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105グレードまで出揃ったシマノのディスクブレーキコンポーネントにフォーカス。実際にディスクロードを愛用する「スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ」の鈴木代表と、シクロワイアード編集長・綾野による長期インプレッション対談をお届け。また女性ライダーを代表して、Livアンバサダーの武田和佳さんにシマノ105のショートリーチレバーを試してもらった。

上位モデルを踏襲しR7000系へ進化したシマノ105

R7000系シマノ105(ブラック)R7000系シマノ105(ブラック) (c)シマノ
R7000系シマノ105(シルバー)R7000系シマノ105(シルバー) (c)シマノ
1982年にデビューした初代シマノ105。DURA-ACE、ULTEGRAに続く3番目のグレードとして、上位モデルのテクノロジーやシステムを継承しながらもリーズナブルな価格に抑えることで、多くのサイクリストに愛用されてきたロードコンポーネントの定番モデルである。数多くの完成車パッケージに採用されてきた実績を持ち、ロードバイクの普及にこのシマノ105が大きな役割を果たしていると言っても過言ではないだろう。

モデルチェンジの度に5000番台の型番を更新し続けてきたシマノ105だが、昨年上位モデルを踏襲した機能・デザインを獲得し、さらなる性能向上を以てR7000系へと進化を遂げている。その中でも大きな話題となったのが、シリーズ初となるディスクブレーキモデルの追加である。ディスクロードが急速に広がりを見せる中、このシマノ105を注目せずにはいられない。

トップ~ミドルグレードが出揃ったシマノの油圧ディスクブレーキコンポーネント

ディスクブレーキを長年使用してきた鈴木卓史さん(左)と武田和佳さん(右)がインプレッションディスクブレーキを長年使用してきた鈴木卓史さん(左)と武田和佳さん(右)がインプレッション photo:Ryuta.IWASAKI
言わずと知れたシマノのフラッグシップ「DURA-ACE」、価格とパフォーマンスを高次元でバランスした「ULTEGRA」、多くのエントリーユーザーに愛用される「シマノ105」と、ロードコンポーネントの主要3グレードが出揃った油圧ディスクブレーキ。

昨年R7000系の新型シマノ105が登場したことで、各バイクブランドも2019年モデルでミドル~エントリーディスクロードのラインアップを拡充。よりユーザーがディスクロードを選びやすい環境が整ってきた。さらには名だたるメーカーのハイエンドバイクではディスクブレーキ専用に開発が行われるなど、リムブレーキモデルとの世代交代も年々活発化してきている。ここで今一度トップモデルであるR9170系DURA-ACEと、普及帯モデルであるR7020系シマノ105に焦点を当て、各メカの詳細を掘り下げていこう。

追い求めるは妥協なき性能 トッププロも愛用するシマノDURA-ACE DI2

油圧ディスクブレーキコンポーネントの最上位モデル、R9170系DURA-ACE油圧ディスクブレーキコンポーネントの最上位モデル、R9170系DURA-ACE
UCIワールドチームで採用率No.1を誇るシマノのDURA-ACE。世界のトップレースで勝利するために剛性、軽量性、精度、操作性など全ての性能を最高レベルに追求したコンポーネントだ。その中でもプロ選手に愛用される電動シフト、油圧ディスクブレーキ仕様とされるのがR9170系の型番を振られたDURA-ACEのパーツ群だ。

大きな特徴は、他社コンポーネントのトップモデルと比べても圧倒的にコンパクトなブラケットの形状だろう。油圧のマスターシリンダーを内蔵しているのにも関わらず、ブラケットヘッドのサイズはリムブレーキモデルと変わらないほどに小さく収まっており、握りやすさや操作性の良さに寄与している。

レバー形状もエルゴノミックなデザインを採用しており、指のかけやすさやブレーキレバーの引きやすさに配慮。ブラケットフードには細かな溝のパターンを刻みグリップを高めている。またシマノDI2の優れた変速性能は言わずもがな。素早く正確でストレスのない変速をライダーに提供してくれる。ブラケット先端のスイッチAやサテライトスイッチなど拡張性の高さもDI2の強みと言える。

