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サイクルセンターサンワ

在庫数600台以上 関西最大規模の老舗プロショップ
サイクルセンターサンワ外観
本館2階にはサンワのお家芸とも言えるアレックス・モールトンの完成車が20台ほど用意されている
本館1階はキャノンデールやトレック、スペシャライズドなどアメリカンロードバイクコーナー
西館にはエントリーロードバイクが中心に揃えられる
訪問時にはチネリのレーザーmiaの組み付けを行っていた
贅の限りを尽くしたモールトン。特注ゴキソハブやスーパーレコードを組み付け、お値段は驚きの348万円
新館の2階はウェアコーナーとしてリニューアルした。ASSOS製品を中心に、絶版品から最新モデルまでがずらり
15年以上前と思われるシューズを発見。このようなアイテムが探し出せるのもサンワの魅力の一つだ
大量に展示されるブロンプトン カラーもモデルも豊富にそろえる
常に丁寧で正確な作業を貫く北谷さん 
グラベルバイクなど最先端のトレンドもしっかりとキャッチしている
ハイエンドのMTBも取り扱う 周辺にはトレイルも広がる
ディスクブレーキロードもしっかりと展示する
クラシカルなチネリも並べられていた
ブルックスのサドルを豊富にそろえている
スレッドステムは各時代の名品を揃えている
最新のE-BIKEの試乗車も用意している
兵庫県尼崎市、国道2号線沿いにあるのが、今年で創業50年を迎える老舗プロショップ、サイクルセンターサンワだ。店内に入ると所狭しと様々なバイクが並べられ、倉庫にあるものを数えるとその数は600台を優に越すという。関西では間違いなく規模ナンバーワンのショップといって良いほどの圧倒的な在庫数を誇る。

ロードバイク、クロスバイク、マウンテンバイク、アレックスモールトンほか小径自転車等、ジャンルを問わずほぼ全ての有名ブランドが顔を揃える。高級ロードバイクがずらり並べられる本館、フラットバーロードや折りたたみバイクを置く東館、エントリーロードなどを置く西館の計3棟から成るサイクルセンターサンワ。この中で、最もサンワらしさを象徴するのが本館の2階にあたる部分だ。ルック、デローザ、コルナゴ、トマジーニなどのヨーロピアンハイエンドバイクがフロアには所狭しと並ぶ。それに足らず天井からも吊り下げられ、棚にまでも並べられている様は圧巻だ。

しかもそこにはカタログから消えて久しい絶版品や○○周年記念モデル、果てはカタログには無い別注のサンワ特別モデル(トマジーニやコルナゴの特注チタンなども然り)が、至る所にさも当然のように置いてあるあたりには、近代自転車の博物館という言葉がぴったりだ。欧州レース界の英雄、ベルナール・イノーやエディ・メルクス氏が来日した際、関西で真っ先に立ち寄るという話も納得できてしまう。

「例えばカーボンなど新しい素材を使った自転車は次々と登場していますが、サンワが一番に伝えたいのはクロモリ自転車の乗りやすさや魅力なんです。」とは、店主の北谷正一さん。「自転車を極めれば最後に辿り着くのはクロモリ。もしくは小径車、アレックス・モールトン。この2つこそがサンワの得意技なのです。」

パーツ類に目をやってもこれまた凄い。ASSOSのウェアはクラシックなものから最新製品を問わず在庫され、シューズもSIDIやシマノ、マヴィック他、38〜47(22〜31cm)といった通常では在庫しないようなサイズも豊富。「一日中掛けていても気にならない軽い掛け心地が魅力」と北谷さんが太鼓判を押す「zerorh+」のアイウェアは100以上も在庫を持つそうだ。「私はね、売るよりも仕入れる方が好きなんです。男ってそういうもんでしょ?」と北谷さんは笑うが、その規模は並みでは無い。
サイクルセンターサンワらしさが集約される本館2階。プレミアモデルが数多く並ぶ
サンワが特別発注したトマジーニのチタン+カーボンハイブリッドモデル。このようなスペシャル品が多く並ぶ
トマジーニの店頭在庫は30本以上。倉庫にも数えきれないほど多くの在庫が眠っているという
デローザに特注したというチタニオ サンワでしか買うことの出来ないカラーリング
「サンワさんでスポーツバイクを買うのはある意味ステータスなんです」と、関西のサイクルショップ事情に通じた人が形容する評判の高さ。サンワは関西では一目置かれるサイクルショップだ。それに対して北谷さんは開口一番に「ウチの店は、評判が悪いんだよね。」と言う。

