7月24日、フランス上院のドーピング調査委員会は、1998年ツール・ド・フランスの期間中に採取された18名のサンプルから禁止薬物EPO(エリスロポエチン)が検出されたとする報告書を発表。同大会総合1位パンターニや総合2位ウルリッヒ、ポイント賞ツァベルらの名前が挙がった。

1998年ツール・ド・フランスでバトルを繰り広げるマルコ・パンターニ(イタリア)とヤン・ウルリッヒ(ドイツ)1998年ツール・ド・フランスでバトルを繰り広げるマルコ・パンターニ(イタリア)とヤン・ウルリッヒ(ドイツ) photo:Cor Vos検査に使用されたのは、フランスの研究機関に保管されていたサンプル。自転車競技だけでなく、ラグビーやテニス、サッカーなどスポーツ全般の過去のサンプルが現代の検査方法を用いて検査された。

1998年ツール・ド・フランス表彰台1998年ツール・ド・フランス表彰台 photo:Cor Vosフランス上院のドーピング調査委員会が提出した700ページにおよぶ報告書によると、EPO使用の痕跡が検出されたのは18名。総合1位と2位のマルコ・パンターニ(イタリア)とヤン・ウルリッヒ(ドイツ)の他、ローラン・ジャラベール(フランス)やマリオ・チポッリーニ(イタリア)ら、トップ選手の名前が挙がった。その他にも総合3位ボビー・ジュリック(アメリカ)ら12名から「疑わしい値」が検出された。

当初は7月18日に同報告書が発表される予定だったが、ツール・ド・フランス期間中であったため、選手たちの反対によって発表が延期されていた。フランス上院は報告書の中で、今回の禁止薬物陽性が過去の成績剥奪や出場停止には繋がらないとしている。

また、今年のツール・ド・フランス完走翌日の7月22日に現役引退を発表したスチュアート・オグレディ(オーストラリア)は「疑わしい値」として名前が挙がった。オグレディは地元オーストラリアのヘラルドサン紙の中で、1998年ツール前に禁止薬物EPOを摂取していたことを打ち明けている。


EPOが検出された18名
マルコ・パンターニ(イタリア)
ヤン・ウルリッヒ(ドイツ)
ローラン・ジャラベール(フランス)
ジャッキー・ドゥラン(フランス)
ローラン・デビアン(フランス)
エリック・ツァベル(ドイツ)
イェンス・ヘップナー(ドイツ)
マリオ・チポッリーニ(イタリア)
エディ・マッツォレーニ(イタリア)
アンドレア・タフィ(イタリア)
ニコラ・ミナーリ(イタリア)
ファビオ・サッキ(イタリア)
アブラハム・オラーノ(スペイン)
マルコス・セラーノ(スペイン)
マヌエル・ベルトラン(スペイン)
イェルン・ブライレヴェンス(オランダ)
ボー・ハンバーガー(デンマーク)
ケヴィン・リヴィングストン(アメリカ)

疑わしい値が検出された12名
エルマノ・ブリニョーリ(イタリア)
アラン・トゥリッキア(イタリア)
パスカル・シャントゥール(フランス)
フレデリック・モンカッサン(フランス)
ボビー・ジュリック(アメリカ)
ロラン・マイアー(スイス)
ジュゼッペ・カルカテッラ(イタリア)
ステファノ・ザニーニ(イタリア)
エディ・マッツォレーニ(イタリア)
ステファン・バルト(フランス)
スチュアート・オグレディ(オーストラリア)
アクセル・メルクス(ベルギー)



text:Kei Tsuji

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