前日に落車した新城幸也(日本、ユーロップカー)が出走しなかった第3ステージ。集団スプリントを制したのはスキル・シマノの若手マルセル・キッテル(ドイツ)。日本人の最高は綾部勇成(愛三工業)の8位だった。

新城幸也を欠くチームユーロップカー新城幸也を欠くチームユーロップカー photo:Yuko Satoツール・ド・ランカウイ2011第3ステージはタイピン〜シチアワン間の144.9kmで争われた。スタート直後から山岳ポイントへ登る以外は、比較的平坦なレイアウト。この日も逃げと集団スプリントとで各チームの思惑が交錯した。

 
第2ステージのゴール前で顔面から落車した
新城幸也(日本、ユーロップカー)は検査の結果、大事をとって未出走。精密検査を受けることとなった。同じく落車していたパク・ソンベク(韓国、韓国ナショナルチーム)も未出走。昨日やはり落車した品川真寛(愛三工業)と宮澤崇史(日本、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)はスタートラインについた。

山岳賞ポイント地点まであと200mほど。デコールトの山岳ポイント獲得のために動くスキル・シマノ山岳賞ポイント地点まであと200mほど。デコールトの山岳ポイント獲得のために動くスキル・シマノ photo:Yuko Satoスタート地点のタイピンは雨模様。そんな中またも不運な落車に見舞われたのは品川。レース序盤10kmほどの地点で落車に巻き込まれ、その後のレース行程を独走することを強いられる。品川は35分35秒遅れの130位でゴールしたが、規定タイムオーバーにより、この第3ステージでレースを終えることに。

17km地点の山岳ポイントにかけて、山岳賞リーダーのコエン・デコールト(オランダ)を擁するスキル・シマノが集団をコントロール。しかしデコールトはポイントを獲得できず。ホナタン・モンスラヴェ(ヴェネズエラ、アンドローニ・ジョカトーリ)が先頭で通過した。

山岳ポイント争いを制したのはホナタン・モンスラヴェ(ヴェネズエラ、アンドローニ・ジョカトーリ)山岳ポイント争いを制したのはホナタン・モンスラヴェ(ヴェネズエラ、アンドローニ・ジョカトーリ) (c)letourdelangkawi2011いくつものアタックが繰り返されるものの、集団はひとつのまま第1スプリントポイントへ。ここを先頭で通過したのは総合2位でベストアジアンライダージャージを着るアヌアル・マナン(マレーシア、トレンガヌ・プロアジア)。総合リーダーのアンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼ・ヴィーニ)も2位通過し、ボーナスタイムによる総合タイム差を最少に食い止める。

50km地点を過ぎてもいまだ決定的なアタックは現れない。不安定な集団からついに抜け出しに成功したのはコン・ローシー(マレーシア、マレーシアナショナルチーム)とリース・ポロック(オーストラリア、ドラパック・ポルシェ)の2人。58km地点で1分のタイム差を稼ぎ出すと、集団もこの逃げを容認した。

ファンヒュンメルに解き放たれたキッテルが伸びるファンヒュンメルに解き放たれたキッテルが伸びる (c)letourdelangkawi20112人は最大で4分強のタイム差を稼ぎ出すも、集団をコントロールするリーダーチームのファルネーゼ・ヴィーニは動じない。逃げる2人が通過した後の第2スプリントポイントでは、今度はグアルディーニがマナンを振り切って3位通過。レース中盤にも激しい火花を散らす。

ゴールまで50kmを切っていよいよファルネーゼ勢がペースを上げ始めると、その差はみるみる減少。この集団からアンドレイ・クラシルニカウ(ベラルーシ、チポトレ・ディヴェロップメント)がアタックする場面も見られたが、決まらず。そして逃げる2人も残り5kmで吸収されてしまう。

マルセル・キッテル(ドイツ、スキル・シマノ)が集団スプリントを制したマルセル・キッテル(ドイツ、スキル・シマノ)が集団スプリントを制した photo:Yuko Sato3日続けての集団スプリント。注目は総合リーダージャージを着るグアルディーニ。しかしこのスプリントで黄色いリーダージャージの前に出たのは白いアジアツアーリーダージャージを着るケニーロバート・ファンヒュンメル(オランダ、スキル・シマノ)だ。その後ろにはマルセル・キッテル(ドイツ、スキル・シマノ)がつける。

