「40歳、新天地での現役続行」

阿部良之。ジャパンカップでも優勝経験のある、日本を代表する選手の一人だ。ベテランの域に達している彼がシマノを離れることになった時、引退かもしれないと感じた方は決して少なくないだろう。しかし彼の闘志は衰えることなく、現役続行の道を再び進み始めた。

現役続行。

つい数週間前、自分が選んだ道である。
シマノでの18年を含めた22年間、いろいろな方々と関わり合いながら自分の道を探し続けてきた。何も平穏と自転車競技だけに没頭してきた訳ではない。いろんな状況があったが、ロードレースに関わることだけは辞めずにいた。

シマノ時代、ポイントレースを走る阿部(ゼッケン6番)(第40回全日本実業団自転車競技選手権大会)シマノ時代、ポイントレースを走る阿部(ゼッケン6番)(第40回全日本実業団自転車競技選手権大会) Photo: Hideaki Takagi
シクロクロスも走る。阿部は、ロードレースに限らず様々なカテゴリーのレースに挑戦し続けている(関西シクロクロス2009-2010第5戦丹波自然公園)シクロクロスも走る。阿部は、ロードレースに限らず様々なカテゴリーのレースに挑戦し続けている(関西シクロクロス2009-2010第5戦丹波自然公園) photo:Akihiro NAKAO
1989年に自転車競技と接する生活を始めて、本当に何となく、その時々に「これだ」と思うことに没頭してきた。それが40歳になったココにきて、初めて長期的な目標を持つことになった。
自転車競技では自然に目標を持ち、そこに合わせたトレーニングを行い、レースに挑んできた。ただその流れを、やっと人生に当てはめることができただけなのだ。

Life is like riding a bicycle. ―― 最近出会った言葉だ。

以前から、違った意味ではあるが「レースの走りでその人となりが判る」という持論があっただけに、印象に残った言葉だ。漕ぎ続けなければいけない自転車を、生き続けなければいけない人生に置き換えている。

ただ、私は乗るだけではなく

Life is like a bicycle race. ―― なのではないかと考える。

自転車ロードレースは個人の力が集まりチームを形成し集団を構成する。

集団で走るロードレースは人生そのものだ。チームは企業だったり自分を取り巻く周りの人の集まりだったり。ひとりではこの世知辛い世の中を生き抜くには心細いが、チームならどんな時も心強い仲間がいる。

また個人の力もロードレースでは非常に重要だ。時にはエースの力でチームの命運が決まってしまうこともある。
時には悪いと解っていながらドーピングに手を染める人間も居れば、ゴールスプリントで敵をひっ捕まえてぶち転してしまう人間も居る。また、とんでもない正攻法でぶっちぎり優勝してしまう真っ当な人間もモチロン居る。

チームにしても様々だ。時にはシーズンを通して数回しか会わない選手がいる大きなチームがあれば、全ての仲間を知り尽くしたような小さなチームもある。

[img_assist|nid=29369|title=移籍初レースとなった伊吹山ヒルクライムのスタート前、元チームメイトの狩野智也と談笑。共に今季から他のチームへと移ったが、互いに認め合う仲でもある |desc=photo:Hideaki.TAKAGI|link=node|align=left|width=360|height=240]そういったチームで一つの目標に向かって突き進み、大きなチームをも打破してしまえるロードレースというものを好きなのだ。

そしてロードレースで培った人とのつながりというものは非常に面白い。他から見て非常につながりの深そうなものでも意外とそうでもなく、違うチームの人のほうが協力的だったりということもあるのだ。
皆さんが放送で観るより複雑な人間関係が、集団の中では見え隠れしている。スタッフも入れてしまえば、そこは小さな社会だ。

18年間小さな社会で積み重ねた経験が、他所の社会でどれだけ通用するか? 今の私のささやかな目標のひとつだ。しかしそのささやかな目標に興味を抱いてくれたり、大きなエールを送ってくれる人が、自分が考えていた以上に居たことには驚かされた。

