ツール・ド・フランスで2度ポイント賞に輝き、2010年のロード世界選手権で優勝。「雷神」の相性で親しまれた36歳のトル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシング)が9月20日のベルギーレースを最後に現役を引退した。



2010年ロード世界選手権で優勝したトル・フースホフト(ノルウェー)2010年ロード世界選手権で優勝したトル・フースホフト(ノルウェー) photo:Kei Tsuji


ノルウェーチャンピオンジャージを着るトル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシング)ノルウェーチャンピオンジャージを着るトル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシング) photo:Riccardo Scanferla2000年のプロ入りから2008年までのクレディアグリコル時代に"登れるスプリンター"の代名詞的な存在となり、ツール・ド・フランスでステージ通算10勝を飾るとともに2005年と2009年にマイヨヴェールを獲得したフースホフト。ブエルタ・ア・エスパーニャではステージ通算3勝を飾り、2006年にポイント賞を獲得。ジロ・デ・イタリアでも2007年にステージ優勝を飾っている。グランツールのステージ通算成績はスカンジナビア出身選手歴代最多14勝。

雷神トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシング)雷神トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシング) photo:Riccardo Scanferlaクラシックスペシャリストとしての才能も発揮し、ヘント〜ウェベルヘムやオンループ・ヘットニュースブラッドで優勝すると2010年のロード世界選手権メルボルン大会でキャリア最高のタイトルを獲得する。

しかしロード世界選手権優勝の1年後、BMCレーシング移籍後に伝染性単核球症が発症。それ以降は病魔との闘いとなる。「ウイルス、つまり伝染性単核球症のウイルスにノックアウトされた。時には好成績を残すことが出来たものの、身体の中にウイルスを蓄えながら走ることで、身体的にも精神的にも参ってしまった。走り続けたい気持ちも強いが、もう充分だと判断した」と、現役引退の意向を表明した6月の会見でフースホフトは語っている。

当初はロード世界選手権終了後に引退する予定だったが、8月の落車の影響によりノルウェー代表に選出されず。最終レースとなったのは9月20日にベルギーで開催されたプリムスクラシック・インパニス・ファンペテヘムで、フースホフトは同レースを48位で終えている。

今後フースホフトの予定は明らかにされていないが、10月16日には自伝が発売される予定。スプリンターながらいくつもの山岳を越えて周囲を驚かせた「雷神」がプロトンを去った。

text:Kei Tsuji

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