どういうことだろう?と、お話を伺ってみると、過去にひいきにしてくれるユーザーの作業が詰まっている時、ネット通販でスポーツバイクを買ったユーザーの持ち込み修理依頼を何度か断ったことがあるそうだ。

「僕はね、ウチで買ってくれたお客さんの自転車は完璧に面倒を見ないと気が済まないの。そのお客さんの自転車をメンテナンスする時間、一緒にお話したり、相談に乗ったりする時間をしっかり確保したいんだ。だから失礼を承知の上で、お断りさせてもらう場合があるんですよ」そう笑顔で話す北谷さん。

そんな北谷さんの愛称は「大将」。この話を書くと、北谷さんに会ったことがない人は「強面の頑固オヤジ」のような印象を持つかもしれない。でも、実際に接する北谷さんはいつも満面の笑みでニッコニコの気さくな方だ。そして次々とお店にやってくるお客さんと、楽しそうに話しこんでいる。北谷さんは午後1時からお店に出る。そして、初めての人にも常連さんにも等しく親切に、丁寧に、スポーツバイク選びの相談に乗っている。
ショップの片隅に飾られた有名選手との記念写真。サンワの歴史を物語る
サンワ40周年を記念してトマジーニに作らせた限定モデル。カラーやグラフィックもオリジナルだ
こんなにBORAが並んでいるショップが他にあるだろうか?
往年のジャージ。店内には昔のアイウェアやアパレルも在庫されている
「ウチで買ってくれた方の自転車は、時間を掛けてしっかりと見たい。だから安さ目当てでネット購入し、修理だけを目的に持ち込まれる自転車を見る時間がもったいないと感じてしまうの。もちろんサイクリング中にメカトラになったとか、転勤してお付き合いのあるショップが遠くなった方なんかは別ですよ。するとお断りしてしまった方は、インターネットの掲示板なんかに悪口を書き込うんじゃうんですね。だから、ウチの店のネット上の評判はとっても悪いんです」

一時期、2ちゃんねる(現5ちゃんねる)には追い返された人による嫌がらせの書き込みが盛んだったらしい。でも、北谷さんは「僕はネットは見ないから一切気にしないよ。むしろ評判が悪くなって価格だけ求めて安全意識の無い変な人が来なくなれば良いかなって思う」と笑う。

「スポーツ自転車はネットで買うものじゃないんです」そう断言する北谷さんの思いはこうだ。スポーツバイクはある意味とても危険な乗り物で、常に整備を完璧にして乗らなければ危険が伴う。だから値段だけを優先してネットで買うのは自殺行為。危機感を持たず、値段だけを優先する人の依頼を断るのは、安全に対する根本的な考え方をいちいち説明していられないと感じるから。

そういったスポーツ自転車に対する真摯な考え方は後継者である2人の息子さんにも受け継がれている。長男の啓一郎さんが危惧するのは、危険な中古自転車の蔓延だ。「クラックが入っていたり、大きな穴が開いていたり。そんな危険な状態の自転車を『走行には問題ありません』といって販売している事例を何度も見かけたことがあります」と啓一郎さん。

