2014/09/29(月) - 10:19
朝晩はすっかり涼しくなり、秋の訪れを肌で感じられるようになってきた9月下旬。長野県北部野尻湖周辺を舞台に「信越自然郷・五高原ロングライド」が開催された。獲得標高が2,730mにも達する、国内屈指のハードな山岳ライドのレポートをお届けしよう。
今年で5回目を迎える信越自然郷・五高原ロングライド。まずはアウトラインから説明すると、芙蓉の花に似ていることから芙蓉湖とも呼ばれる野尻湖を中心とし、それを囲う様に位置する斑尾、妙高、黒姫、戸隠、飯綱の5つの高原を巡ると言うイベントだ。2コース設定されるうち、距離の長い120kmコースは獲得標高が2,730mにも達する。
正直なところ、獲得標高1,500m~2,000mほどの適度な難易度のイベントが人気を集める中ではかなり尖った存在といえる。加えて、制限時間はわずかに9時間。個人的な問題だが海外出張の疲れが癒えず「取材どころか、完走すら怪しいぞ」というのが本音だった。しかし、大会実行委員会で広報を務める八重田俊明さんと取材スケジュールについて打ち合わせしていると「実を言うと昨年の完走率は8割程度だったんですよ」との声が。マジかぁ。
さて、今大会の特色として地域を挙げてのおもてなしを受けられることが挙げられる。前夜祭では、会場の妙高高原ビール 工場レストランで醸造されたビールを心ゆくまで飲んで、鉄板焼きや郷土料理も振る舞われたバイキングでお腹を満たして翌日への鋭気を補充。
会場近くに数個ある温泉施設や格安で泊まることのできる大会協力の素敵な宿でしっかりと疲れを取り、日本屈指の山岳コースに挑む準備は完了。ちなみに、筆者は暫くぶりというほど気持よく眠れたおかげでスタートに遅刻しかけた。それだけ高原の夜は快適なのである。
そして、大会当日。数日前までは大雨という予報も出ていたが、実際には青々とした秋晴れに恵まれたと同時に思わず「おぉー」と声を上げてしまうほど幻想的な雲海を拝むことができた。気温は15℃程度と夏用ジャージだけでは肌寒い。ウォーマー類やウィンドブレーカーをさり気なく着こなしている参加者が多く、「上級者が多いから完走率が高いのかな」と個人的に考えつつ、午前7時にスタートを切る。
この信越五高原ロングライドはスタート地点が斑尾高原と妙高高原(池の平)の2箇所設定されていることも大きな特色だ。その理由はコース上の参加者の分布を均すことで、安全なイベント運営と走りやすさを提供するためだそう。実際にCW取材班がスタートした斑尾高原から第1エイドまでには、大人数で併走したくない山間の細い林道の下りが多く含まれている。しかし、このユニークなスタート方式のおかげで周りに神経質になりすぎること無く安全にクリアすることができたのだ。
下った後はもちろん登り。正直に白状すると筆者はヒルクライムがかなり苦手なのだが、序盤の登りの途中で目に飛び込んでくるダイナミックな景観を楽しむ余裕があった。確かに勾配は序盤から10%を超えているし、脚が悲鳴をあげない訳がないのだが…。高原ならではの清々しい空気なのか、スイッチバックの少ない独特な道の構造なのかは良くわからなかったが、この不思議な走りやすさが高い完走率の秘訣なのだろう。そんなことを考えながら、この日最初のエイドに到着する。
第1エイドは今大会で最も標高の低く、海抜250mほど。それでも冬になれば大量の雪が降るとのことで、会場となっている妙高ふれあいパークには雪国民族資料館なる施設があるのだ。話は逸れたが、エイドで提供された甘さと歯ごたえが抜群のリンゴや、噛んだ瞬間に香り豊かな果汁が口いっぱいに広がる白ぶどうは何個でも食べられる程に美味。まさしく、食欲の秋本番だ。
ここからもう1つスタート地点であり、第2エイドでもある「池の平」までは約10kmに渡って登りが続く。もちろん景色は最高なのだが、この区間のポイントは、赤倉温泉近くの県道399号線(新潟)にあり、日本にいながら自転車競技のメッカであるベルギー・フランドル地方を走った気になれる大会の名物的な激坂「鬼の洗濯板」だ。
距離自体は400mと今大会の登りの数々と比べればおとなしいものだが、平均勾配14%、最大勾配18.6%というプロファイルに加え、等間隔に配列された滑り止め用のコブが特徴的。23mm幅のタイヤで荒いペダリングをしようものなら、即座にトラクションがスッポ抜けてしまうし、恐らく雨だったら押しが入るはず。
現在、国内には無数のロングライドイベントが存在するが、厳しい山岳ルートの中であえて登坂で遊ぶコース設定をする主催者はそう多くないはず。運営側の自転車愛を感じられると共に、「ドS」な一面も垣間見ることができた気がした(笑)。
鬼の洗濯板を越えると間もなく池の平ASに到着する。120kmコースでは唯一本格的に補給を摂れるエイドで、中でも地元のおばあちゃんたちが作る味噌汁が格別。具は都心では見たことないほど傘の大きなナメコ、食感の良いエノキ、とれたて新鮮なしめじが中心で、キノコの出汁の風味がたまらない。もちろん、おかわりしちゃいました。
この他にも粒がしっかりしたとうもろこしや、シンプルな味付けのジャガイモの煮物で腹ごしらえをして、再びコースへ。コースの1/3となる40kmを走破したCW取材班は、まだまだ続く高原ならではの厳しい登りに挑んでいくのでした。続く。
