ゴールスプリントに持ち込まれたツール・ド・スイス(UCIワールドツアー)第4ステージ。ラスト200mの最終コーナーに先頭で突っ込んだアルノー・デマール(フランス、FDJ)が、そのままフィニッシュラインに向けて猛ダッシュ。21歳の新鋭スプリンターが接戦を制した。

スイス中部のブリエンツ湖を駆けるスイス中部のブリエンツ湖を駆ける photo:Riccardo Scanferla第4ステージはスイス中部のインナートキルヒェンからブオクスまでの174.4kmを駆ける。途中に3つのカテゴリー山岳が設定されているが、スプリンターにも問題ないレベル。ツール・ド・フランスに向けて調整を続けるスプリンターたちの出番がようやくやってきた。

逃げるオリヴィエ・カイセン(ベルギー、ロット・ベリソル)、イェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・レオパード)、ロベルト・ヴレセル(スロベニア、エウスカルテル)逃げるオリヴィエ・カイセン(ベルギー、ロット・ベリソル)、イェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・レオパード)、ロベルト・ヴレセル(スロベニア、エウスカルテル) photo:Cor Vosこの日、最大4分のリードを得て逃げたのはオリヴィエ・カイセン(ベルギー、ロット・ベリソル)、イェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・レオパード)、ロベルト・ヴレセル(スロベニア、エウスカルテル)の3名。スプリンターチームが追走する展開となる。

ラスト5kmから独走に持ち込んだイェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・レオパード)ラスト5kmから独走に持ち込んだイェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・レオパード) photo:Riccardo Scanferlaやがて先頭からカイセンが脱落し、フォイクトとヴレセルのランデブー走行に。脚の揃った2人の逃げを、オメガファーマ・クイックステップやキャノンデールプロサイクリング、IAMサイクリング、アルゴス・シマノが追撃する。

フォイクトとヴレセルのリードは、ゴールまで15kmを残して1分を切る。ラスト8kmで30秒。ラスト5kmでフォイクトが独走に持ち込み、20秒リードで逃げる。しかし平坦&幅広の直線路は大集団に味方した。最後まで奮闘した41歳のフォイクトはラスト2kmで吸収された。

マシュー・ゴス(オーストラリア)のためにトレインを組むオリカ・グリーンエッジが集団先頭に上がり、その後ろではビッグスプリンターたちが激しいポジション争いを繰り広げる。ゴスの番手を取ったのは、チームメイトに引き上げられたデマールだった。

ラスト200mの最終コーナーを先頭で突っ込んだのはデマール。ゴスとタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)がその後ろでスプリント体勢に入る。

最終コーナーを抜けて踏み込むデマールにはゴスが並んだが、わずかに届かない。僅差のゴールスプリントでデマールが先着した。

ゴスを僅差で下したアルノー・デマール(フランス、FDJ)ゴスを僅差で下したアルノー・デマール(フランス、FDJ) photo:Riccardo Scanferla
総合リーダージャージを守ったマティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム)総合リーダージャージを守ったマティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム) photo:Riccardo Scanferla2011年のロード世界選手権U23ロードレースで優勝し、昨年プロデビューした21歳のデマールが抜群のスピードを見せつけた。デマールは昨年ヴァッテンフォール・サイクラシックスを含めシーズン6勝をマーク。今年はダンケルク4日間レースでステージ3勝&総合優勝に輝いている。

「今日のフィニッシュはただただ素晴らしかった。チームメイトが完璧にスプリントの体制を整えてくれたんだ。ビッグスプリンターたちを負かしたことは大きな成功だと言える」と、ポイント賞トップに立ったデマール。フランスの期待を背負う新鋭スプリンターとして、ツール・ド・フランスでの活躍が期待される。

選手コメントはレース公式サイトより。


ツール・ド・スイス2013第4ステージ結果
1位 アルノー・デマール(フランス、FDJ)                  4h08'23"
2位 マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
3位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
4位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)
5位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
6位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)
7位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)
8位 イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ベリソル)
9位 ダヴィデ・チモライ(イタリア、ランプレ・メリダ)
10位 ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、アスタナ)

個人総合成績
1位 マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム)          11h48'01"
2位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、サクソ・ティンコフ)             +23"
3位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)                    +35"
4位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)             +53"
5位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)                       +57"
6位 バウク・モレマ(オランダ、ブランコプロサイクリング)            +1'08"
7位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)          +1'23"
8位 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)                 +1'26"
9位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル)         +1'28"
10位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)     +1'39"

ポイント賞
アルノー・デマール(フランス、FDJ)

山岳賞
ロベルト・ヴレセル(スロベニア、エウスカルテル)

チーム総合成績
アスタナ

text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla

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