2011年にツール・ド・フランスを制したカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)が、2015年2月に自身が開催するグレートオーシャンレースを最後に現役を去る。引退後はBMC社のアンバサダーとして活動する予定だ。



2009年ロード世界選手権を制したカデル・エヴァンス(オーストラリア)2009年ロード世界選手権を制したカデル・エヴァンス(オーストラリア) photo:Cor VosMTBクロスカントリー選手として活躍後、2001年にサエコでプロロード選手としてデビューしたエヴァンス。マペイやTモバイル、ダヴィタモン・ロットを経て2010年からBMCレーシングで走る37歳が、ロード世界選手権開催中のポンフェラーダで記者会見を開き、2015年2月の現役引退を発表した。

2011年ツール・ド・フランスを制したカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)2011年ツール・ド・フランスを制したカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング) photo:Makoto Ayano30代にオールラウンダーとして躍進した遅咲きのエヴァンスはツール・ド・ロマンディやティレーノ〜アドリアティコ、フレーシュ・ワロンヌで優勝。2007年のUCIプロツアー王者に輝き、2009年にはロード世界選手権を制して世界チャンピオンに輝いた。グランツールではジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスでステージ通算3勝。2011年にオーストラリア人選手として初となるツール・ド・フランス制覇を果たしている。

カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji今シーズンはツアー・ダウンアンダーでトップと1秒差の総合2位に入り、ジロ・デル・トレンティーノで総合優勝。ジロ・デ・イタリアではマリアローザを4日間にわたって着用したが、最終的に総合8位に終わった。

エヴァンスは「思うようなレベルの走りが出来ず、チームの期待にも応えることが出来なかった。グランツール制覇のチャンスがもう過去のものになったのだと感じたんだ」と語る。ジロでの敗退が現役引退に繋がったと言う。ブエルタ・ア・エスパーニャではサムエル・サンチェス(スペイン)をアシストして総合52位でレースを終えている。

「プロロードレースにおける旅を終えるタイミングだと判断した。地元ノーザンテリトリーの未舗装路で始まった旅路がここまで長いものになるなんて、走る楽しさに取りつかれた子供の頃にはとても想像出来なかった。2つのホイールに乗ってこんな遠くまで来ることになるとは」。

エヴァンスはオーストラリア代表としてロード世界選手権エリート男子ロードレースに出場後、ジロ・ディ・ロンバルディアで2014年シーズンを締めくくる。さらにBMCレーシングジャージで2015年1月のオーストラリア選手権とツアー・ダウンアンダーを走る予定だ。1年前に僅か1秒差で敗れたツアー・ダウンアンダーについて「残された全ての力を投入して走る」とエヴァンスはコメントしている。

引退レースは2月1日にオーストラリア・ジーロングで初開催されるカデル・エヴァンス・グレートオーシャンレース(UCI1.1)。エヴァンス自身が立ち上げに関わったワンデーレースで引退の花道を飾る。「ここが終着駅ではない。新たなチャプターの幕開け」と語るエヴァンス。引退後はBMC社のブランドアンバサダーとして活動する予定だ。



カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング) photo:Mark Gunter


text:Kei Tsuji