コンポーネントメーカーとしてだけではなく、シューズメーカーとしての地位も不動のものとしているシマノ。斬新なテクノロジーをつぎ込み、先のツール・ド・フランスで使われた新しいフラッグシップモデル「SH-R321」を紹介する。



シマノ SH−R321

シリアスレーサーからの高い支持を誇るシマノのハイエンドロードシューズが待望のモデルチェンジ。「SH-R321」として10月に発売される。シマノが持てる全ての技術を投入したハイスペックレーシングモデルに仕上げられている。
シマノ SH-R321Wシマノ SH-R321W (c)シマノアーチ部分と甲の内側にも追加したため、足内側への倒れ込みを抑制アーチ部分と甲の内側にも追加したため、足内側への倒れ込みを抑制 (c)シマノシマノ SH-R321Lシマノ SH-R321L (c)シマノ


SH-R321でまず目を惹くのがその斬新なアッパーデザインだろう。これはシューズの内側・外側から共に大きなパターンで包み込んで足との隙間を減らし、一体感を高めるための「サラウンドラップアッパー」と呼ばれるもの。ラチェットやベルクロ部分を「ラップ」することで従来モデルのSH-R320比較で5.5%の空気抵抗低減を成し遂げた。

加えてサラウンドラップアッパーの足甲部には熱成形フィルムを内蔵することでカスタムフィット(後述)にも対応。更にかかと部分は剛性に優れ足首のブレを低減するカーボン製「ヒールスタビライザー」を取り入れることでかつてないフィット感とパワー伝達効率を手にしている。

アーチ部分と甲の内側にもサーモプラスチックを追加したため、足内側への倒れ込みを抑制できるアーチ部分と甲の内側にもサーモプラスチックを追加したため、足内側への倒れ込みを抑制できる (c)シマノシマノ独自のダイナラストを採用することでより高効率のペダリングを実現するシマノ独自のダイナラストを採用することでより高効率のペダリングを実現する (c)シマノ

定評のあるカスタムフィットインソールを採用。土踏まずのアーチを最適化して足を安定させる定評のあるカスタムフィットインソールを採用。土踏まずのアーチを最適化して足を安定させる (c)シマノソールは中空構造の超軽量UDカーボン製。最薄部分は4.3mmで、ダイレクトなペダリングに貢献するソールは中空構造の超軽量UDカーボン製。最薄部分は4.3mmで、ダイレクトなペダリングに貢献する (c)シマノ


既に高い定評を得ているシマノ・カスタムフィットについてもSH-R321は進化を遂げている。従来はインソールとヒールカップ、アッパー外側にサーモプラスチック(熱成形素材)がインサートされていたが、更にアーチ部分と甲の内側にも追加したため、足内側への倒れ込みを抑制し更なるペダリング効率にも期待ができる。摩耗による熱上昇を抑える効果もあり、激しいライディングや真夏の高温下でも快適だ。

また、シマノが誇るソール形状「ダイナラスト」がもちろん取り入れられている。このダイナラストとはペダリングの高効率化を研究するなかでシマノは「ブレーキングロス」と呼ばれる、足を引き上げる時に発生する入力とは逆方向の力を低減することに着目した設計のこと。

シューズ内に空気を取り込むエアインテークシューズ内に空気を取り込むエアインテーク (c)シマノ剛性に優れ足首のブレを低減するカーボン製「ヒールスタビライザー」剛性に優れ足首のブレを低減するカーボン製「ヒールスタビライザー」 (c)シマノ

かかとが滑りにくいヒールライニングかかとが滑りにくいヒールライニング (c)シマノシューズの内側・外側から共に大きなパターンで包み込んで足との隙間を減らし、一体感を高めるための「サラウンドラップアッパー」シューズの内側・外側から共に大きなパターンで包み込んで足との隙間を減らし、一体感を高めるための「サラウンドラップアッパー」 (c)シマノ


