終盤に形成された先頭集団は鹿屋体育大勢の3人。そこから徳田優が15kmを独走して昨年に続いての連覇を達成。兄の鍛造そして馬渡伸弥と続いた。大学対抗総合は鹿屋体育大が大量の110点を獲得し連覇達成。

徳田優(鹿屋体育大)がインカレロード2連覇達成徳田優(鹿屋体育大)がインカレロード2連覇達成 photo:Hideaki TAKAGI

女子、合田祐美子(早稲田大)が50km近くを独走し優勝女子、合田祐美子(早稲田大)が50km近くを独走し優勝 photo:Hideaki TAKAGI女子ロードレース表彰女子ロードレース表彰 photo:Hideaki TAKAGI国内のみならず海外でも結果を出し続ける鹿屋体育大のロードメンバー。コンチネンタルチームをも凌駕するほどの実力を持つ同大の今回唯一の不安材料は、ロードナショナルメンバーとしてフランスで戦っていた主力メンバーが、大会前日と初日に帰国し成田から直行していること。しかしタイトなスケジュールさえも苦にしない選手たちは、実力を結果で証明した。

8月31日(月)、全日本大学対抗選手権自転車競技大会(インカレ)最終日のロードレースが日本CSCの5kmサーキットコースで行なわれた。秀峰亭前がスタート・フィニッシュで、秀峰亭への急な上りでフィニッシュする正回り方向。ここを男子は28周140km、1分差スタートの女子は12周60kmのレース。

合田祐美子(早稲田大)が独走優勝

女子は22人が出走。2周目までは集団のままでペースが上がらず、1分前スタートの男子に抜かれる。動きがあったのは3周目、上りで踏み込んだ合田祐美子(早稲田大)が後続に差をつけると独走を開始。ゴールまで残り40km以上を独走して優勝。
朝8時、レースがスタート。28周140kmの長丁場朝8時、レースがスタート。28周140kmの長丁場 photo:Hideaki TAKAGI
「今年の目標は全部達成できた」合田祐美子(早稲田大)
5周目、馬渡伸弥(鹿屋体育大)と堀川裕輝(法政大)が逃げを決める5周目、馬渡伸弥(鹿屋体育大)と堀川裕輝(法政大)が逃げを決める photo:Hideaki TAKAGI
「狙っていた大会なので優勝できて嬉しいです。去年は2位で悔しい思いをしました。今日は中盤から後半で逃げようと思っていたのですが、後ろが離れたので3周目で思い切って逃げました。今年の目標は学生個人ロード優勝、全日本ロード表彰台(3位)、そしてインカレロード優勝だったので全部達成できました」
11周目、先頭集団は8人に数を減らす11周目、先頭集団は8人に数を減らす photo:Hideaki TAKAGI
男子は序盤に有力選手の逃げが

男子は28周する長丁場。スタート後から石橋学(鹿屋体育大)ら有力選手たちを中心にペースが上がり8分前半のハイペースが続く。数人がアタックを仕掛けるが1周以上の逃げにはならず分裂と吸収を繰り返す。動きがあったのは5周目、馬渡伸弥(鹿屋体育大)が上りで集団からアタック、これに堀川裕輝(法政大)が続いて2人の逃げができる。
20周目、先頭集団に追走の2グループが追いつき、先頭は11人となる20周目、先頭集団に追走の2グループが追いつき、先頭は11人となる photo:Hideaki TAKAGI
さらに8周目にかけて先頭の2人に橋本英也(鹿屋体育大)が、そして徳田鍛造(鹿屋体育大)、徳田優(鹿屋体育大)、秋田拓磨(朝日大)、山本隼(中央大)佐々木勇輔(早稲田大)、浦佑樹(東京大)ら有力メンバーが入る12人の逃げができる。平坦や下り区間を橋本がハイペースで牽き、逃げを確定的にさせる。最終的にはこの集団内の選手と、ここにブリッジをかけられた選手だけが入賞することに。

20周目に単独抜け出した徳田鍛造(鹿屋体育大)
23周目へ、先頭で独走を続ける徳田鍛造(鹿屋体育大)23周目へ、先頭で独走を続ける徳田鍛造(鹿屋体育大) photo:Hideaki TAKAGI
12人の先頭集団はハイペースで進み、14周目にかけて浦、佐々木、そして秋田らが後方へ下がり7人にまで数を減らす。11周目にメイン集団から石橋と相本祥政(法政大)が抜け出し、これに山本大喜(鹿屋体育大)が合流して3人の追走集団ができる。その後に山本が下がり追走は2人に。レースは先頭7人、追走2人そしてメイン集団に。タイム差はそれぞれの間で1分ほど。
24周目へ、8人の第3グループからアタックする徳田優(鹿屋体育大)24周目へ、8人の第3グループからアタックする徳田優(鹿屋体育大) photo:Hideaki TAKAGI
メイン集団は片桐善也や吉田悠人ら日本大勢ほかがペースアップするものの、組織立った動きにならず前方との差は縮まらない。18周目にメイン集団から鈴木快彰(明治大)、金井誠人(明治大)、広瀬樹(中央大)、小林泰正(日本体育大)の4人が抜け出し第3グループを形成。前方2つの集団、9人を追走する。

続く20周目、前方3つのグループがすべてまとまって11人の先頭集団を形成する。11人の内訳は、鹿屋体育大4人(徳田鍛造・優、馬渡、石橋)、明治大2人(鈴木、金井)、中央大2人(広瀬、山本隼)、法政大2人(相本、浅井創)そして日本体育大1人(小林)。ここで徳田鍛造がペースを上げるとほどなく独走に。

