ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)が再び頂点に立った。2009年7月4日(土)、モナコ公国で開幕したツール・ド・フランス初日の第1ステージ個人タイムトライアル。元世界TTチャンピオンのカンチェラーラが、下位を18秒引き離す圧巻の走りで優勝。マイヨジョーヌを手にした。

序盤スタートのランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)はステージ10位序盤スタートのランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)はステージ10位 photo:Cor Vos第96回ツール・ド・フランスが、南仏コートダジュールに位置するモナコ公国でスタートした。初日の個人タイムトライアル(以下TT)は、急峻な崖に作られた街中を駆けるテクニカルな15.5kmだ。

心配された雨は最後まで降らず、180名の選手たちはフェアなコンディションでの競技に集中した。

スタートする別府史之(日本、スキル・シマノ)スタートする別府史之(日本、スキル・シマノ) photo:Makoto Ayanoレース後半にかけて上昇傾向の降水確率を心配し、早めにスタート時間を設定したのはランス・アームストロングとリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)。2005年以来実に4年ぶりにツールの土を踏むアームストロングは、かつての圧倒的な力は影を潜めつつも、暫定トップに君臨したライプハイマーから10秒遅れでフィニッシュした。

ツール・ド・スイスで活躍したトニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)とロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)の2人の若手も好走を見せたが、ライプハイマーには届かない。小柄なこのアメリカンのタイムを塗り替えたのは、チームメイトのアンドレアス・クレーデン(ドイツ)だった。

トップタイムを叩き出したファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)トップタイムを叩き出したファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク) photo:Makoto Ayanoやがて各チームのエース級選手の競技が始まると、トップタイムは慌ただしく更新されることになる。長くトップに君臨したクレーデンのタイムを、ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)が更新。しかしトラック世界選手権で計6個の金メダルを獲得したこの英国TTスペシャリストのトップタイムも短命だった。

ちょうどコースの中間地点、標高205mの4級山岳頂上に設定された中間計測でトップタイムを叩き出したのは、スペインチャンピオンジャージを着る2007年大会総合優勝者のアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)。コンタドールはマイヨアポワ(山岳賞ジャージ)獲得を決めた。

この頂上通過時点でコンタドールから6秒遅れだったカンチェラーラは、後半の下りと平坦区間で大幅にタイムを伸ばすことに成功する。1分30秒前にスタートしたデニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)を飲み込んだカンチェラーラは、最後まで追い込んで勢いよくゴール。タイム計時はウィギンズを19秒上回る19分32秒でストップ。トップタイムだった。

後半のテクニカルな区間を無難にまとめたコンタドールはカンチェラーラから18秒遅れのタイムでゴール。落ち着いた走りを見せたカデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)が23秒遅れ、そして昨年の総合優勝者カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ)が1分06秒遅れでゴールすると、この瞬間カンチェラーラのステージ優勝が決まった。

闘志溢れる走りで2位に入ったアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)闘志溢れる走りで2位に入ったアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) photo:Cor Vos上りと下り、そしてテクニカルなコーナーが連続するコースを、“スパルタクス”カンチェラーラは平均47.6km/hで駆け抜けた。前半の上り区間でクライマー系の選手と肩を並べると、残りの下り&平坦区間で体重のあるカンチェラーラの優位は明らか。カンチェラーラは2004年と2007年に続くツールの初日個人TT制覇で、自身3度目のマイヨジョーヌに袖を通した。

「ファンタスティックな勝利だ。マイヨジョーヌを着るなんて最高の気分」。カンチェラーラはプレスリリースの中で喜びを打ち明ける。選手たちのコメントは後ほど別ニュースでお伝えする。

総合優勝候補のコンタドールやエヴァンスらが好タイムを記録したその一方で、ジロ・デ・イタリア覇者のメンショフは精彩を欠いて1分31秒遅れ。キム・キルシェン(ルクセンブルク、チームコロンビア・HTC)に至っては2分近くタイムを失った。このタイムロスは総合争いにおいて最後まで尾を引くだろう。

日本から参戦した2人、新城幸也(Bboxブイグテレコム)と別府史之(スキル・シマノ)は、それぞれ127位と174位でフィニッシュ。新城は国際映像を配信する中継バイクを引き連れて走り、地元フランスの注目度の高さを伺わせた。

マスドスタートレース初日の第2ステージは、モナコからブリニョルまでの187kmで行なわれる。開始早々パリ〜ニースの定番峠トゥルビーの上りが始まり、合計4つのカテゴリー山岳を越える。逃げ切りを狙う選手たちvsスプリンターチームのハイスピードバトルが繰り広げられるだろう。大集団によるスプリント勝負に持ち込まれる可能性は高い。

ツール・ド・フランス2009第1ステージ結果
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)19'32"
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)+18"
3位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)+19"
4位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)+22"
5位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)+23"
6位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)+30"
7位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)+32"
8位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)+33"
9位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+37"
10位 ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)+40"

17位 クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン)+57"
18位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)+1'00"
21位 カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ)+1'06"
53位 デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)+1'31"
109位 キム・キルシェン(ルクセンブルク、チームコロンビア・HTC)+1'57"
127位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+2'07"
174位 別府史之(日本、スキル・シマノ)+2'52"

マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)19'32"
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)+18"
3位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)+19"
4位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)+22"
5位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)+23"
6位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)+30"
7位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)+32"
8位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)+33"
9位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+37"
10位 ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)+40"

17位 クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン)+57"
18位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)+1'00"
21位 カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ)+1'06"
53位 デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)+1'31"
109位 キム・キルシェン(ルクセンブルク、チームコロンビア・HTC)+1'57"
127位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+2'07"
174位 別府史之(日本、スキル・シマノ)+2'52"

マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)15pts
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)12pts
3位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)10pts

マイヨアポワ(山岳賞)
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)3pts
2位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)2pts
3位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)1pt

マイヨブラン(新人賞)
1位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)20'04"
2位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)+01"
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+05"

チーム総合成績
1位 アスタナ 59'46"
2位 サクソバンク +31"
3位 ガーミン +44"

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