2日連続で大集団スプリントに持ち込まれたパリ〜ニース。しかしそこにバーチャルリーダーのジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)の姿は無かった。登りスプリントで22歳のモレノ・ホフランド(オランダ、ベルキン)が勝利した。



晴れ渡るフランス中部の平野部晴れ渡るフランス中部の平野部 photo:Tim de Waele


パリ〜ニース2014第2ステージパリ〜ニース2014第2ステージ image:A.S.O.パリから50kmの距離にあるランブイエを発ち、一路南下してサン・ジョルジュ・シュル・ボルシュを目指す205kmで行なわれたパリ〜ニース第2ステージ。コースはほぼ平坦と言っても良く、フィニッシュラインは緩やかな登りの先に引かれている。前日に引き続きこの日の主役もスプリンターたちだ。

逃げるアレクセイ・サラモティンス(ラトビア、IAMサイクリング)とアントニー・ドゥラプラス(フランス、ブルターニュ・セシェ)逃げるアレクセイ・サラモティンス(ラトビア、IAMサイクリング)とアントニー・ドゥラプラス(フランス、ブルターニュ・セシェ) photo:Tim de Waele逃げ切りのチャンスが少ないと知りながらも、UCIプロコンチネンタルチームの選手はこの日も血気盛んにアタックを繰り出す。2km地点で飛び出したのは、解散したソジャサンから移籍したアントニー・ドゥラプラス(フランス、ブルターニュ・セシェ)と、昨年6度目のナショナルチャンピオンに輝いたアレクセイ・サラモティンス(ラトビア、IAMサイクリング)の2人。200kmオーバーのロングコースで、先頭2人は11分30秒のリードを得た。

ナセル・ブアニ(フランス)のために集団を牽引するFDJ.frナセル・ブアニ(フランス)のために集団を牽引するFDJ.fr photo:Tim de Waeleこの日設定された2つのスプリントポイントでは、上位3名にボーナスタイム(3秒、2秒、1秒)が与えられる。つまり集団の先頭を取ればボーナスタイム1秒を獲得。スタートの時点で総合首位ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)から1秒遅れだったメールスマンが、しっかりと2つのスプリントポイントを3番手通過してみせ、ブアニに対して1秒リードでバーチャルリーダーの座についた。

フランス中部を南下するプロトンフランス中部を南下するプロトン photo:Tim de Waele逃げるドゥラプラスとサラモティンスを追ったのは、FDJ.fr、ジャイアント・シマノ、オリカ・グリーンエッジ率いるメイン集団。鎖骨骨折から復帰したばかりのトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)やオーストラリアチャンピオンのサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)らが積極的にメイン集団を牽引する。

残り10kmで落車したジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)残り10kmで落車したジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Cor Vosすると、逃げ吸収に向けてスピードを上げるメイン集団の中で大落車が発生。残り10kmで発生したこの落車にメールスマンやタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)、ラース・ボーム(オランダ、ベルキン)らが巻き込まれてしまう。こつこつとボーナスタイムを貯めて暫定総合首位に立ったばかりのメールスマンは、バイク交換に時間を食ってしまった。

ゴールスプリントを制したモレノ・ホフランド(オランダ、ベルキン)ゴールスプリントを制したモレノ・ホフランド(オランダ、ベルキン) photo:Tim de Waele先頭で最後まで粘ったサラモティンスは残り3kmで吸収。メールスマンがチームカーを利用しながら超高速で集団復帰を目指したが、メイン集団はなかなか見えて来ない。メールスマンの復帰を待たずして、集団先頭ではスプリントが始まった。

前日1位と2位のブアニとデゲンコルブ有利と見られたゴールスプリント。しかし早めに腰を上げたホフランドが先頭で緩斜面を登って行く。ブアニとデゲンコルブの懸命の追撃は届かず、ホフランドが拳を上げた。

「残り1kmの時点でかなり後ろのポジションだったのでこの勝利に驚いている。デゲンコルブをロックオンして、早めに仕掛けることで彼を焦らす作戦だった」と語る、1991年生まれの22歳ホフランド。昨年育成チームのラボバンクコンチネンタルからブランコ(現ベルキン)に移籍すると、ツアー・オブ・ハイナンでステージ3勝&総合優勝。今シーズンすでにブエルタ・ア・アンダルシアでステージ優勝を果たしている。

「理想の選手は、アグレッシブな走りが特徴のサガンやボーネン」と語るホフランドは、クラシックレースでダークホースとして注目の存在。すでにクールネ〜ブリュッセル〜クールネで2位に入り、才能の片鱗を見せつけている。「この数週間ずっと調子が良いので、出来るだけ長い期間この調子を維持したい。とは言え明日のステージが最後のチャンスになると思う。今シーズンの目標は、クラシックレースに出場して経験を積むこと。スプリンター新世代の台頭に興奮を覚えているよ」。

ブアニはスプリント2連勝を逃しながらも総合成績とポイント賞、ヤングライダー賞のトップをキープ。2年連続で「リーダージャージを着て第2ステージでリタイア」という悪夢を味わわずに済んだ。

懸命に集団復帰を目指したメールスマンは最終的に18秒遅れでフィニッシュ。そればかりか、集団復帰の際にチームカーのドラフティング利用したとしてコミッセールから1分10秒のペナルティーを受けている。メールスマンは1分31秒遅れの総合102位までダウンした。

選手コメントはレース公式サイト(www.letour.fr/paris-nice/2014)より。



ゴール後、悔しさを滲ませるジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)ゴール後、悔しさを滲ませるジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Tim de Waeleリーダージャージを守ったナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)リーダージャージを守ったナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr) photo:Tim de Waele


パリ〜ニース2014第2ステージ結果
1位 モレノ・ホフランド(オランダ、ベルキン)
2位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
3位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
4位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
5位 トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシング)
6位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
7位 アルミンド・フォンセカ(フランス、ブルターニュ・セシェ)
8位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ベリソル)
9位 イェンス・ケウケレール(ベルギー、オリカ・グリーンエッジ)
10位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
4h53'46"











個人総合成績
1位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
2位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
3位 モレノ・ホフランド(オランダ、ベルキン)
4位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
5位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
6位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
7位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
8位 ニコライ・トルソーフ(ロシア、ティンコフ・サクソ)
9位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、AG2Rラモンディアール)
10位 イェンス・ケウケレール(ベルギー、オリカ・グリーンエッジ)
8h46'43"
+02"
+04"
+13"
+14"







ポイント賞
ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)

山岳賞
クリストフ・ラボリー(フランス、ブルターニュ・セシェ)

ヤングライダー賞
ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)

チーム総合成績
AG2Rラモンディアール

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

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