コペンハーゲンで12月に開かれる国連の気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)をアピールするため、フランツミカエル・S・メルビン駐日デンマーク大使(50歳)が5月23日、日本全国9カ所を自転車でめぐるエコサイクリングを開始した。

デンマーク大使館を出発するフランツミカエル・S・メルビン駐日大使と参加者たちデンマーク大使館を出発するフランツミカエル・S・メルビン駐日大使と参加者たち photo:Makoto.AYANO
「COP15サイクリングツアー デンマーク大使と走ろうエコサイクリング」は、デンマーク大使が主催するプロジェクトだ。そして日本サイクリング協会をはじめ、様々な公的機関やデンマークに縁のある民間企業、エコを率先する企業などが支援する「カーボン・ニュートラル(包括的に二酸化炭素を排出しない)」なイベントだ。

このサイクリングでは単に走ることを楽しむだけでなく、訪ねる先の区役所など各自治体からメッセージを貰い、それを束ねることで最終的には日本からの自転車と環境のメッセージとしてデンマーク首相へ届けることを目標としている。

代官山を走るフランツミカエル・S・メルビン駐日大使たち代官山を走るフランツミカエル・S・メルビン駐日大使たち photo:Makoto.AYANO初日の東京ステージでは、東京の足立区をのぞく22区の各区役所をスタート地点とし、神宮外苑絵画館前がゴール地点に設定された。
各スタート地点からゴールまでのコースは決められておらず、交通ルールに従って、参加者各々の好きなルートでサイクリングを行う。本格ロードバイクの方からママチャリまで何でもOK。交通ルールを守って走りさえすればスタイルは問わない。

メルビン大使、エバ夫人ら一行は、代官山のデンマーク大使館を朝9時に出発し、中野区、新宿区、そして渋谷区など区役所や、イギリス大使館、スウェーデン大使館、EU会館、新聞社などを巡り、区長や代表者などから賛同のメッセージを受け取りながら走った。走行距離は約50km。区役所や大使館など、立ち寄りながら要人と短い会見を行うため、ちょっとあわただしいサイクリングだ。

イギリス大使館を訪ねて宣誓書への署名を受け取るイギリス大使館を訪ねて宣誓書への署名を受け取る photo:Makoto.AYANOメルビン大使はこの日から始まるツアーの週のために毎日40kmあまりを自転車で走ってトレーニングし、備えたという。自身大変な自転車ファン。そしてデンマークは自転車レース熱も盛んで、ご存知のとおり世界で活躍する自転車チーム、サクソバンク(リースサイクリング)がある。

自転車ファンの要人・芸能人も合流



東京ステージの行われたこの日、日中の気温は30℃まで上がり、初夏の暑さとなった。参加者は約千人に達した。

メルビン大使ら一行は明治神宮外苑前の聖徳記念絵画館に設置されたゴール地点に13時ごろ到着。メイン会場ではいろいろな環境にまつわる展示やトークショーが行われていた。

樋口真嗣監督、吉本多香美さん、中野浩一さん、鶴見辰吾さん、長塚智広さんによるトークショー樋口真嗣監督、吉本多香美さん、中野浩一さん、鶴見辰吾さん、長塚智広さんによるトークショー photo:Makoto.AYANOトークショーのゲストとしてきた樋口真嗣映画監督、吉本多香美さん、中野浩一さん、鶴見辰吾さん、長塚智広さん、そして自転車が趣味の議員として知られる谷垣禎一議員、荻原健司参議院議員らが合流し、メルビン大使の「一般参加者とともに走る場を設けて欲しい」という要望から、再び渋谷区役所まで自転車で走行した。

渋谷区役所では小池百合子議員も合流。再び神宮外苑までの道を参加者たちと一緒に自転車に乗って走り、エコサイクリングをアピールした。

メルビン大使語る「自分ができるところから始めよう」



12月にコペンハーゲンで開催される「COP15=気候変動枠組み条約第15回締約国会議」とは、京都議定書以後の2013年からの地球温暖化対策の枠組みを決める会議だ。

吉本多香美さん(左)、谷垣禎一議員、小池百合子議員、鶴見辰吾さんも参加吉本多香美さん(左)、谷垣禎一議員、小池百合子議員、鶴見辰吾さんも参加 photo:Makoto.AYANOメルビン大使は言う「京都議定書の精神をデンマークにつなげたい。デンマークでは既に個人個人が自分で出来ることから始めている。それが自転車ということだ。自転車を生活に取り入れるだけで地球環境向上に役立つ。自転車は空気を綺麗にするわけではないが、クルマを自転車に乗り換えることで排気ガスを出さずにすむことになる。それがもっとも身近にできるアクションだ。

デンマークでは25%もの人が自転車で通勤・通学している。コペンハーゲンでは36%にも及ぶ人々が日常の足に自転車を使う。国民の年間の自転車走行距離は20億km以上にもなります。
そしてこの高い自転車の利用率を2015年までに50%に上げることを目標にしています。
スウェーデン大使(左端)、北京五輪自転車銀メダリスト長塚智広さん(中央)も合流スウェーデン大使(左端)、北京五輪自転車銀メダリスト長塚智広さん(中央)も合流 photo:Makoto.AYANOなぜなら国民の自転車利用率が50パーセントを超えると、5万トン以上の温室効果ガスを減らすことができると考えられているからです。

日本の道路事情は自転車にとって決してよいとはいえないが、クルマのドライバーが自転車に気を遣ってくれる。それでも自転車が走るスペースは狭いと感じてしまう。自転車に乗る人の扱いが向上し、自動車と同じ立場になれることを期待しています。日本がデンマークの自転車事情から学ぶことはあるはずです。

まず自分にできることからはじめてください。世界で見たい改革は自分で始めることが大切です。地球温暖化防止に関心を持ってください」。

参加者が大集合しての記念撮影参加者が大集合しての記念撮影 photo:Makoto.AYANO

日本各地で開催 〆はコペンハーゲン大会



この「COP15サイクリングツアー デンマーク大使と走ろうエコサイクリング」は、5月23日の東京ステージからスタートし、31日まで日本の9地域:安城、福島、札幌、宮崎、広島、今治、和歌山、京都を巡り、最後にデンマークの首都コペンハーゲンで終了する。メルビン駐日大使は日本各地の参加者と交流しながら自転車で走っている。

イベントの詳細や経過についてはCOP15サイクリングツアーホームページや、公式ブログで確認を。イベントは当日参加も受け付けている。

※フォトギャラリーには追って写真を大量に追加します。また、京都ステージも同行取材してレポートします。お楽しみに。(編集部)

写真・文:綾野 真

フォトギャラリーUPDATE(5月27日)




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