数字や手法だけでは割り切れない、人と人との意外性に満ちた「関係」は面白いものだ。

新たな出発。男40にして惑わず。

伊吹山ヒルクライムをスタートする阿部。四十路レーサーの挑戦の始まりだ伊吹山ヒルクライムをスタートする阿部。四十路レーサーの挑戦の始まりだ Photo: Hideaki Takagi 経験が多くなればそれまでの経験に照らし合わせてうまく判断できるようになる。そういった意味での「不惑の40」は正にその通りだ。

ただこの言葉だけを見れば「そんな訳はないやろう」と思う。どれだけ歳をとっても、未経験領域なら迷うはず。それよりもこの言葉に続く「天命を知る50」までの方が、未知の世界で楽しみだ。

これまでである程度の成績は残したが、自信過剰にはなりたくないものだし、自分の実力は自分が一番良く解っている。今回の選択は本当の意味でフリーでのプロ活動となる未経験領域だ。

選手生活の先にある野望がない訳ではないが、今は選手に没頭できる環境を手に入れたのだから、心ゆくまで一選手でありたいし、新たな一歩を初心に返って歩み出したい。

今の目標は全日本選手権だ。勿論、最盛期の力を発揮できるかは判らないが「経験」を生かした新たな挑戦をしたいと思うし、それを成功させなければという想いもある。

新たな挑戦へのチャンスに付き合ってくれた家族には、心の底から感謝したい。これからの生活の基盤となるチーム員である「家族」が望んでくれたものが、「現役続行」なのだ。

新天地、マトリックス・パワータグのメンバーとともに(左から3番目)新天地、マトリックス・パワータグのメンバーとともに(左から3番目)
プロフィール
阿部 良之 あべ よしゆき
1969年生 40歳
「アベちゃん」のニックネームで親しまれているベテランのオールラウンダー。大阪のクラブチームから実業団レースに参戦し始め、大阪工業大学卒業後にシマノへ入社。その後プロデビューを果たす。
1997年には当時最強のプロチーム「Mapei-GB」に所属し、日本人初のジャパンカップ優勝を遂げている。
その後、シドニー五輪の日本代表に選ばれるなど輝かしい戦績を残すとともに、自ら先頭でレースを動かす積極的な走りは多くの選手から尊敬されている。

主な戦歴:
1994 全日本プロロード選手権 優勝
1995 アジア選手権ロード 優勝
1995 国際ロード修善寺ステージ 優勝
1996 ツール・ド・ポーランド ステージ優勝
1996 全日本プロロード選手権 優勝
1997 JAPAN CUP 優勝
1999 日本選手権タイムトライアル 優勝

2000 日本選手権タイムトライアル 優勝
2000 日本選手権ロード 優勝
2000 オリンピック(シドニー) 出場
2001 アジア選手権タイムトライアル 優勝
2004 ツアー・オブ・チャイナ 個人総合 優勝
2006 ツアー・オブ・ハイナン 個人総合 3位
2006 アジア大会(ドーハ)チームタイムトライアル 3位

Panaracer カテゴリーS
ロードバイクで気軽にアーバンライドを楽しもうという方のために開発された新製品。カラーコーディネイトも楽しめるようにブラック・レッド・ブルー・ホワイトの4色がラインナップされている。

700×23C/230g
ブラックスキンサイド・アラミドビード

注)重量は平均重量のため実際の製品重量とは多少の誤差があります。
税込参考価格:2,270円
Panaracerサポート選手の注目リザルト
ツール・ド・台湾 第3ステージ&第4ステージ 優勝、第5ステージ 2位
ツール・ド・台湾 個人総合4位 ポイント賞獲得 アジアンライダー賞獲得
宮澤崇史選手(日本ナショナルチーム:Team NIPPO)
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Jサイクルツアー第1戦 クリテリウムin熊谷
2位 野口正則選手(鹿屋体大BLUE SKY)
3位 辻善光選手(宇都宮ブリッツェン)
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チャレンジサイクルロードレース
2位 真鍋和幸選手(マトリックス パワータグ)
3位 向川尚樹選手(マトリックス パワータグ)
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Jサイクルツアー第2戦 ヒルクライムin伊吹山 2位
長沼隆行(宇都宮ブリッツェン)
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トライアスロン 2010アイアンマン チャイナ プロ男子 4位 谷新吾選手

提供:パナソニック ポリテクノロジー株式会社