まず開発スタッフは数多くの研究データを元にシューズ内におけるつま先の高さ(位置)に注目。つま先の位置は低すぎる場合は、膝が外側に広がることにより骨格を効率的に使う事が出来ない。逆に高すぎる場合は足底やふくらはぎが緊張によって股関節の可動域が狭くなるために「ブレーキングロス」が大きくなることを突き止めた。

そして生まれたのが「ダイナラスト」。つま先の位置の最適化した足底(靴底)形状を採用し、ブレーキングロスを5.23%軽減することに成功。250W(約0.33馬力)の出力で200km走った場合に25秒早く走れる計算になる。上記の数字はプロのライダーを想定したテストだが、より出力の小さく、ペダリングスキルが未熟なビギナーはその高効率化の恩恵をより多く受けることが出来るのだ。

既にジャイアント・シマノの選手達に供給されているSH-R321既にジャイアント・シマノの選手達に供給されているSH-R321 photo:Makoto.AYANO
ソールそのものは中空構造の超軽量UDカーボンソールを採用。剛性を保ちながら厚みを薄く(最薄部分で4.3mm)抑えることで優れたダイレクトなペダリングを実現した。またクロージャーシステムも様々な甲の高さ・足首の太さに合わせた調整が可能な新機構が奢られている。

カラーはプロ選手が使用するホワイトもしくはブラックの2カラーが揃い、ソール幅も通常タイプとワイドタイプの2種類、つまり2カラー×2ワイドの計4バリエーションとなる。価格は税抜き35,000円だ。

シマノ SH-R321バリエーション
SH-R321L(ブラック)、SH-R321LE(ブラック/ワイドタイプ)
SH-R321W(ホワイト)、SH-R321WE(ホワイト/ワイドタイプ)
アッパー素材:アベイル100&3Dメッシュ素材
ソール:カーボンファイバーコンポジットソール
ラスト:SHIMANO DYNALAST
サイズ:36〜38、39〜43(ハーフサイズあり)、44〜48(36、37、47、48は受注生産)
重 量:489g(40サイズ)
価 格:35,000円(税抜き)



シマノ SH-R171
シマノ SH-R171Wシマノ SH-R171W (c)シマノ
シマノロードシューズのミドルグレードにも、SR-321同様のサラウンドラップデザインを取り入れたモデル「SH-R171」が同じく10月に発売される。20,000円という比較的買い求めやすい価格ながら、足との一体感を高め長時間ペダリングでのストレスを軽減するサラウンドラップアッパー構造を取り入れ、甲の高さや形状に応じて調整可能な新型クロージャーシステムも採用。ダイナラストを導入しており、ベースのテクノロジーはSH-R321と同様だ。

シマノ SH-R171Lシマノ SH-R171L (c)シマノSH-R321同様のサラウンドラップデザインを取り入れたSH-R321同様のサラウンドラップデザインを取り入れた


R321との違いはアッパーの素材をシンセティックレザーとし、ソールの素材にカーボンとグラスファイバーを混合したコンポジット材を採用したこと、そしてカスタムフィット非対応といったところだ。必要充分な剛性と軽量性を維持しつつ、コストパフォーマンスを高めている。

SR-R171はブラックと差し色にブルーを加えたホワイトの2カラー。SH-R321と同じくソール幅は、通常タイプに加え、日本人の足に合いやすいワイドタイプもラインナップしている。比較的安価にシマノ最新のテクノロジーが体感できるとあって、人気が出そうなモデルだ。

シマノ SH-R171バリエーション
SH-R171L(ブラック)、SH-R171LE(ブラック/ワイドタイプ)
SH-R171W(ホワイト)、SH-R171WE(ホワイト/ワイドタイプ)
アッパー素材:シンセティックレザー&オープンメッシュ
ソール:カーボン&グラスファイバーコンポジットソール
ラスト:SHIMANO DYNALAST
サイズ:38、39〜43(ハーフサイズあり)、44〜48
重 量:486g(40サイズ)
価 格:20,000円(税抜き)

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