ローターの冷却効果を高めるブラックのフィン構造はDURA-ACE特有のものローターの冷却効果を高めるブラックのフィン構造はDURA-ACE特有のもの フラットマウントかつ12mmスルーアクスルがディスクロードのスタンダードだフラットマウントかつ12mmスルーアクスルがディスクロードのスタンダードだ

油圧ブレーキながらDI2ならではのコンパクトなブラケットが握りやすさに寄与している油圧ブレーキながらDI2ならではのコンパクトなブラケットが握りやすさに寄与している
軽いレバーの引きで確かな制動性能を発揮するブレーキキャリパーも、フラットマウントとなりバイクのルックスを損なわないサイズ感に。グループセットに合わせたグロス仕上げのブラックに、DURA-ACEのレターが浮かぶ高級感あるデザインに仕上がっている。

ディスクローターはアルミ素材をステンレスで挟み込んだ構造とすることで放熱性も強化。シマノ独自の冷却システム「アイステクノロジーFREEZA」を採用しており、風によって効率的に冷却できるよう、内周部に向かって広がるフィン形状にも工夫を凝らしている。またDURA-ACEグレードのみに施されている、放熱性を高めるブラックの表面処理もポイントだ。ハブへの固定は取り付けが簡単でスマートなセンターロック方式となる。

油圧ディスクブレーキの入門コンポ 安心の制動性能を獲得したシマノ105

2019モデルから完成車にもスペックインを開始したR7020系シマノ1052019モデルから完成車にもスペックインを開始したR7020系シマノ105
上位グレードのテクノロジーを受け継ぎつつ、より価格を抑えたエントリーグレード帯の製品として幅広いサイクリストに愛用されているシマノ105。昨年のモデルチェンジによって型番をR7000系へと更新するとともに、ついにシマノ105グレードにも油圧ディスクブレーキモデルが登場している。

変速方式はワイヤー引きの機械式のみだが、STIレバーのブラケットサイズは同じ機械式DURA-ACEやULTEGRAと変わらないサイズに。リムブレーキモデルよりややヘッド部分が大きいものの、従来タイプのST-RS505からは大幅にサイズダウンを果たしており、上位グレードと比べても遜色ない操作性を実現している。

シマノ105グレードでも十分に安心感の高い制動性能を発揮する油圧ディスクブレーキシマノ105グレードでも十分に安心感の高い制動性能を発揮する油圧ディスクブレーキ シマノ105グレードのローターはオールシルバーのシンプルな構造だシマノ105グレードのローターはオールシルバーのシンプルな構造だ

また手の小さな人向けに、レバー形状を工夫したST-R7025がラインアップされている点は新型シマノ105シリーズの大きな特徴だ。レバーが手前に4mm近づいたショートリーチ構造と、外側への張り出しが大きいレバー形状によって、より指が届きやすくブレーキやシフト操作がしやすいものとなっている。手の大きさや性別に関係なく、ショートリーチモデルのレバー形状の方がマッチするという人も少なくなく、好みによって選択できるラインアップだ。

エルゴノミックな凹凸を採用したレバー形状や、滑り止めのパターンを刻んだブラケットフード、より押しやすく大型化されたシフトスイッチ、ショートストローク化された変速操作など、いずれも上位モデルを踏襲した作りは価格以上の出来と言っても過言ではないだろう。

ノーマルタイプ(左)とショートリーチタイプ(右)の比較ノーマルタイプ(左)とショートリーチタイプ(右)の比較
ディスクブレーキキャリパーも昨今標準となったフラットマウント規格とし、コンパクトなボディながら高い制動性能を実現。ブレーキローターはステンレス+アルミ+ステンレスの3層構造とすることで、ブレーキ時の温度上昇を抑えている。

パーツカラーをブラックとシルバーの2色から選べるラインアップとしている点もシマノ105特有のもの。自身の好みやフレームカラーに合わせたコーディネートも楽しめるコンポーネントとなっている。