text:Yuya.Yamamoto
photo:So.Isobe, Yuya.Yamamoto
今年で5回目を迎える信越自然郷・五高原ロングライド。まずはアウトラインから説明すると、芙蓉の花に似ていることから芙蓉湖とも呼ばれる野尻湖を中心とし、それを囲う様に位置する斑尾、妙高、黒姫、戸隠、飯綱の5つの高原を巡ると言うイベントだ。2コース設定されるうち、距離の長い120kmコースは獲得標高が2,730mにも達する。
正直なところ、獲得標高1,500m~2,000mほどの適度な難易度のイベントが人気を集める中ではかなり尖った存在といえる。加えて、制限時間はわずかに9時間。個人的な問題だが海外出張の疲れが癒えず「取材どころか、完走すら怪しいぞ」というのが本音だった。しかし、大会実行委員会で広報を務める八重田俊明さんと取材スケジュールについて打ち合わせしていると「実を言うと昨年の完走率は8割程度だったんですよ」との声が。マジかぁ。
さて、今大会の特色として地域を挙げてのおもてなしを受けられることが挙げられる。前夜祭では、会場の妙高高原ビール 工場レストランで醸造されたビールを心ゆくまで飲んで、鉄板焼きや郷土料理も振る舞われたバイキングでお腹を満たして翌日への鋭気を補充。
会場近くに数個ある温泉施設や格安で泊まることのできる大会協力の素敵な宿でしっかりと疲れを取り、日本屈指の山岳コースに挑む準備は完了。ちなみに、筆者は暫くぶりというほど気持よく眠れたおかげでスタートに遅刻しかけた。それだけ高原の夜は快適なのである。
そして、大会当日。数日前までは大雨という予報も出ていたが、実際には青々とした秋晴れに恵まれたと同時に思わず「おぉー」と声を上げてしまうほど幻想的な雲海を拝むことができた。気温は15℃程度と夏用ジャージだけでは肌寒い。ウォーマー類やウィンドブレーカーをさり気なく着こなしている参加者が多く、「上級者が多いから完走率が高いのかな」と個人的に考えつつ、午前7時にスタートを切る。
この信越五高原ロングライドはスタート地点が斑尾高原と妙高高原(池の平)の2箇所設定されていることも大きな特色だ。その理由はコース上の参加者の分布を均すことで、安全なイベント運営と走りやすさを提供するためだそう。実際にCW取材班がスタートした斑尾高原から第1エイドまでには、大人数で併走したくない山間の細い林道の下りが多く含まれている。しかし、このユニークなスタート方式のおかげで周りに神経質になりすぎること無く安全にクリアすることができたのだ。
下った後はもちろん登り。正直に白状すると筆者はヒルクライムがかなり苦手なのだが、序盤の登りの途中で目に飛び込んでくるダイナミックな景観を楽しむ余裕があった。確かに勾配は序盤から10%を超えているし、脚が悲鳴をあげない訳がないのだが…。高原ならではの清々しい空気なのか、スイッチバックの少ない独特な道の構造なのかは良くわからなかったが、この不思議な走りやすさが高い完走率の秘訣なのだろう。そんなことを考えながら、この日最初のエイドに到着する。
第1エイドは今大会で最も標高の低く、海抜250mほど。それでも冬になれば大量の雪が降るとのことで、会場となっている妙高ふれあいパークには雪国民族資料館なる施設があるのだ。話は逸れたが、エイドで提供された甘さと歯ごたえが抜群のリンゴや、噛んだ瞬間に香り豊かな果汁が口いっぱいに広がる白ぶどうは何個でも食べられる程に美味。まさしく、食欲の秋本番だ。
ここからもう1つスタート地点であり、第2エイドでもある「池の平」までは約10kmに渡って登りが続く。もちろん景色は最高なのだが、この区間のポイントは、赤倉温泉近くの県道399号線(新潟)にあり、日本にいながら自転車競技のメッカであるベルギー・フランドル地方を走った気になれる大会の名物的な激坂「鬼の洗濯板」だ。
距離自体は400mと今大会の登りの数々と比べればおとなしいものだが、平均勾配14%、最大勾配18.6%というプロファイルに加え、等間隔に配列された滑り止め用のコブが特徴的。23mm幅のタイヤで荒いペダリングをしようものなら、即座にトラクションがスッポ抜けてしまうし、恐らく雨だったら押しが入るはず。
現在、国内には無数のロングライドイベントが存在するが、厳しい山岳ルートの中であえて登坂で遊ぶコース設定をする主催者はそう多くないはず。運営側の自転車愛を感じられると共に、「ドS」な一面も垣間見ることができた気がした(笑)。
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この他にも粒がしっかりしたとうもろこしや、シンプルな味付けのジャガイモの煮物で腹ごしらえをして、再びコースへ。コースの1/3となる40kmを走破したCW取材班は、まだまだ続く高原ならではの厳しい登りに挑んでいくのでした。続く。
text:Yuya.Yamamoto
photo:So.Isobe, Yuya.Yamamoto
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