これを10人が追う展開になるがそれぞれの思惑の違いから10人が2つのグループに分かれ、徳田優は後方のグループに残り、22周目にはさらに後方から湊諒(法政大)が、そして浦佑樹(東京大)、片桐善也(日本大)らが合流し徳田優らのいる第3グループは8人に。
25周目、先頭に集結した鹿屋勢3人。徳田優、徳田鍛造、馬渡伸弥25周目、先頭に集結した鹿屋勢3人。徳田優、徳田鍛造、馬渡伸弥 photo:Hideaki TAKAGI
徳田優(鹿屋体育大)が24周目に後方集団からアタック開始
27周目、浦佑樹(東京大)が追い上げて、先行していた鈴木快彰(明治大)と広瀬樹(中央大)を抜き去り単独4番手に27周目、浦佑樹(東京大)が追い上げて、先行していた鈴木快彰(明治大)と広瀬樹(中央大)を抜き去り単独4番手に photo:Hideaki TAKAGI
24周目へ入る上りで徳田優がこの第3グループからアタック。第3グループは崩壊し、徳田優は数を減らしていた第2グループに合流。この第2グループは徳田優、馬渡、広瀬、鈴木の4人に。そして25周目、先頭の徳田鍛造に、第2グループから抜け出した徳田優、馬渡が合流し、先頭は鹿屋勢3人になる。残り3周半で鹿屋体育大は磐石の体勢に持ち込む。
最終周回、ゴールへ向けて15kmを独走する徳田優(鹿屋体育大)最終周回、ゴールへ向けて15kmを独走する徳田優(鹿屋体育大) photo:Hideaki TAKAGI
さらに26周目へ入り徳田優が独走を開始、2番手の徳田鍛造と馬渡はまとまってフィニッシュ地点を目指す。後方では鈴木快彰(明治大)と広瀬樹(中央大)が追走していたが、これを浦佑樹(東京大)が追い上げ抜き去り、単独4番手に上がる。そしてフィニッシュ、徳田優は15kmを独走して優勝。1分後に徳田鍛造と馬渡が並んでフィニッシュし鹿屋体育大がワン・ツー・スリーを達成。

徳田優は昨年大会に続いて連覇達成。6月の全日本選手権ロードU23では兄の鍛造が優勝で兄弟ワン・ツー。インカレは弟の優が優勝で兄弟ワン・ツーがふたたびだ。鹿屋体育大はロードでの完全勝利で36点を加算し、トラックと合わせた大学対抗総合成績は合計110点の大量得点で昨年に続いての総合連覇を達成。昨年は僅差の勝負だったが、今年は全9種目中6種目を制する圧勝だった。

インカレロード連覇の徳田優(鹿屋体育大)

「兄からも(馬渡)伸弥からも任されたのでゴールラインを越えることができた。連覇は狙っていたが鹿屋の誰かが勝てればいいと思っていた、たまたまそれが自分だっただけであり誰でも勝てるメンバー。今後もチームとしての連覇にはこだわりたい」

鹿屋体育大が男子大学対抗総合連覇達成

強豪校は大学対抗の総合成績も重要であり、それのためにインカレロードは毎年特殊な展開になる。各校上位3人の成績が集計されるため、優勝よりもむしろ3人をまとめて上位へ送り込む作戦、またはライバル校を徹底マークする作戦に出るのが常。鹿屋体育大はその状況でも例年は総合の逆転とロードでの優勝の二兎を追い、昨年ようやく初めてそれを達成した。

今年はトラック種目の好成績で大量リードし、ほぼ総合優勝を手中にしていた。そのため鹿屋体育大は「鹿屋のロードレースをさせてもらった」(黒川剛監督)と言うように、ほぼ通常のロードレースの展開となった。鹿屋体育大や他校の強豪選手が中心となって厳しいレース展開に持ち込み、かつてないほどの激しい戦いが繰り広げられたのが今年のインカレロードだ。

なお、2015年のインカレが長野県で、トラックは松本市郊外に建設中の競技場で、ロードは大町市美麻で行なわれることが大会会場で発表された。
鹿屋体育大はワン・ツー・スリー達成鹿屋体育大はワン・ツー・スリー達成 photo:Hideaki TAKAGI各大学の4年生で記念写真各大学の4年生で記念写真 photo:Hideaki TAKAGI男子総合2連覇達成の鹿屋体育大。9種目中6種目を制し110点の大量得点男子総合2連覇達成の鹿屋体育大。9種目中6種目を制し110点の大量得点 photo:Hideaki TAKAGI
結果

女子 60km
1位 合田祐美子(早稲田大)1時間54分13秒
2位 樫木祥子(駒沢大)+2分15秒
3位 齋藤望(日本体育大)+3分57秒

男子 140km
1位 徳田優(鹿屋体育大)4時間08分24秒
2位 徳田鍛造(鹿屋体育大)+1分18秒
3位 馬渡伸弥(鹿屋体育大)
4位 浦佑樹(東京大)+1分44秒
5位 鈴木快彰(明治大)+2分14秒
6位 湊諒(法政大)+2分19秒
7位 山本隼(中央大)+2分41秒
8位 石橋学(鹿屋体育大)+2分49秒
9位 広瀬樹(中央大)+2分54秒
10位 酒向俊平(法政大)+4分42秒

大学対抗総合成績

女子総合成績
1位 日本体育大 50点
2位 早稲田大 23点
3位 鹿屋体育大 21点

男子総合成績
1位 鹿屋体育大 110点
2位 中央大 49点
3位 日本大 45点
4位 朝日大 42点
5位 法政大 38点
6位 明治大 27点
7位 日本体育大 26点
8位 順天堂大 9点
9位 東京大 9点
10位 早稲田大 8点

photo&text:高木秀彰