エントリーモデルまでディスクブレーキが波及、ディスクロードの時代がついに到来

エントリーグレードの完成車にもディスクブレーキモデルが出揃いつつあるエントリーグレードの完成車にもディスクブレーキモデルが出揃いつつある
新型シマノ105の登場により、エントリーグレードの完成車にもようやく油圧ディスクブレーキがスペックインされ、ユーザーがディスクロードを選びやすい環境が整ってきた現在のロードバイク市場。今回はディスクロードを愛用する二人の対談から、ディスクブレーキのメリットやグレードによる違い、メンテナンスや機材の扱い方などを細かく紐解いていきたい。

インプレライダーの一人、埼玉県浦和に店舗を構える「スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ」の鈴木卓史代表は、すでに3年以上前からディスクロードを駆るディスクブレーキ愛用者。現在の愛車もディスクロード2台目というほど造詣が深いライダーである。

対してシクロワイアード編集長・綾野は昨年10月からシマノDURA-ACE DI2組みのディスクロードをプライベートバイクとして愛用している他、MTBやグラベルロードに乗り、シクロクロスにおいてはいち早く5年以上に渡ってディスクブレーキバイクを駆ってきた経験を持つ。それぞれディスクブレーキをよく知る二人が語る本音インプレッションに注目だ。

万人にアドバンテージとなる高いコントロール性能が魅力

― まず実際にディスクブレーキを使用する中で感じたメリットはどこにありますか

「油圧によるブレーキコントロール性の向上が一番のポイント」と鈴木卓史さん「油圧によるブレーキコントロール性の向上が一番のポイント」と鈴木卓史さん
鈴木:やはり油圧による圧倒的なブレーキコントロール性の良さが一番に感じられますね。軽い力でレバーを引けるのはもちろんですが、引いた分だけそのまま比例して素直に制動力が立ち上がる印象で、自分のイメージ通りに加減速をコントロールできる点は非常に優秀だと思います。

比較するとリムブレーキだとレバーを握っていった最後の方で一気に制動力が立ち上がる感じでしょうか。整備されたリムブレーキであれば絶対的な制動力の差はそこまでなくて、ブレーキのかかり方やそのフィーリングの違いが大きいんです。「リムブレーキで十分」という人もいるでしょうが、レバーの操作性の良さや制動性能の安定性などを含め、総じてブレーキを”かけやすい”のがディスクブレーキの良さであり、一般ユーザーであれば確実に安全性へ繋がる大きなメリットだと思いますね。

「ローターのグレードによって制動性能の差はそれほど感じませんでした」「ローターのグレードによって制動性能の差はそれほど感じませんでした」
CW綾野:そうですね、ディスクブレーキの操作性に慣れてしまうとリムブレーキが頼りないような印象にさえなります。ブレーキの当て効きもしやすくなりますし、特に速度が上がる下り坂ではバイクがよりコントロールしやすくなりますね。またスルーアクスルの効果も大きくて、エンド周辺の剛性が上がることで走行ラインがブレず、コーナリングなどがよりスムーズになったと感じます。

鈴木:ブレーキが確実に効くという安心感から、レースやイベントでもより集中して走れるようになると思います。特に雨天でブレーキが滑るということもないため、例えば下りやコーナーをより攻めていけるなど、機材的にも心理的にもアドバンテージとなりますね。ホイール交換の煩わしさは一般ユーザーレベルで気にすることではないでしょう。

「ブレーキキャリパーのグレードによってフィーリングのカッチリ感は微妙に異なる」「ブレーキキャリパーのグレードによってフィーリングのカッチリ感は微妙に異なる」
制動力の立ち上がりがスムーズなため、万が一の急ブレーキでも停止距離は短くなりますね。公道を走る乗り物として、危険回避という観点でもディスクブレーキにお金をかけるのは正解だと思います。高い制動性能を発揮するためにタイヤへも相応の性能が要求されることを考えると、昨今浸透したワイドタイヤやチューブレスタイヤと相性も良く、バイク全体で見てもバランスが整った仕上がりだなと感じますね。

