台湾の電子機器メーカー DKシティより、GoogleMapと連動して負荷が替わるドライブトレイン直結式固定ローラー「D2R Shadow + APP」が登場した。退屈ゆえに止めてしまう人が多い室内トレーニングを楽しくしてくれる画期的なトレーニングアイテムをインプレッションする。



DKシティ D2R Shadow + APPDKシティ D2R Shadow + APP
漕ぎ始めるとファンが回転し、負荷装置を冷却する漕ぎ始めるとファンが回転し、負荷装置を冷却する 1987年創業のDKシティは台湾に居を構え、自転車用のローラー台から、ランニングマシン、電動アシストバイク、更にはゴルフ場のカートまで様々な電子機器を製造するブランドだ。国内展開はコアなパーツやアイテムの取り扱いに定評があるトライスポーツが行う。

リアエンド固定部はコンパクトな形状で、チェーンステーが太いバイクでも取り付けられそうリアエンド固定部はコンパクトな形状で、チェーンステーが太いバイクでも取り付けられそう さて、今回インプレッションを行う「D2R Shadow + APP」は昨今トレンドとなっているドライブトレイン直結式の固定ローラー。その最大の特徴は、GoogleMapと連動する負荷装置にある。Bluetoothを介してiPadやAndroid端末と連携し、無料で配信されているアプリ「Run on earth」でGoogleMap上に作成したコースをヴァーチャルで走ることができるのだ。

負荷装置とベースの間にはゴムが設けられる負荷装置とベースの間にはゴムが設けられる つまり、GoogleEarthで対応している箇所では実際に走っているかの様な気分を味わうことができ、景色が変わらず退屈になりがちな室内トレーニングが楽しくなるということだ。もちろん、ツール・ド・フランスを始めとした海外レースでお馴染みの山岳コースも仮想で走ることができる。

また、アプリ上では距離、スピード、走行時間、負荷レベル、消費カロリーを、オプションで心拍トランスミッターを用意すればハートレートを表示・保存でき、TwitterやFacebookでシェアすることが可能。なお、負荷方式はマグネットで最大負荷は800W。iPadなどと連携していない時は負荷を変えることはできない。

もちろん、ドライブトレイン直結式が持つメリットはそのまま。固定式や3本ローラーに対して、セッティングが容易なこと、タイヤの過度な摩耗やホイールの偏心による振動の解消など様々な利点を持つ。

そしてD2R Shadowだけのメリットとして、負荷装置とベースとの間にゴムを挟むことでダンシングを可能としたことが挙げられる。既存のローラー台では、ポジションを固定されてしまうことによって疲労や圧迫が一箇所にして集中してしまいがちで、短時間で痛みが発生してしまうという方も少なく無いだろう。しかしならがら、D2R Shadowであればダンシングで身体をリラックスさせることができ、トレーニングがより快適に、より長時間続けることができるだろう。

ベースの寸法は縦700mm×横1260mm。フリーボディーは現在のところシマノ/スラム10速用が標準で装備され、シマノ/スラム11速用やカンパニョーロ用はオプションとなる。エンド幅が130mmまたは135mm、5mm径のクイックレリーズを使用する自転車のみ使用できる。それではインプレッションに移ろう。



ーインプレッション

編集部に届いた箱を持ち上げてみると、かなりズッシリ。一般的な男性であれば1人で持てないわけでは無いが、女性1人では動かせないほど重い。しかし、逆説的に考えれば高い安定感を期待できる。組立は4つのクイックリレーズを取り付けて、締めるだけ。

DKシティ D2R Shadow + APPをテストDKシティ D2R Shadow + APPをテスト
分解ももちろん簡単なのだが、重さと大きさゆえにあまり持ち運びやすいとは言いがたく、収納状態でも決してコンパクトなわけではない。従って、組み立てた状態で置いておけるスペースがあることが購入にあたっての第一条件になるといえそうだ。

