イグリンスキー兄弟のEPO陽性に揺れたアスタナ。その一方で、ツール・ド・フランス制覇など輝かしい2014年シーズンを送ったカザフスタンチームは2015年に向けて補強を行なっている。新たにダリオ・カタルド(イタリア)やラース・ボーム(オランダ)らの加入が決まった。



ツール・ド・フランスを制したアスタナツール・ド・フランスを制したアスタナ photo:Makoto AYANOアスタナの輝かしい2014年シーズンに泥を塗るイグリンスキー兄弟の相次ぐEPO陽性反応。弟ヴァレンティンはEPO使用を認め、兄マキシムは再検査を要請せず。事実上兄弟揃ってEPO使用が確定的となった。

ダリオ・カタルド(イタリア、チームスカイ)ダリオ・カタルド(イタリア、チームスカイ) photo:Kei Tsuji加入するMPCC(サイクルスポーツ倫理団体)の「12ヶ月の間にドーピング陽性者が2名出た場合は次のUCIワールドツアーレースから8日間チーム活動を自粛しなければならない」というルールに則り、アスタナはUCIワールドツアー最終戦ツアー・オブ・北京を欠場している。なお、UCI(国際自転車競技連合)の規則によるとUCIワールドツアー欠場チームは100,000スイスフラン(約1,130万円)の罰金が科せられる。

ツールの石畳ステージを制したラース・ボーム(オランダ、ベルキン)ツールの石畳ステージを制したラース・ボーム(オランダ、ベルキン) photo:Cor Vosアスタナは2015年のUCIワールドツアーライセンスを保有しているものの、相次ぐドーピング陽性がライセンスに影響を及ぼす可能性は高い。アスタナはUCIライセンス委員会に対してアンチドーピングの取り組みや倫理性をアピールする必要が出てくるだろう。

2014年、アスタナはヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)をツール・ド・フランス総合優勝に導き、24歳の新星ファビオ・アル(イタリア)がジロ・デ・イタリアとブエルタ・ア・エスパーニャでそれぞれステージ優勝を飾るとともに総合3位と総合5位に。チーム9年間の歴史の中で最高のシーズンだったと言える。

2015年に向けてカザフスタンチームはダリオ・カタルド(イタリア、チームスカイ)やラース・ボーム(オランダ、ベルキン)、ルイスレオン・サンチェス(スペイン)、レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)、ダヴィデ・マラカルネ(イタリア)、ディエゴ・ローザ(イタリア)、ローレンス・デブリース(ベルギー)を獲得。戦力を強化している。

「カタルドはアルとニーバリにとって心強いアシストになるだろう。チームタイムトライアルでも経験とスピードをもたらしてくれる。チームにとってとても重要な選手になる」とアレクサンドル・ヴィノクロフGMは語る。カタルドは2011年と2012年のジロで総合12位。2012年ブエルタでは難関山岳ステージで勝利している。

ヴィノクロフGMは「ボームは悪条件に見舞われた今年のツール第5ステージで勝利。グランツールを闘えるクラシックライダーだ」と元シクロクロス世界チャンピオンを歓迎する。ツールでステージ4勝、クラシカ・サンセバスティアンで2勝しているLLサンチェスや、今年のツアー・オブ・ターキーのクイーンステージを制したターラマエらの加入によって選手層はより厚いものになる。

アスタナ2015新規加入選手
ダリオ・カタルド(イタリア)チームスカイ
ラース・ボーム(オランダ)ベルキン
ダヴィデ・マラカルネ(イタリア)ユーロップカー
ディエゴ・ローザ(イタリア)アンドローニジョカトリ
ルイスレオン・サンチェス(スペイン)カハルーラル
レイン・ターラマエ(エストニア)コフィディス
ローレンス・デブリース(ベルギー)ワンティ・グループグベルト

text:Kei Tsuji

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