リムブレーキと違いDURA-ACEもシマノ105も制動力の差はそれほど感じない

― 今回新型シマノ105をテストしていただきましたが感触はいかがでしたか

鈴木:シマノ105グレードでも完成度は非常に高いですね。グレードが下がってもなお、油圧ディスクブレーキの安心感は変わりません。むしろブレーキの操作性や効き方などは、それこそDURA-ACEと違いを感じないほど。キャリパーの剛性によってフィーリングのカッチリ感などは変わってくるのかもしれませんが、この価格で最上位モデルとほぼ同様の性能を感じられるのだから、エントリーモデルの完成車でも重量を気にしなければ、性能的にはパーツ交換をしなくても十分にライドを楽しめますね。

「重量の軽さや精度、高級感などDURA-ACEにしかない価値を重視したい」とCW編集長・綾野「重量の軽さや精度、高級感などDURA-ACEにしかない価値を重視したい」とCW編集長・綾野
CW綾野:私は普段R9170系DURA-ACEを使用していますが、やはりDI2のコンパクトなブラケットはシマノ105と差別化された上位モデル特有の利点だと改めて体感できました。他社のディスクブレーキコンポーネントと比較しても断トツに小さいブラケットのサイズ感で握りづらさは全くありません。ハンドル周りの軽量化にも繋がるので、ハンドリングやダンシングの振りなどに悪影響が出ませんし、見た目の野暮ったさがないのもポイントではないでしょうか。油圧ディスク+DI2は文句なしに最高の組み合わせです。

ブレーキの効き自体は正直グレードによる差はあまり感じず、シマノ105で不満に思うことはないでしょうね。リムブレーキだとキャリパーアームの剛性の違いによって、DURA-ACEとシマノ105ではやっぱりフィーリングが異なりましたが、常に限界性能で走るトッププロライダーでもなければそこまでの明確な差はディスクブレーキでは感じないかな、と。

ただリムブレーキよりもどうしても全体的なセットアップ合計重量が重めになることを考えると、お金を出してでもより軽い上位モデルを手に入れたいなと個人的には思いますね。仕上げや操作感、精度、高級感など、見た目も含めそういうところにDURA-ACEやULTEGRAの価値があるでしょう。

現在ブレーキローターは140もしくは160mmの2タイプから選択できる現在ブレーキローターは140もしくは160mmの2タイプから選択できる
鈴木:ブレーキローターも各グレードで展開されていますが、どれも素材は同じで通常のライディングでは制動性能自体に差はないようです。となると、やはりシマノ105のお得感が際立ちますね。一方で放熱性能と軽量性は上位グレードほど高い造りとなっており、長いダウンヒルでの安心感などに繋がるでしょう。ローターはフロント160mm・リア140mmで全く問題ありませんが、体重や制動力の違いよって前後径の組み合わせを変えていくのも、チューンアップの楽しみになると思います。

シマノ105、DURA-ACE、ULTEGRAのローターはそれぞれ違うが、基本構造は同じだシマノ105、DURA-ACE、ULTEGRAのローターはそれぞれ違うが、基本構造は同じだ シマノ105のディスクもアルミをサンドイッチする放熱性に優れた構造シマノ105のディスクもアルミをサンドイッチする放熱性に優れた構造

DURA-ACEのアイステクノロジーFREEZAフィンはブラック塗装で冷却性をさらに高めたDURA-ACEのアイステクノロジーFREEZAフィンはブラック塗装で冷却性をさらに高めた Min.TH:15の表示は「厚み1.5mmまで摩耗したら交換を勧める」という表示だMin.TH:15の表示は「厚み1.5mmまで摩耗したら交換を勧める」という表示だ

ヒルクライム決戦用に例えば5kg台の極端な軽量バイクを組みたいとなると、流石にリムブレーキを選択せざるを得ないですが、逆に重量以外でデメリットになるような部分はディスクブレーキに無いのでは?。一般ユーザーからしてみたら、多少重くなってもブレーキの操作性の良さを選択した方が気持ちよく走れると思います。

