標高1725mの1級山岳ラモリーナにフィニッシュするボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ(UCIワールドツアー)第3ステージで、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)がアタック。ライバルたちを振り切ったカチューシャのスパニッシュクライマーがステージ優勝とリーダージャージを手にした。



超級山岳クレウエタ峠を進むメイン集団超級山岳クレウエタ峠を進むメイン集団 photo:Tim de Waele


ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2014第3ステージボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2014第3ステージ image:www.voltacatalunya.cat第3ステージは標高1916mの超級山岳クレウエタ峠を越え、標高1725mの1級山岳ラモリーナにフィニッシュする162.9kmの難関山岳コース。獲得標高差はおよそ3700m。低温のコンディションだが、幸い2012年に同地域を走った際のような悪夢は免れた。なお、氷点下&降雪というコンディションで行なわれた2年前の日のことを「人生で最も厳しかった一日」に挙げる選手は多い。

出走サインを済ませたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)出走サインを済ませたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waeleジャック・ボブリッジ(オーストラリア、ベルキン)とケヴィン・レザ(フランス、ユーロップカー)、アンドレイ・ゼイツ(カザフスタン、アスタナ)、ブラニスラウ・サモイラウ(ベラルーシ、CCCポルサット)、ミヘル・コッホ(ドイツ、キャノンデール)、ルディ・モラール(フランス、コフィディス)の6名がレース序盤から逃げ、10分近いリードを得て山岳を越えて行く。山岳ポイントを量産したボブリッジが山岳賞トップに躍り出ている。

集団内で終盤の勝負どころに向かうアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)集団内で終盤の勝負どころに向かうアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:Tim de Waeleメイン集団はティンコフ・サクソやチームスカイ、カチューシャ、モビスター、FDJ.frといった総合系チームの支配下に置かれ、最後の1級山岳ラモリーナに向けて着々と逃げのリードを削り取った。

超級山岳クレウエタ峠を進むメイン集団超級山岳クレウエタ峠を進むメイン集団 photo:Tim de Waele逃げの中で最後まで粘ったレザを飲み込み、登坂距離5.3km/平均勾配6%の1級山岳ラモリーナを高速で駆け上がるメイン集団。残り3kmを切るとトップライダーたちが徐々に動きを見せ始め、ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)がアタックの口火を切る。これに反応する形でヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)が飛び出した。

1級山岳ラモリーナの山頂フィニッシュを制したホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)1級山岳ラモリーナの山頂フィニッシュを制したホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Tim de Waeleカチューシャ率いるメイン集団は人数を減らしながらフグルサングのアタックを封じ込める。すると、フィニッシュラインまで1kmを残してクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)がアタックを仕掛けた。

腰の痛みのためティレーノ〜アドリアティコを欠場したツール・ド・フランス覇者によるアタック。今シーズンすでにツアー・オブ・オマーンで総合優勝を果たしているフルームだったが、まだまだ本調子とは言えず、ライバルたちを完全に振り切ることが出来ない。フルームはロドリゲスのカウンターアタックに反応出来なかった。

フルームを追い抜いて先頭に立ったロドリゲス。アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)やナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)を振り切る走りでフィニッシュラインに向かう。タイミング良く飛び出した"プリート"がコンタドールを5秒、キンタナを9秒引き離してフィニッシュした。

「今日は全てが上手くいった。残り2kmでダニエル・モレーノがペースアップして集団の人数を絞り込んでくれた。フルームがアタックした時、ステージ優勝するには彼は力が足りていないと思ったよ。彼がシッティングに戻したタイミングでアタックしたんだ」と、今シーズン初勝利を飾ったロドリゲス。この日のステージ順位がほぼそのまま総合順位に反映され、ロドリゲスがリーダージャージに袖を通した。ロドリゲスは2010年大会の総合優勝者。昨年大会は総合2位だった。

ディフェンディングチャンピオンのダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)やイヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデール)、ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、トレックファクトリーレーシング)は31秒遅れでフィニッシュ。キセロフスキーをアシストした別府史之は7分18秒遅れのステージ97位で山岳初日を終えている。この数日間胃腸のトラブルに見舞われ、スタート前に嘔吐したジュリアン・アレドンド(コロンビア)は10分34秒遅れのステージ136位に終わった。

選手コメントはチーム公式サイトより。



リーダージャージを手にしたホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)リーダージャージを手にしたホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Tim de Waele


ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2014第3ステージ結果
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
3位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
4位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
5位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
6位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
7位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
8位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
9位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
10位 プリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ランプレ・メリダ)
97位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング)
4h50'55"
+05"
+09"
+11"
+13"
+14"



+20"
+7'18"


個人総合成績
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
3位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
4位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
5位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
6位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
7位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
8位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
9位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
10位 プリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ランプレ・メリダ)
12h58'00"
+05"
+09"
+11"
+13"
+14"



+20"


山岳賞
ジャック・ボブリッジ(オーストラリア、ベルキン)

スプリント賞
ミヘル・コッホ(ドイツ、キャノンデール)

チーム総合成績
AG2Rラモンディアール

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele