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impress cycle works

全てはユーザーの感動のために 札幌市内にオープンした気鋭のプロショップ
スタイリッシュに設えられたimpress cycle works店内
場所は中央区北3条東5丁目のタワーマンション1階
選りすぐられたブランドのバイクだけが並ぶ
イタリアの雄ピナレロは主力ブランドの一つ
ショップのテイストにもマッチするファクター
グラベルロードも充実。今最も注力しているカテゴリーだという
パス・ノーマル・スタジオは小物類も揃う
impress cycle worksオリジナルのアパレルも
シューズはフィジークやジロを取り揃える
真剣な眼差しでバイクを仕上げていく中西さん
完成車の場合は一度バラし、各部を整備したのちに店頭に並ぶという
工具やケミカル類も一流ブランド製品を使う
正直に言えば、札幌のサイクリストが羨ましい、とさえ思った。こんな空間で次なる愛車の妄想を膨らませ、オーダーを決め、美味しいコーヒーを頂きながら組み上がっていく様を眺めるだなんて、何とも贅沢だ。雰囲気良し、整備良し、そして共に遊ぶことも充実。“impress=感動する”という看板に一切の偽りは無かった。

impress cycle works(インプレス・サイクルワークス)が位置するのは、札幌駅南口から東に1kmほど歩いた中央区北3条東5丁目。1876年(明治9年)創業の「開拓使麦酒醸造所」跡地であり、1989年までサッポロビールの工場だったショッピングモール「サッポロファクトリー」横と言えば聞こえが良いだろう。通りを隔てた真新しいタワーマンションの歩道沿いに、(少し分かりにくいけれど)ガラスドアの店舗入り口がある。

ドアをくぐった先に、サイクルショップとは思えない空間が広がっている。グレー基調のスタイリッシュな店舗右側はバイクやホイール、パーツ、ウェア類を陳列する展示販売スペースで、カウンターを挟んだ奥側は長テーブルを置いたラウンジと、洗車ブースを備えたテックスペース。インパクトある店内のグラフィックやロゴ、インテリアは札幌のサイクリストたちによる作品だという。

店舗に並ぶのはピナレロやコルナゴ、オルベア、ファクターといったヨーロッパブランドのバイクたち。ホイールであればジップやエンヴィ、そしてジロやカスク、フィジーク、アルバオプティクス、パス・ノーマル・スタジオ、そしてオークリーといった精鋭ブランドたちがアイテム類の中核を担う。少数精鋭、選りすぐられたブランドの品だけが並ぶ様は、セレクトショップという言葉が最適だ。
札幌市内にオープンしたimpress cycle works
選りすぐられた中高級価格帯のバイクたちが並ぶ
ホイールやエンヴィやジップがメイン。試乗プログラムも用意している
店舗右手奥はパーツやアパレルが並ぶ
2020年2月29日、impress cycle worksは、同じく札幌市の中央区南4条西にあるノースバイシクル北海道(2020年3月にサイクルショップナカムラSAPPOROから名称変更)の2号店としてオープンした。スポーツサイクル専門店として長く親しまれてきたノースバイシクル北海道が、impress cycle worksを開いたのには大きな意味があるのだという。

「高価格帯のバイクとシティバイクを分けていきたかったんです。慌ただしく来店のあるお店とは別に、落ち着いて対話し、様々なことを伝えていける場を作りたかった。しっかりとしたスペースを作り、ゆっくりとお話しできる空間を、ですね」と言うのは、店舗マネージャーを務める中西太洋さん。中西さんは10年前にサイクルショップナカムラSAPPOROに加入し、そこからプロショップのスタッフとして技術を学び、経験を積み重ねてきた。そうして1年以上に渡る準備の末、札幌市が緊急事態宣言を発令したまさにその日、不安な雰囲気を打ちこわすかのようにオープンにこぎつけた。

そこから1年間。impress cycle worksはその端正な佇まいと、中西さんの人柄も相まって着実に知名度を上げている。「お店の雰囲気を気に入ってきてくださるお客様が増えてきましたね。とてもありがたいことですし、嬉しいですよね」とは中西さん。ノースバイシクル北海道のサービスを基本に、より洗練された空間で魅せることがimpressの根幹だ。

impress cycle worksとして取り扱うブランドは少数精鋭だが、ギリギリ徒歩圏内にあるノースバイシクル北海道と連携することで、プラスアルファのニーズにも応えることが可能。サービス内容を含め、様々な融通を効かせることができるのは複数展開しているショップならではの強みと言えるだろう。ピナレロ DOGMAや高級ホイールなどのレンタルサービスを展開しているのもグッドポイントだ。
ショップマネージャーを務める中西太洋さん。現役のプロスキーヤーでもある
オープンから1年。雰囲気と、中西さんの人柄で認知度を高めてきた
ショップ奥にはフィッティングスペースを備える
店舗半分は在庫を置かないフリースペース。贅沢な空間使いだ
「新しい自転車を手に入れた感動。自転車が蘇った感動。欲しいものに出会えた感動。新しい景色や友達に出会えた感動(ショップ紹介より引用)」。そんなユーザーのimpress(=感動)に携わることをモットーにするだけに、impress cycle worksはスポーツバイクを単なる移動手段としてではなく、遊ぶツールとして楽しむことを積極的に発信し、ユーザーに勧めている。

札幌の有名ヒルクライムスポットである手稲山や、モアイ像で有名な滝野方面。少し走れば絶好のライド環境が広がる立地を活かし、例えばグリーンシーズンは毎週末ライドイベントを開催(現在は停止中:頃合いを見て再開するという)したり、グラベルロードに乗って知られざるルートの開拓に勤しんだり。それらは中西さんの趣味であるカメラを通じ、美しい画となってブログInstagramでユーザーの好奇心を刺激する。

ショップマネージャーとして活躍する中西さんだが、その一方で複数ブランドがスポンサーに就く現役プロスキーヤーという肩書きも持ち合わせる(華麗な滑りや写真は中西さん個人のInstagramで発信されている)。かつては雪を追い求めてカナダ、ウィスラーに複数年滞在し、そのグリーンシーズンにMTBと出会い、仲間と共にダウンヒルやトレイルライドを楽しんできた。だから中西さんの根底には、自転車イコール遊ぶもの、楽しむものという理念が息づいているのだ。

納得して購入してもらうバイクだったならば、共に過ごす喜びは最大になる。コミュニティスペースとしてはもちろんのこと、impress cycle worksの落ち着いた空間は、バイク選びに頭を悩ませるユーザーと対話するスペースとなった時にその価値が高まるのだ。「やはり基本になるのは対話ですよね。例えば『あのバイクが欲しいんです』と決め打ちでいらっしゃる方でも、じっくり話を聞くとそれが最適解ではない時もある。そうやって本来のニーズに適したバイクを紹介し、満足してもらえればそれ以上嬉しいことはありません」と中西さん。ショップにはもうお一方女性スタッフが在籍(取材時はスキー中の怪我による入院でお会いできず……)しているため、女性ユーザーの相談やバイク選びにも親身に応える体制が整っている。
フリースペース奥は開放的なテックゾーン。コーヒーを飲みながら作業を見学できる
メンテナンスに一切の妥協なし
中西さんの手で丁寧に組み上げられていく
一番奥には洗車ブースを完備。3種類のメニューを用意している
バイクの組み立てやメンテナンスは中西さんのメインワーク。仕事に、遊びに、全力投球する中西さんだけに、安全を担保するメカ作業にも抜かりはない。例えば7分組みの完成車が入荷した場合は各部の締め付け確認やグリスアップはもちろんのこと、できる限りバラしてから純正性能を100%引き出すべくファインチューニングを施していく。サードパーティー系の変速ワイヤーであればシマノ純正品に交換したり、ケミカルを使い分けて仕上げたり。セラミックスピードのビッグプーリーをインストールしたりといった性能アップも得意にしている。

ユニークな取り組みとしては洗車サービスが挙げられるだろう。道路に撒かれる融雪剤は特に駆動系にダメージを与えやすく、雪国在住のサイクリストには悩みのタネとなりがちだ。そこでimpress cycle worksは室内に洗車スペースを完備して洗車メンテナンスを請け負っている。「ライトコース(3,850円)」とクランクやスプロケットを分解する「しっかりコース(7,700円)」、そして全バラにした上で洗浄する「フルメンテナンス(33,000円)」の3メニューが用意されているので、使い分けていくのが吉だろう。

もちろんシマノの消耗品やスモールパーツは在庫を揃え、突然のトラブルへの駆け込み寺としても機能してくれるという。他店購入のスポーツバイクも初回作業時に会員登録(1,650円)を行った上で対応してくれる。中西さんの手によってカスタムが施されたバイクたちの姿はショップのinstagramを、そして一台のバイクが組み上げられていく様子はこちらの投稿をチェックしてもらいたい。

在庫量も取り扱いブランドも絞りに絞ったimpress cycle worksは、おそらく世界トップレベルで先鋭化されたショップ。「自転車店」のイメージからかけ離れた雰囲気に戸惑うこともあるかもしれないけれど、中西さんと言葉を交わすたびに、ユーザー思いの店だということがすっと腑に落ちてきた。

商品ボリュームと店舗の濃さは必ずしも比例しない。オープンしたばかりの店舗だが、その根本には札幌で長く慕われてきたナカムラSAPPOROのDNAが息づき、そして昇華している。取材を通し、これから5年、10年と、長く歴史を刻む名店となりうる可能性を感じたのであった。
ユーザー憩いの場。この空間こそimpress cycle worksが大切にするものだ
PAS NORMAL STUDIOSのラインナップが揃うのは北海道唯一
印象的なグラフィックはサイクリストの手によるもの。遠目で見ると文字が浮かび上がる
impress=感動を発信する素敵な空間だった
店舗情報
郵便番号 
060-0033
住所 
札幌市中央区北3条東5丁目357 ザ・タワーフロンティア札幌1F
営業時間 
10:00〜19:00
定休日 
月曜日、火曜日
TEL 
011-522-8901
FAX 
011-522-8902
アクセス 
・札幌市営地下鉄 東西線「バスセンター駅」8番出口より徒歩8分
・北海道中央バス ファクトリー線「サッポロファクトリー」停下車 徒歩5分
・専用駐車場なし
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スタッフからのメッセージ
ショップマネージャーの中西太洋さん
札幌市中央区北3条東5丁目にオープンしたimpress cycle worksです。かなり尖った見た目のショップですが、それとは反対に、きちんと対話してお客様のニーズにお応えする真摯なサービスを心がけていますので、まずは足を運んで頂ければと思います。

街とライド環境が近い札幌は、サイクリストにとって住みやすく、そして走りやすい街。その立地の中でお客様と良い関係を築き、共に自転車を(冬場はスキーも!)楽しむ中で、当店がコミュニティの中心地となればこれ以上嬉しいことはありません。ぜひ一度、ショップまでおいで下さい。

impress cycle works