各メーカーともカーボン積層など研究が進んでいて、最新のディスクロードバイクはどれも高いレベルに仕上がっており、十分に軽量ですので心配もありませんね。むしろケーブルルーティングの自由度が高い油圧ブレーキのおかげで、特にエアロロードなどスポーツバイク全体の性能を引き上げていると感じます。

メンテ頻度が少なく長寿命でランニングコストも抑えられる

― 油圧ディスクブレーキの取り扱いやメンテナンスで気をつけることはありますか

「ある程度ブレーキの”当たり”が出るまで慣らし運転は必要」「ある程度ブレーキの”当たり”が出るまで慣らし運転は必要」
鈴木:まず注意してほしいのはローターやキャリパーへのオイルの付着ですね。パッドが滑ってしまいブレーキが効かなくなってしまいます。ローターは中性洗剤などできちんと洗えば復活しますが、パッドに油分などが染み込んでしまうと交換しなくてはいけなくなります。まあリムブレーキでもリム面にオイルが付かないように気をつけていたと思うので、それと同じですね。指の皮脂程度なら問題ないので、作業時に手で触るくらいはOKです。

また、きちんとブリーディングできていないとオイルラインにエアが噛んでしまうのはワイヤーにはないトラブルですよね。使っていてレバーの引きしろが大きくなったり、フニャフニャしたようなフィーリングになったりした場合、エアが噛んでいるかもしれません。エア抜きが完璧にできていれば起こらないはずですが、輪行などでバイクを横にしたり傾けたりすると発生しやすいようです。レバーのフィーリングが変わったらショップでブリーディングし直してもらうといいでしょう。

「ガンガン走っても1年に一回フィーリングのリフレッシュとして消耗品を交換する程度」「ガンガン走っても1年に一回フィーリングのリフレッシュとして消耗品を交換する程度」
CW綾野:シクロクロスも含めディスクブレーキを長く使ってきましたが、パッドも長持ちするという印象ですね。厚さが0.5mm以下になったら交換時期と言いますが、砂やホコリを噛み込むなどの悪条件で使用しない限りかなり長期間使えると思います。ただキャリパーの構造的にパッドの減りが確認しづらいので、バイクの清掃時などに気を配ってあげるといいでしょう。

パッドの減りは外から目視しにくいためホイールを外した際に点検しようパッドの減りは外から目視しにくいためホイールを外した際に点検しよう ホイールを外した際にはパッドスペーサーを挟むとエア噛み込みが防止できるホイールを外した際にはパッドスペーサーを挟むとエア噛み込みが防止できる


ブレーキオイルもきちんと密閉されていれば劣化は少なく、正直数年間は交換しなくて済んでしまうと感じますね。自動車ならともかく、ロードバイクほどの速度であれば制動時の熱がオイルを劣化させることも少ないのでは。気温が高くなる夏にバイクを屋外に放置しないように気をつけています。ワイヤーのように伸びたり切れたり錆びたりもなく、ほぼメンテナンスフリーな点も油圧の大きなメリットですね。

シマノのブレーキパッド L02A RESINシマノのブレーキパッド L02A RESIN ロードバイクにはコントロール性に優れるレジンパッドが標準装備となるロードバイクにはコントロール性に優れるレジンパッドが標準装備となる


個人的には1年に一回オーバーホール点検時にオイルとパッドの交換を行い、レバーのフィーリングをリフレッシュさせています。消耗したから交換というよりは、バイクの定期点検などプロショップに持ち込んだタイミングでプロメカニックにメンテナンス作業をしてもらえばいいのではないでしょうか。車の車検や数ヶ月毎点検みたいなイメージになりますね。リムブレーキのブレーキシューやワイヤーほど消耗もなく、リムにも削れるといったストレスがないので、結果としてランニングコストは抑えられるような気もしますね。

