「ツール・ド・フランスは危険すぎる」。総合優勝候補のフランク・シュレクとアンディ・シュレクはそう語る。彼らが今日(20日)イタリアのピネローロのゴール地点で訴えたのは、この2日間のステージ終盤の下りについてのことだ。

2級山岳プラマルティーノ峠で攻撃を仕掛けるサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)とアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)2級山岳プラマルティーノ峠で攻撃を仕掛けるサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)とアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード) photo:Cor Vos「まただよ」とアンディ・シュレクはその危険性を指摘する。「今日(第17ステージ)のような下りを、コースに組む込む必要は全然ないよ」

シュレクがそう述べたのは、トリノ県西部のピネローロで待機するレオパード・トレックのチームバスの外でのことだ。彼はツールの第17ステージを終えたばかりだった。この日は2日連続でゴール前にダウンヒル区間があったのだ。

2級山岳プラマルティーノ峠の下りでコンタドールを追うアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)2級山岳プラマルティーノ峠の下りでコンタドールを追うアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック) photo:Cor Vos彼は昨日のガップ(第16ステージのゴール)で、前年チャンピオンのアルベルト・コンタドールに対して1分6秒を失なった。そして、今日(第17ステージ)のプラマルティーノ峠の下りでもあやうくタイムを失なうところだった。コンタドールはプラマルティーノの登りでアタックをくり返し、下りでは解き放たれたように先行した。

昨日と今日の2日とも、下りで落車する選手が多発した。この日は総合リーダーのトマ・ヴォクレール(ユーロップカー)がコーナーをオーバーランして沿道のガレージに突っ込み、ジョナタン・イヴェール(ソール・ソジャサン)は3回もバイクコントロールを失なった。

2級山岳プラマルティーノ峠の下りでコースアウトしたジョナタン・イヴェール(フランス、ソール・ソジャサン)2級山岳プラマルティーノ峠の下りでコースアウトしたジョナタン・イヴェール(フランス、ソール・ソジャサン) photo:Cor Vos前日のマンス峠でアルノー・ジャネソン(FDJ)が落車したすぐ近くでは、2003年にホセバ・ベロキがキャリアに終止符を打つ羽目になった落車が起きている。この落車は、ランス・アームストロングが落車を切り抜けるために野原を突っ切ったことでも有名である。

「誰だって家族がいるんだ」とアンディ・シュレクは前日(第16ステージ後)に語った。「今日のようなゴールは許されるべきじゃない」

レオパード・トレックはジロ・デ・イタリアの期間、5月9日に同チームのワウテル・ウェイラントを落車事故で失なっている。ワウテルはラパッロに向かう下りで落車して、頭部の強打が原因で死亡した。ジロ・デ・イタリアでは、こうした事故への懸念もあって、レース終盤のモンテ・クロスティスの下りがキャンセルになった。

レオパード・トレックのキム・アンデルセン監督に、チームとしてツール・ド・フランスのオーガナイザーであるアモリ・スポル・オルガニザシオン(ASO)への抗議を検討しているか質問した。

「わからない」とアンデルセンは言う。「下りで落車が起きた際、チームカーがすぐに駆けつけることができない状況もある。それが原因で選手たちがレースに負けてしまうこともある。これはフェアじゃない」。レオパードの広報担当者は後になって、チームが公式に抗議を申し立てることはないと、正式に発表した。

シュレク兄弟は5月のトレーニングキャンプ中に、この下りを2回下見した。(サクソバンク・サンガードの)リース監督は、コンタドールもこのステージと今後のアルプスの連戦ステージを試走したことを認めている。

text:Gregor Brown in Pinerolo
translation:Taiko YAMASAKI + Seiya YAMASAKI

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