12月10日、UCI(国際自転車競技連合)はプレスリリースを出し、アスタナにUCIワールドツアーライセンスを与える一方で、ユーロップカーのライセンスを認めないことを発表した。「財政上の基準を満たしていない」としてユーロップカーはUCIプロコンチネンタル登録となる。



ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)要するアスタナヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)要するアスタナ photo:Kei Tsuji所属選手の相次ぐドーピング陽性によってライセンス更新に暗雲が漂っていたカザフスタンのアスタナ。ライセンスに関して保留状態が続いていたが、最終的にUCIライセンス委員会はアスタナにライセンスを授与する判断を下した。

UCIワールドツアー入りを逃したユーロップカーUCIワールドツアー入りを逃したユーロップカー photo:Tim de Waeleアスタナは11月6日に行なわれたヒアリングに出席し、アンチドーピングの取り組みなどをライセンス委員会に説明。独立監査機関のISSUL(ローザンヌ大学スポーツ科学センター)が継続的にチームの組織を監査するなどの条件付きでライセンスが発行された。仮に新たなドーピング陽性が発覚した場合はライセンスの失効も有り得る。

今回の発表を受けてアスタナは「アスタナは2015年のUCIワールドツアーライセンスを受け取り、来シーズンも最高レベルのレースを走ることを嬉しく、誇りに思う。選手やスタッフ、家族、スポンサー、友人、ファンのサポートに感謝したい」と公式サイトの中でコメント。しかしイタリアのパドヴァでは現在進行形でドーピング捜査が行なわれており、ガゼッタ紙はアスタナの選手を含む合計38名がミケーレ・フェラーリ医師と接触していたことを明らかにしている。UCIのライセンス委員会は「ドーピング捜査の存在を知らされたのはライセンス授与の決定後だった。つまり今回のライセンスには関係していない。今後チームの関与が認められる事実が浮上すればライセンス委員会が審査する」と記している。

アスタナが喜びに沸く一方で、財務上の基準を満たしていないとしてユーロップカーのライセンス申請が却下された。今後ユーロップカーのUCIプロコンチネンタル登録が進められる。新城幸也はUCIワールドツアー初戦ツアー・ダウンアンダーへの参戦を予定していたが、スケジュールの変更を強いられる。グランツールをはじめとするUCIワールドツアーレースに出場するためには主催者のワイルドカード枠を獲得しなければならない。

また、ライセンスが保留状態にあったイエローフルオ(ネーリソットリ)はUCIプロコンチネンタル入り。同じくUCIプロコンチネンタル入りを目指していたクルトエナジーのライセンスは保留状態に。12月15日までに申請書類の再提出が求められている。

text:Kei Tsuji