「メリットを考えると油圧ディスクブレーキを選ばない選択肢はないのでは」「メリットを考えると油圧ディスクブレーキを選ばない選択肢はないのでは」
鈴木:ディスクブレーキの使い始めは音鳴りもしやすく、最初はある程度”慣らし運転”が必要です。ワイヤーの初期伸びを取るようなイメージでしょうか。ブレーキングによってパッドの成分をローターに移着させると表面もこなれて角が取れるような感触になりますね。いわゆる”当たり”が出ると言いますか、パッドが引っかかるようなフィーリングもなく滑らかな操作感になっていくと思います。

オイル交換に必要な用具をセットしたシマノのディスクブレーキ用ブリーディングキット。ショップに任せるのが安心だオイル交換に必要な用具をセットしたシマノのディスクブレーキ用ブリーディングキット。ショップに任せるのが安心だ お客さんの中には「油圧ディスクブレーキって面倒くさいんでしょう」というイメージを持っている人もいますが、正直ほぼメンテナンスフリーですし、むしろリムブレーキより楽なのではと思いますね。ホースの内装配線やブリーディングまで自分でやろうと思うと、そりゃあ手間でしょうね。中には自分でバイクを組むくらいセルフメンテに慣れた人から言わせたらそうかもしれませんが、専用のキットを追加で購入するのもお金がかかりますし、ショップで見てもらう方が早くてセッティングも確実で安心。部屋もオイルで汚れなくていいのではと思います。

各サイクルショップも油圧ディスクブレーキの扱いに慣れてきましたし、不信感を抱くことはもうないと思います。ディスクロードを購入する人は確実に増えていますし、あとはリムブレーキバイクからの機材更新がこれから徐々に進んでいくのを待つだけでしょうね。

シマノ105ショートリーチレバーを武田和佳さんがインプレッション

シマノ105のショートリーチレバー「ST-R7025」シマノ105のショートリーチレバー「ST-R7025」
手の小さい人や女性を想定し開発されたシマノ105のSTIレバー「ST-R7025」。通常モデルと比べ、ショートリーチでかつ外側に張り出した形状を採用している。このレバー形状が異なることで得られるメリットはどこにあるのか。実際に完成車としてスペックインされている女性向けブランド「Liv」のバイクにてテストした。ライダーはシクロクロス/MTBの日本代表経験を持ち、油圧ディスクブレーキを長年愛用してきたLivアンバサダーの武田和佳さんだ。

指がかかりやすいレバー形状が特徴的、変速やブレーキ操作がしやすくなっている

まず油圧ディスクブレーキに特有なレバーの引きの軽さやコントローラブルな操作性は、握力の弱い女性にとって大きなメリットであることは今までも言われてきた通りですよね。レバー操作で余計なパワーを消費することなく、長い下りのブレーキングで疲れることもないので、確実に安全性を高めてくれる機材だと思います。天候に関係なく安定した制動力を見せてくれるのは精神的にも安心でき、あらゆるシーンで余裕を持つことができ楽しいライドに繋がるでしょう。

「手の小さな人でも馴染みの良いレバー形状が好印象」と武田和佳さん「手の小さな人でも馴染みの良いレバー形状が好印象」と武田和佳さん
またブラケットヘッド部分がかなり大きかった以前のモデル(ST-RS505)と比較すると、R7000系になりサイズ感もグッと小さくなっており、ようやく女性の手でも収まるようになったかな、と。もちろんリムブレーキタイプよりはどうしても大きい感触はありますが、それでも使ってみた感じでは違和感はないと思います。

さて今回テストしたショートリーチレバーですが、一言で表すなら”収まりが良い”というイメージで、手の小さめな人でもレバーに指がかかりやすい形状になっていると感じました。レバーが手元に4mm近くなっていることで指で抱え込みやすくなったのはもちろんですが、やはり外側へ出っ張った独自の形状が大きく効いていますね。私自身、女性の標準的な手の大きさですから、とても使いやすく感じました。

