カリフォルニアの眩しい太陽が差し込むサンタ・ロサで繰り広げられたスプリント勝負。スプリンターたちがしのぎを削る中ガッツポーズを挙げたのは、ラスト10kmを切ってからのパンクで一時後退したペーター・サガンだった。

第1ステージスタート前セレモニー第1ステージスタート前セレモニー (c)Mark Johson CorVosいよいよ開幕した北米最大のステージレース、第7回ツアー・オブ・カリフォルニア。5月13日から20日までの8日間、計1184kmに渡る戦いの火蓋が切って落とされた。

幕開けとなる第1ステージはサンタロサを発着する186.5kmで争われた。中盤から後半にかけて4つの山岳ポイントを迎えるものの、最高地点は標高450mほどでコースとしての難易度は低い。

カリフォルニアの海岸線を行くメイン集団カリフォルニアの海岸線を行くメイン集団 (c)Mark Johson CorVos終盤は平坦となっており、黄金のリーダージャージ獲得を目指すスプリンター達の激しいバトルが繰り広げられるものと予想された。日本からは土井雪広(アルゴス・シマノ)が参戦し、完成したばかりのナショナルチャンピオンジャージを初披露する舞台となる。

集団内で走る土井雪広(アルゴス・シマノ)集団内で走る土井雪広(アルゴス・シマノ) (c)Mark Johson CorVos"ゴールデンステイト"カリフォルニアらしい快晴に恵まれたサンタロサを出発したのは、全16チーム128名の選手たち。

スタート後すぐにマキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼルラモンディアール)がアタックすると、この動きにはジェフリー・ラウダー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)ら、自国最大のレースで見せ場を作りたいアメリカンコンチネンタル勢が中心となって反応。ブエを含む計8名の逃げグループが形成された。

エスケープグループに有力選手が入っていなかったことで、メイン集団はスローダウン。前を行く8名に対してタイムギャップは最大で11分まで拡大した。

協調体勢を取ってメイン集団から余裕を持って逃げ続ける8名は、ラウダーを先頭に52.2km地点のスプリントポイントを通過。

続く104.4km地点の山岳賞はデイヴィッド・ボイリー(カナダ、スパイダーテック)が獲得し、以降この2名が全ての山岳とスプリントポイントをそれぞれ先頭でクリアし、北米勢としての意地を見せる。

リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ)擁するオメガファーマ・クイックステップも集団をコントロールリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ)擁するオメガファーマ・クイックステップも集団をコントロール (c)Mark Johson CorVosラボバンク勢が集団のペースを上げていくラボバンク勢が集団のペースを上げていく (c)Mark Johson CorVos集団に食らいつく土井雪広(アルゴス・シマノ)集団に食らいつく土井雪広(アルゴス・シマノ) (c)Mark Johson CorVos


ナショナルチャンピオンジャージを着る土井雪広(アルゴス・シマノ)ナショナルチャンピオンジャージを着る土井雪広(アルゴス・シマノ) (c)Mark Johson CorVos対するメイン集団は、スプリンターチームが中心となってペースをコントロール。マイケル・マシューズ(オーストラリア、ラボバンク)で勝利を狙うラボバンクが集団の先頭に立ち、上り区間でペースを上げるとマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)、ロビー・マキュアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)らが脱落。キッテルのアシストを担う土井雪広もメイン集団から離れていった。

ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)がスプリントを制すペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)がスプリントを制す (c)Mark Johson CorVosこの動きによって約半分にまで人数を減らしたメイン集団は、スピードを落とすこと無く先頭グループをキャッチ。残り距離を減らしていくにつれ、徐々に集団スプリントの体勢へと移行していく。

主導権を握りたいスプリンターチームが高速で牽引する集団内では、ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)がパンク。すぐに車輪を交換して再び走りだすが、しばらく単独での追走を強いられてしまう。

ステージ優勝を飾ったペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)ステージ優勝を飾ったペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) (c)Mark Johson CorVosそして残り3km地点で再び波乱。スプリントを狙うマシューズが左側の選手と接触すると、その反動で右側の選手と交錯し激しく落車。ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼルラモンディアール)を含む多くの選手が足止めを余儀なくされる中、メイン集団前方まで位置を戻していたサガンはこれを回避した。

ステージ上位3名の表彰ステージ上位3名の表彰 (c)Mark Johson CorVos残り1kmゲートをくぐった先、リー・ハワード(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)を勝利に導きたいオリカ・グリーンエッジが先頭でトレインを組むが、別ラインから主導権を奪ったのはサガンを引き連れたダニエル・オス(イタリア、リクイガス・キャノンデール)。

オスの勢いは最終盤まで衰えず、その後ろからスプリントを開始したサガンがハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・バラクーダ)を抑えて先頭でゴールラインへと飛び込んだ。

リーダージャージを獲得したペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)リーダージャージを獲得したペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) (c)Mark Johson CorVosラスト10km以内のパンクでの遅れを取り返し、さらに集団前方で発生した落車を避けて驚きの力強さを見せたサガン。昨年スプリント賞を獲得と相性の良いカリフォルニアで、リーダージャージの獲得に成功した。


優勝したペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)のコメント

「最後はとても混乱したスプリントだったよ。残り距離わずかでパンクしたけれど、まだ集団に戻る時間があるのはわかっていた。チームメイトの働きがとても素晴らしく、パニックになることもなかったんだ。落車ではテッド(キング)が転んでしまったけど、大丈夫だといいな。オスのリードアウトは完璧で、そのおかげで勝つことができた。とても嬉しいよ」


6分56秒差の100位でゴールした土井雪広は、「予想以上に厳しいコースでした。オーダー的にはスプリンターの援護。最後スプリンターを連れて行くべく登りを越え、宙ぶらりんのまま後ろの集団を待って合流し、牽引開始。20キロ近くみんなで引いて頑張ったけど、追いつくことは無かった。結果第二集団でゴール」

「今回は出場メンバーをみても総合を狙えるような面子じゃないからデイリザルトで頑張ります!明日は時差ぼけと移動疲れもとれてきて良い感じで体が動くと良いな!明日もチーム一丸頑張ります〜!」と自身のブログ内で語っている。


ツアー・オブ・カリフォルニア2012第1ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ペーター・サガン) 4h42'35"
2位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・バラクーダ)
3位 フレッド・ロドリゲス(アメリカ、チームエクセルジー)
4位 リー・ハワード(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
5位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
6位 ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、BMCレーシングチーム)
7位 ライアン・アンダーソン(カナダ、スパイダーテック)
8位 ステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
9位 ローソン・クラドック(アメリカ、ボントレガー・リブストロング)
10位 ルイス・レオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク)

個人総合結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ペーター・サガン) 4h42'25"
2位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・バラクーダ) +04″
3位 ジェフリー・ラウダー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
4位 フレッド・ロドリゲス(アメリカ、チームエクセルジー) +06″
5位 ベンジャック・メイネス(アメリカ、ビッセル)
6位 ジョシュ・アトキンス(ニュージーランド、ボントレガー・リブストロング) +09″
7位 リー・ハワード(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) +10″
8位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
9位 ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、BMCレーシングチーム)
10位 ライアン・アンダーソン(カナダ、スパイダーテック)

山岳賞
デイヴィッド・ボイリー(カナダ、スパイダーテック)

ポイント賞
ジェフリー・ラウダー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)

新人賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)

チーム総合成績
BMCレーシング

text:So.Isobe
photo:Mark Johson/CorVos