ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ(UCIワールドツアー)の恒例となりつつある標高2200mの超級山岳バルテル2000フィニッシュ。雪と霧に包まれた山頂に先頭でフィニッシュしたのはティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)だった。



ピレネー山脈のスキー場バルテル2000を目指すプロトンピレネー山脈のスキー場バルテル2000を目指すプロトン photo:Tim de Waele


ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2014第4ステージボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2014第4ステージ image:www.voltacatalunya.catレース序盤から1級山岳が連続し、登坂距離12km/平均勾配7.8%の超級山岳バルテル2000でクライマックスを迎えるボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ第4ステージ。フィニッシュ地点の標高は2200mで、この時期に登場するフィニッシュとしては最も高い。距離166.4km、獲得標高差3800mのクイーンステージが姿を現した。

レース序盤から逃げたトーマス・デヘント(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)らレース序盤から逃げたトーマス・デヘント(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)ら photo:Tim de Waele悪天候が予想されていたこともあり、この日はパリ〜ニースの覇者カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、AG2Rラモンディアール)やクリストファー・ホーナー(アメリカ、ランプレ・メリダ)、ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)がDNS。160名に縮小したプロトンが、ピレネーの山間の街アルプをスタートして行った。

カチューシャがコントロールするメイン集団カチューシャがコントロールするメイン集団 photo:Tim de Waeleアタック合戦の末に形成されたのはスタフ・クレメント(オランダ、ベルキン)、ルーベン・プラサ(スペイン、モビスター)、マキシム・メドレル(フランス、ユーロップカー)、トーマス・デヘント(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)によるエスケープグループ。合計4つの山岳を先頭通過したクレメントが、チームメイトのジャック・ボブリッジ(オーストラリア)から山岳賞ジャージを引き継ぐことに成功している。

バルデを振り切ってフィニッシュするティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)バルデを振り切ってフィニッシュするティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) photo:Tim de Waeleリーダージャージ擁するカチューシャは逃げとのタイム差を計りながらメイン集団を牽引。最後の超級山岳バルテル2000が近づくと、先頭ではデヘントが独走を試みる。メイン集団から飛び出したホセ・セルパ(コロンビア、ランプレ・メリダ)がプラサとともに先頭デヘントに合流し、1分のリードを得て超級山岳に突入した。

8秒差でフィニッシュするアンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)とクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)8秒差でフィニッシュするアンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)とクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waeleデヘントら3名は、登りの中腹でメイン集団に吸収。ティンコフ・サクソやチームスカイがペースを作るメイン集団からは、昨年ブエルタ・ア・エスパーニャでステージ2勝を飾ったワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・シマノ)らがアタックを仕掛ける。気温低下とともに雪が舞う中、総合上位陣によるバトルが始まった。

寒さに震えながら表彰を待つホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)寒さに震えながら表彰を待つホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Tim de Waele残り3kmで飛び出したバーギルが吸収されると、続いてクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)やアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)がアタック。しかしいずれも決まらず、隙を突いてティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)とロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)が先行を開始する。霧の九十九折りを先頭で駆け上がったヴァンガーデレンとバルデの勝負に持ち込まれ、ヴァンガーデレンが先着した。

2012年のツール・ド・フランスで総合5位&新人賞、2013年ツアー・オブ・カリフォルニア&USAプロチャレンジ総合優勝という成績を残してきた25歳のヴァンガーデレン。今シーズンはツアー・オブ・オマーンを総合2位で終えながらも、パリ〜ニースを体調不良でリタイアしている。

オールラウンダーとしては大柄の部類に入る身長185cm/体重70kgのヴァンガーデレンは「体重60kgの選手たちよりも自分は寒さに強いんだ」と、この日の勝利の秘訣を語る。「他の選手たちが互いにアタックして消耗したところで飛び出した。タイミングが良かったし、この寒い環境が自分に味方したと思う。グランツールで活躍する選手たちを振り切ってUCIワールドツアー初勝利を飾ったことを誇りに思うよ」。

コンタドールは3秒遅れ、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)は4秒遅れでフィニッシュ。ヴァンガーデレンが総合3位まで順位を上げたが、ロドリゲスが堅実に総合首位を守った。ロドリゲスはコンタドールに対して4秒リードで残る3ステージに挑む。

ロベルト・キセロフスキー(クロアチア)をステージ10位に送り込んだトレックファクトリーレーシングの別府史之は、111位でクイーンステージを終えている。

翌日の第5ステージは、ゴール9km手前に2級山岳が設定された今大会最長218.2km。小集団によるゴールスプリントに持ち込まれる可能性が高い。

選手コメントはBMCレーシング公式サイトより。



ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2014第4ステージ結果
1位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
2位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
4位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
5位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
6位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
7位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
8位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・シマノ)
9位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
10位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、トレックファクトリーレーシング)
111位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング)
4h49'30"

+03"
+04"
+05"
+08"

+15"
+16"
+21"
+25'01"


個人総合成績
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
3位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
4位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
5位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
6位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
7位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
8位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
9位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・シマノ)
10位 ダビ・アローヨ(スペイン、カハルーラル)
17h47'34"
+04"
+07"
+10"

+17"
+18"
+26"
+42"
+45"


山岳賞
スタフ・クレメント(オランダ、ベルキン)

スプリント賞
ミヘル・コッホ(ドイツ、キャノンデール)

チーム総合成績
ガーミン・シャープ

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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