ツール・ド・ランカウイは最終日のクリテリウムを控え、今日が逃げで勝てる最後の日。EQA・梅丹本舗・グラファイトデザインはもちろん必勝体制。作戦とは…

フィニッシュ地点のコースレイアウトを綿密に検討する新城幸也(Bboxブイグテレコム)フィニッシュ地点のコースレイアウトを綿密に検討する新城幸也(Bboxブイグテレコム) photo:Hitoshi.OMAEEQA・梅丹本舗・グラファイトデザインの昨晩のミーティングでは、いつもにも増して綿密な作戦が立てられた。逃げたいチームは、一勝も挙げていない、なんのジャージも持っていないすべてのチーム。特にプロツアー勢、そしてプロコンチ勢の強烈なアタック合戦が予想された。

逃げのメンバーとしてガーミン・スリップストリーム、サーヴェロ・テストチーム、アージェードゥーゼルなどが挙げられる中、「でも、我々は総合では十分に差があるので、逃がしてもらえる可能性がある」と水谷壮宏監督は英語でミーティングを開始した。

メイン集団もなかなか逃げを許さず、厳しい戦いが続くメイン集団もなかなか逃げを許さず、厳しい戦いが続く photo:Hitoshi.OMAE「最低2人と一緒に逃げること。1人では十分じゃない。それから…パクはアタックしないこと。ゴールスプリントに備えよう」。水谷監督の指示に、パク・ソンベクは日本語で「ハイ」と答えた。

「逃げが捕まることが予想されたら、逃げのメンバーは集団に戻ってもらう」。鬼監督の指示は一つ一つがキッチリとしている。

サットン(ガーミン)、クレール(アージェードゥーゼル)、ガヴァッツィ(ディキジョヴァンニ)が横一線でゴールサットン(ガーミン)、クレール(アージェードゥーゼル)、ガヴァッツィ(ディキジョヴァンニ)が横一線でゴール photo:Hitoshi.OMAE「そして、パクのために列車を組む。フィニッシュ付近の道路の様子は、地図をしっかり見ておくこと」。ラスト4、3、2kmにそれぞれロータリーがあること、そして選手用のプログラムには(ここが重要なのだが)、ロータリーをわざわざアウトコースから回る変更が加えられていた。

そして。逃げに乗った福島晋一はやはり集団に捕まり、ゴールスプリントへ。プログラムの地図とはまったく違って、ラスト300m、直角左コーナーからスプリントが始まった。

ゴール後のグレゴール・ガズヴォダ(スロベニア)と清水都貴(日本、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)ゴール後のグレゴール・ガズヴォダ(スロベニア)と清水都貴(日本、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン) photo:Hitoshi.OMAE予想とは異なる位置取りのまま、清水都貴が11位、パクが13位、増田成幸が18位、グレゴール・ガズヴォダが20位、中島康晴が22位。チームとしてのステージ順位こそ2位という好成績だが、ついに勝利を掴むことは叶わなかった。

清水は「(最終コーナーで)前に出切れてなかった。ラスト300で左に曲がるので、あそこでトップに立っていないとダメです。到底、これじゃあダメ。明日はやるしかないですね」と話した。

パクはやはり「ミーティングで話した通り、最終コーナーがストレートだと思っていた。だから、他の選手も何人かミスしたみたい。しかたない」とのことだ。

逃げに乗っていた福島は「あまり差が広がらなかった。メンバーが良すぎて楽に捕まえられないから、逆に離さなかったのかもしれない。最後はサーヴェロの選手がいなくなって、8分くらい逃がしてもよくなったんですけど、やはり…。でも、やれることはやりました」。EQA・梅丹本舗・グラファイトデザインに残されたのはあと1ステージ、クアラルンプール市街でのクリテリウムだ。

photo&text:大前 仁(Hitoshi.OMAE)