂にクイックステップトレインが動き出す。ここにランプレ・メリダやコロンビアナショナルチームが列車を並べたものの、クイックステップの優位は揺るがず。今大会3勝目を狙うガヴィリアを退けたカヴェンディッシュが待望の今シーズン初勝利を手に入れた。



待望の勝利を挙げたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)待望の勝利を挙げたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ) photo:CorVos


ステージ表彰台 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)が中央に立つステージ表彰台 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)が中央に立つ photo:toursanluis.com「僕が2位を2回、クヴィアトコウスキーが個人TTで2位だったので、チームとしてモチベーションが非常に高かった」とカヴェンディッシュ。「自分にとってもチームにとっても勝利できて良かったし、アルゼンチンに来た甲斐があった」と語り、来る本格シーズンに向けて弾みをつけた。

ツール・ド・サンルイス2015総合表彰台ツール・ド・サンルイス2015総合表彰台 photo:toursanluis.comそして総合リーダーのディアスは危なげなく73位でフィニッシュし、同時に2013年に続く2回目のサンルイス総合優勝を達成した。

「開幕から調子が良く、そして少々のツキもあった。チームとしても3つの登場フィニッシュを独占でき、個々の総合力の高さが証明されたと思う」とディアスは言う。

1989年生まれのディアスは、2010年にフートン・セルヴェットでプロデビューした25歳。翌年はラポムマルセイユに所属し、2012年からは地元アルゼンチンのコンチネンタルチームで3年間のキャリアを積んできた。2013年大会ではティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)やアルベルト・コンタドール(スペイン)らを抑えて勝利し、一躍名を馳せたクライマー系オールラウンダーだ。

「フランス時代は言葉も分からず、ただ走って寝るだけの繰り返しだった」とディアスは自身のキャリア振り返り、「でも多くを学んだし、そのおかげで忍耐力がついた」とも。「再びヨーロッパで走りたいとも思うが、チャンスが無くとも構わない。僕は地に足をつけたいんだ」とサンルイス9代覇者は静かに語った。

そして日本から唯一出場した山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)はトップと同タイムのステージ58位でフィニッシュし、最終的に総合64位で一週間のレースを終えている。



ツール・ド・サンルイス2015第7ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)
2位 フェルナンド・ガヴィリア(コロンビア、コロンビアナショナルチーム)
3位 ヤコブ・マレッコ(イタリア、イタリアナショナルチーム)
4位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)
5位 ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、ブルターニュ・セシェ)
6位 ケン・ハンソン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
7位 ニコラス・マリーニ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
8位 フランシスコ・チャモロ(アルゼンチン、ファンヴィック・ブラジルインベスト)
9位 ジュリアン・ガダイ(アルゼンチン、ブエノスアイレスプロヴァンシア)
10位 ダニエル・マクレー(イギリス、ブルターニュ・セシェ)
2h33'29"











個人総合成績
1位 ダニエル・ディアス(アルゼンチン、ファンヴィック・ブラジルインベスト)
2位 ロドルフォ・トーレス(コロンビア、コロンビア)
3位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
4位 エデュアルド・セプルヴェダ(アルゼンチン、ブルターニュ・セシェ)
5位 ロドリゴ・コントレラス(コロンビア、コロンビアナショナルチーム)
6位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
7位 ジョー・ドンブロウスキー(アメリカ、キャノンデール・ガーミン)
8位 ダニエル・ハラミロ(コロンビア、ジェイミス・ハーゲン)
9位 レナルド・メッシネオ(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス)
10位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)
22h37'07"
+1'05"
+1'34"
+2'02"
+3'16"
+3'26"
+5'29"
+5'35"
+5'39"


山岳賞
ロドルフォ・トーレス(コロンビア、コロンビア)

スプリント賞
レナルド・メッシネオ(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス)

新人賞
ロドリゴ・コントレラス(コロンビア、コロンビアナショナルチーム)

チーム総合成績
コロンビア

text:So.Isobe
photo:CorVos

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