史上初、ヨーロッパを飛び出してアメリカで開催されるシクロクロス世界選手権。どんな大会になるのかと大きな注目を集めているが、開幕直前なって、コースに隣接するオハイオ川の水位上昇によりコースが水没することを危惧し、急遽女子とエリート男子のスケジュールが前日に繰り上がるという前代未聞の決定がなされた。

大会2日前の試走。テクニカルなキャンバーのセクションを走る竹之内悠(コルバ・スペラーノハム)大会2日前の試走。テクニカルなキャンバーのセクションを走る竹之内悠(コルバ・スペラーノハム) photo:Sonoko.Tanaka日本ナショナルチームは29日(火曜日)にアメリカ・シカゴ経由で世界選手権が開催されるルイビルへと入った。

ホテルのミーティングルームでメカニック作業やローラートレーニングを行っているホテルのミーティングルームでメカニック作業やローラートレーニングを行っている photo:Sonoko.Tanaka全日本チャンピオンの竹之内悠(コルバ・スペラーノハム)と、小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)、女子の福本千佳(同志社大学)、U23の中井路雅(岩井商会レーシング)と前田公平(Speedvagen Cyclocross Team)、ジュニアの山田誉史輝(HAPPY RIDE)というメンバーに、単身で欧州遠征を行っていた豊岡英子(パナソニックレディース)がベルギーから合流し、30日(水曜日)からナショナルチームとしてのトレーニングが始まった。

コースでのオフィシャルトレーニングに向かう小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)、とにかく寒い!コースでのオフィシャルトレーニングに向かう小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)、とにかく寒い! photo:Sonoko.Tanaka雨が続いたこともあり、レースの3日前にはコース上には大きな水たまりができていた。その範囲は広く、約1/3程度のエリアで、立ち止まっているとジワッと水が上がってくるような状態。

コース内に2カ所設けられた砂のセクションで試走する竹之内悠(コルバ・スペラーノハム)コース内に2カ所設けられた砂のセクションで試走する竹之内悠(コルバ・スペラーノハム) photo:Sonoko.Tanakaずいぶんと水はけの悪い場所だと思っていたが、2日前からのオフィシャルトレーニングを前に、水没箇所はウッドチップが敷かれ、この“水没問題”は解決したかのように思われた。しかし、この問題はそう単純なものではなかったのだ。

砂のセクションで試走を重ねる福本千佳(同志社大学)砂のセクションで試走を重ねる福本千佳(同志社大学) photo:Sonoko.Tanaka開催地の天候は安定し、路面もとくに問題はないが、コースに隣接する川の上流が異常気象とも言えるほどの大雨に見舞われているため、深刻な川の氾濫、コースの水没が危惧される結末となった。

もともと2日間の日程で、ジュニア、ユース、女子、エリート男子の4カテゴリーが開催される予定だったが、それを1日に詰め込む形となった。UCIワールドカップでは、これら4カテゴリーを1日で開催しているため、スケジュール自体に無理はないと考えられるが、突然の決定に関係者は驚きを隠せなかった。とくにメカニックスタッフへの負担は大きい。

しかし、今回ナショナルチームをキャプテンとして仕切っている小坂光は「昨日しっかりとコースを走っておいたので、身体の疲労は問題なく体調面は心配していないため、日程の変更をあまり気にしていません」と話す。

傾斜が急で壁のようだと言われている立体交差のアプローチ傾斜が急で壁のようだと言われている立体交差のアプローチ photo:Sonoko.Tanaka日程の変更がアナウンスされたあとも、日本ナショナルチームでは大きな混乱はなく、どの選手も気持ちを切り替えて、翌日のレースに向けたトレーニングやコンディション管理に集中した。

むしろ選手たちが前日になって不安だと声を揃えたのは、コースのコンディションだった。当初、ルイビルに到着したときの気温は15℃程度と暖かく、半袖でコース設営を進める現地スタッフの姿も目立ったが、レースが開催される週末が近づくにつれ、気温は急降下し、レース前日の早朝にはマイナス10℃程度まで冷え込んだ。

凍った泥がバイク全体を覆う凍った泥がバイク全体を覆う photo:Sonoko.Tanakaコースは立体交差や人工的な砂、階段など多くの要素が詰め込まれたものだが、この大きな気温差により、コンディションはコロコロと変わっていった。レース前日は試走時間もマイナス7℃。泥がバイクに付くと凍りつき、変速などのトラブルを頻発させるという状況で、選手たちは同じバイクでは2周回以上連続して走れないほどだった。

会場のチームボックスにて。暖房と電源などが完備されたオアシスのような場所。レース当日はここでアップなどをする会場のチームボックスにて。暖房と電源などが完備されたオアシスのような場所。レース当日はここでアップなどをする photo:Sonoko.Tanaka全日本チャンピオンの竹之内悠はコースの印象を「こちゃこちゃしている、やりたいことをコンパクトな範囲に詰め込んで、なんか踏みどころがないという印象。小ワザ小ワザの繰り返しで、だいたいどこもラインが1本しか取れず、パックになったら、抜きどころが少ない。前のパックに入れれば、前に行けるし、後ろに残されれば、前に出るのは難しい。始めの20分でどこの位置に入れるかが大きな勝負」と話す。

そのなかで、もっとも落ち着いていたのは、今回のナショナルチームでは最年長となる豊岡英子。「毎周回コンディションは変わっていくと思う。そういうことを時間帯をずらして試走をするなかでわかってきた。今シーズンはこれまでヨーロッパで過酷なレースをたくさん走ってきて、度胸が付いた」

「今回、急にレースが翌日になったところで、もう何でもええわって思う。テクニックのいるコースで、とくに女子は集中力を切らせたら終わりだと思う。今年はヨーロッパに来て何回も、最後まで集中してレースができているから、明日もできると思う。悔いの残らないように全力で戦いたい」と話し、率先して若手選手の指導にあたった。

竹之内悠がレースに挑む気持ち語ってくれた「去年みたいな走りはしたくない。万全のコンディションとは言えず、不安はあるけど、去年よりも基本的な身体の素質は上がっている。今日も試走していて、他の選手とくらべて遜色はないなと思ったので、あとは本当、持っている身体のポテンシャルをどれだけ出していけるかだと思う」

「イメージとしては、去年のリエヴェンでのワールドカップで良かったときのようなレースをしたい。コースも少し似ているので。細かい加速が多くて、トップスピードまで上がりにくいコース。コーナーごとにちゃんと持って行くことができたら、そんなに差は開かないだろうし、そこから自分のチャンスは生まれると思う」

日本ナショナルチームとしてシクロクロス世界選手権に出場する7選手日本ナショナルチームとしてシクロクロス世界選手権に出場する7選手 photo:Sonoko.Tanaka

シクロクロス世界選手権コースマップシクロクロス世界選手権コースマップ 明日は1日中雪の予報が出ている。気温は0℃前後。まずは無事にすべてのレースが開催されることを願う。

アメリカの自転車界に暗い影を落としているドーピングスキャンダルを吹き飛ばすかのようなアメリカ勢の健闘、そして、今年は有利と言われている日本人選手の活躍を期待したい。


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text&photo:Sonoko.Tanaka,in louisville
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