「実際、何の問題もない自転車もあるでしょう。ですが、それを証明できる厳格な検査を中古車を手掛けるショップが行っているかといえば、答えはNOと言わざるを得ません。本当に安心して自転車を楽しむために、ファーストオーナーとなることは欠かせないことだと考えています」と語る。北谷親子に共通するのは、スポーツバイクを楽しむために本当に必要なものはなにか、ということに真正面から向き合っている誠実な姿勢だ。その自転車への関わり方がサンワを名店たらしめる大きな原動力になっている。
柔らかい物腰で対応してくれる店主の北谷正一さん。お客さんからは「大将」と親しまれている
落車して傷ついたディレーラーは丁寧にヤスリがけをしてから納車
「カンパのパーツにはさ、カンパの工具じゃなきゃね。」
次男の伸二郎さんは油圧周りもお手の物
たまたま取材時に、立ちごけをしてクロモリバイクのエンドを曲げたお客が現れた。普通ならエンド修正工具で直して終わりだろうが、エンドに芯出し工具を当てて完璧な調整を行い、ディレーラーの傷をヤスリがけし、更に全体のチェックをしてからお客に渡す。非常に丁寧な職人技。そしてその技術は、次男の伸二郎さんを始めとする若いメカニックに受け継がれている。

脈々と受け継がれていく技術がある一方で、新しい規格に対しても積極的に対応している。ここ数年で一気に主流となってきたロード油圧ディスクブレーキについてもお手の物。「もともと趣味でモトバイクの整備もやっていたので、油圧関係も得意なんですよ」と伸二郎さんは語ってくれた。

北谷さんは言う。「僕はね、お客さんと深いお付き合いをさせてもらおうと思っているの。じっさいお客さんの冠婚葬祭に呼ばれることが多くてね、それが喜びでもあるの。普段からお客さんに最高の状態で自転車に乗ってもらい、サイクリングを通じて楽しい経験をたくさんしてもらう。そのお手伝いをしたいんです。だから整備に手抜きは一切なし。遠くに引越しても、わざわざ整備に持ってきてくれるお客さんもたくさんいるんだよ。信頼してくれているから、頑張っちゃうんだよね」。

「僕の残りの人生で、丹精込めて組み上げられる自転車はあと数百台ぐらいかなって思う。そう考えれば仕事に手抜きはできないし、時間がもったいないんだ。」

誰しもをウェルカムとしない北谷さんの経営方針には賛否両輪があるかもしれない。しかし途切れることなく来店するお客さんの笑顔、北谷さんの楽しそうな様子、そして何より北谷さん一代でここまでの規模にショップが育ってきた事実は、その答えを証明していると言って良いのかもしれない。これが取材をした私が率直に感じた感想だ。
2階のこぢんまりとした作業ブース。「一人でやるから十分なんだよね」
技術の伝承も確実に行われている
ヘルメットはおよそ500個ほどを在庫しているそうだ
大将の後を継ぐ啓一郎さん(右)と伸二郎さん(左) それぞれがスポーツバイクへの熱い思いを持つ兄弟だ
店舗情報
郵便番号 
660-0881
住所 
兵庫県尼崎市昭和通8-290
営業時間 
本館  1F 11:00~20:00
    2F 13:00~20:00
東館11:00〜20:00
ウェア2F:土日祝13:00〜19:00
西館11:00~20:00
日曜祝日は全館19:30まで
定休日 
水曜日(祝日は営業)、第3木曜日
TEL 
06-6412-3802
FAX 
06-6412-3801
アクセス 
阪神電車出屋敷駅から徒歩10分
新館1階に6台分の駐車場あり
スタッフからのメッセージ
北谷正一社長(中央)とスタッフの皆さん
スポーツバイクをキチンと楽しみたい方なら誰でも大歓迎です。豊富な在庫はどんなニーズにも応えることができますし、ビンテージバイクや稀少パーツの在庫ならお任せください。クロモリロードバイク、アレックス・モールトンは得意中の得意分野です。

ビギナーさんをフルサポートしたいですね。ロードバイクにロマンを感じる方、一緒に楽しみましょう。(北谷社長)

サイクルセンターサンワ