バイクのセッティングも容易で、後輪を交換する際の要領で負荷ユニットに取り付けるだけ。ただ、車輪径に応じてライザーブロックや不要な雑誌等でバイクを水平にしてあげる必要がある(700×23Cのタイヤを装着した筆者のバイクはやや前下りになった)。また、スペーサーが無くても固定は可能だが、スプロケットのロックリングがフレームのドロップアウトを削ってしまうため、駆動側には必ずスペーサーを入れる必要がある。

大きなベースによって高い安心感を実現している大きなベースによって高い安心感を実現している 写真の場合、Bluetoothの設定画面からD2R201400021を選択することでiPadと同期できる写真の場合、Bluetoothの設定画面からD2R201400021を選択することでiPadと同期できる


タブレットとは、ACアダプター用いて負荷ユニットに給電し、タブレットのBluetooth設定画面で「D2R●●●●」というデバイスを選ぶこと同期できる(iPadであれば「設定」→「Bluetooth」でBluetoothをON状態にし、D2Rを選択する)。

そして、標準アプリの「Run on earth」を開き、ルートラボと似た様な操作方法でコースの作成を行う。1回目のタッチでスタート地点を、2回目でゴール地点を設定。どこかを経由したい場合には3タッチ目で経由地を指定する。これで準備は完了となり、スタートボタンを押してあとはペダルを回すだけ。

まずは一般的なローラー台としての性能について。ドライブトレイン直結式だけあって振動は殆ど発生していない。もちろんタイヤカスが飛んだりということも無く、至って清潔。音に関しては使用環境に応じて異なってくるだろうが、既存のタイプに比べれば静かで、チェーンの音がしっかりと聞こえてくる。ラチェットがそれなりに空転してくれるため空走しているかの様な感覚があり、実走感は高いといえるだろう。

コースはルートラボと似た簡単な方法で設定できるコースはルートラボと似た簡単な方法で設定できる 実際に走ったことの無い道もバーチャルで体験できる。写真は暗峠実際に走ったことの無い道もバーチャルで体験できる。写真は暗峠

画像はGoogleEarthを利用している画像はGoogleEarthを利用している 横置きでも使用可能だ横置きでも使用可能だ


D2R Shadow + APPの大きな特徴であるダンシング機能については、そもそも振れ幅が少なく、いまひとつの動きと言わざるを得ない。ただ負荷装置とベースの間にゴムを挟んだ意味が無いかと言われたらそうでもなく、シッティング時にはペダリングごとにバイクが振れてくれるため高い実走感を得ることができる。

同時に、フレーム全体に掛かるねじれ力を低減してくれているようで、恐らく一般的な固定ローラーを使用した際と比べてフレームへの負荷は少なそうだ。レースから室内トレーニングまでを1台でこなすホビーレーサーにとっては、これだけでも購入を検討する価値があるだろう。因みにバイクを倒す方向に体重をかけっぱなしにしても、負荷装置からフレームが外れると言う心配は全くない。

次に負荷の現実性を検証するために、普段の走り慣れている道をGoogleマップ上に描いてみた。結果、登坂については勾配に関わらず適正からやや軽め、平坦についてはやや重めという印象。ただ、負荷をはかなり細かく変動して、Google Earthの画面もコマ送りではあるが景色が替わっていくため、それなりに楽しめる。



これまでにも各社から固定トレーナーを用いて、実際に欧州のレースで登場するコースをバーチャルで走れるといった製品がリリースされている。いずれも実際に撮影した動画などを使用しているため動きは滑らかでリアリティーは高いものの、いずれも非常に高価であった。

D2R Shadow + APPはリアリティーにこそやや劣るものの、価格を比較すれば充分という印象だ。加えて、負荷装置の完成度自体は良いため、Run on earthの改良やパワートレーニングにも対応する新アプリの登場次第では既存の商品を充分に上回れるだけのポテンシャルを持っている。今後の改良に期待したい。

DKシティD2R Shadow + APP
ベース寸法:縦700mm×横1260mm
重 量:約26kg
付属品:AC電源、シマノ10sスプロケット
保証期間:1年
※無料アプリRun On Earthがダウンロードできる
価 格:69,500円(税別)