「見た目のゴツさはあるが、指先のレバー操作がしやすいデザインに考えられている(左が通常タイプのST-R7020、右がショートリーチタイプのST-R7025)」「見た目のゴツさはあるが、指先のレバー操作がしやすいデザインに考えられている(左が通常タイプのST-R7020、右がショートリーチタイプのST-R7025)」
「レバーの近さや形状によって明らかに指がかけやすくなっている」「レバーの近さや形状によって明らかに指がかけやすくなっている」 「中指がちょうどレバーの出っ張りに当たって操作しやすくなっている」「中指がちょうどレバーの出っ張りに当たって操作しやすくなっている」

私の場合、ショートリーチレバーだと幅広になったレバーの角にちょうど中指の第2関節部分が当たるようになり、指を折り曲げた時により広い範囲で囲い込めるような印象でした。外側に張り出した部分が支えとなってくれるので、シフトもブレーキもしやすくなりますね。

通常のSTIレバーだと、私の場合指の第1と第2関節の間の中途半端な位置にレバーの角がくる感覚で、レバーに指をかけきれていなく、握りづらいなと感じるんです。実際に使い比べてみないとなかなか伝わりづらいかと思いますが、ショートリーチレバーはとても良く考えられた形状なんだなと感心させられました。一見するとレバーがゴツくてどうなんだろうと思っていたのですが、手の小さめな人にとっては明らかにレバーが握りやすくなる設計となっています。

「レースからロングライドまで何に使っても良い安心感がシマノ105の魅力」「レースからロングライドまで何に使っても良い安心感がシマノ105の魅力」
ショートリーチレバーはもちろん手の小さなキッズには最適だショートリーチレバーはもちろん手の小さなキッズには最適だ photo:Makoto.AYANOレバーのアーチ形状も変更されていて、下ハンドルを握った際に指がかかりやすいようなカーブが加わっていると気づきました。ノーマルタイプのレバーだと直線的な形状をしているので指が滑るような感じもあったのですが、ショートリーチレバーはより指先でコントロールしやすいフィット感を生み出していますね。このフィット感を気に入って選ぶ人が、男性など手の小さくない方にもいるかもしれないですね。

もちろんDI2であればブラケットが細くなるのでそれによる握りやすさはありますが、ショートリーチレバーは指先の操作性を増してくれる設計で、スッと手に馴染む良さがありましたね。もちろんシマノ105グレードでも油圧ディスクブレーキの制動性能は十分。ロングライドからレースまで、何に使っても安心感のあるコンポーネントだと思います。女性に限らず手の小さめな人や、普段のレバーよりもしっくりくるという方にはぜひ試してもらいたいですね。

全国サイクルショップにてショートリーチレバーが体験可能

全国のサイクルショップにショートリーチレバーの体験什器を設置している(撮影協力:ワイズロード東大和店)全国のサイクルショップにショートリーチレバーの体験什器を設置している(撮影協力:ワイズロード東大和店) 現在シマノでは、全国のサイクルショップにてR7000/R7025系シマノ105の操作を体験できる専用の什器を設置中だ。油圧ディスクブレーキのレバータッチや、ショートリーチレバーの形状などを実際に触って確認することができる。また、おなじみのDI2体験什器も併設している場合もある。

「サイクルショップに展示してある完成車は商品なので原則ご自由に触ることができないのですが、こうした体験什器で実際に心ゆくまでフィット感を確かめてもらえるのはユーザーにとってとても大きなメリットです。ショートリーチレバーはハンドル形状との相性も考えたいところですので、組み合わせ方は経験豊かなショップスタッフにご相談ください。手の小さくない方でもフィット感で選ばれることがあるのも面白いですね」と大元英俊さん(ワイズロード東大和店)。

気になる人はぜひお近くのプロショップへ足を運んで欲しい。
→全国のシマノ105ロードディスク体験什器ショップリストはこちら

ディスクブレーキのフィーリングを疑似体験できる構造ディスクブレーキのフィーリングを疑似体験できる構造 電動シフトDI2の体験什器が併設されているショップも電動シフトDI2の体験什器が併設されているショップも

→DI2体験什器設置ショップリストはこちら

提供:シマノ 制作:シクロワイアード編集部 写真:岩崎竜太