ファンヒュンメルのリードアウトから飛び出したキッテルは、グアルディーニの追撃を意に介さぬ圧倒的なスプリントでゴールに飛び込んだ。逆サイドから一気に切れ込んできたマナンはグアルディーニをかわしたものの、キッテルには届かず。

2位に終わったアヌアル・マナン(マレーシア、トレンガヌ・プロアジア)の後方に8位の綾部勇成(愛三工業)2位に終わったアヌアル・マナン(マレーシア、トレンガヌ・プロアジア)の後方に8位の綾部勇成(愛三工業) photo:Yuko Sato集団前方でスプリントに参加したのはエース西谷に代わった綾部勇成(愛三工業)。品川がいない逆境の中、この日の日本人最高位となる8位でフィニッシュした。グアルディーニのアシストに徹した宮澤崇史(日本、ファルネーゼ・ヴィーニ)、この日2度の落車に見舞われた福島晋一(日本、トレンガヌ・プロアジア)、愛三工業の選手ら日本勢は集団内でゴールしている。

優勝したキッテルは昨年の世界選手権個人タイムトライアルU23で3位に入っているドイツ期待の22歳。チームのエーススプリンターであるファンヒュンメルのアシストを受けて、HCのレースで初勝利を挙げた。マレーシアの地で、若い才能が輝いている。

翌第4ステージはいよいよ山岳ステージのキャメロンハイランド。ランカウイを代表する登り坂だ。1級と超級の山岳を越えて、総合上位陣の顔ぶれはがらりと変わるだろう。ここまで様子を見ていたクライマーが動き出す。日本勢からは鈴木謙一(愛三工業)が山岳ステージに意欲的だ。昨年のゲンティンハイランドで日本人最高位に入った鈴木の山岳での走りに期待したい。


ツール・ド・ランカウイ2011第3ステージ結果
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、スキル・シマノ)          3h14'18"
2位 アヌアル・マナン(マレーシア、トレンガヌ・プロアジア)
3位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)
4位 セリス・ヴィダル(スペイン、ルトゥーア)
5位 ボリス・シュピレフスキー(ロシア、タブリツ・ペドロケミカル)
6位 ジャン・チャンジェ(韓国、韓国ナショナルチーム)
7位 クリストフ・ファンヘールデン(南アフリカ、MTNキュベカ) 
8位 綾部勇成(愛三工業)
9位 エリア・ファヴィッリ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)
10位 ルーカ・バルラ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)
21位 西谷泰治(愛三工業)
46位 盛一大(愛三工業)
47位 宮澤崇史(日本、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)
80位 土井雪広(日本、スキル・シマノ) 
84位 鈴木謙一(愛三工業)
96位 福島晋一(日本、トレンガヌ・プロアジア)
118位 福田晋平(愛三工業)
130位 品川真寛(愛三工業)                     +35'35"


個人総合成績
1位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ) 8h43'44"
2位 アヌアル・マナン(マレーシア、トレンガヌ・プロアジア)        +7"
3位 マルセル・キッテル(ドイツ、スキル・シマノ)             +18"
4位 ディオン・ロック(オーストラリア、チャンピオンシステムズ)      +20"
5位 ハミド・シリシサン(イラン、タブリツ・ペドロケミカル)        +21"
6位 ボリス・シュピレフスキー(ロシア、タブリツ・ペドロケミカル)     +22"
7位 ジャン・チャンジェ(韓国、韓国ナショナルチーム)
8位 ハリフ・サレー(マレーシア、トレンガヌ・プロアジア)         +23"
9位 クリストフ・ファンヘールデン(南アフリカ、MTNキュベカ)        +24"
10位 クリク・カールセン(アメリカ、チポトレ・ディベロップメント)     +25"
25位 西谷泰治(愛三工業)
35位 綾部勇成(愛三工業)                        +28"
53位 盛一大(愛三工業)
54位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)
78位 宮澤崇史(日本、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)
92位 福田晋平(愛三工業)
117位 鈴木謙一(愛三工業)
121位 福島晋一(日本、トレンガヌ・プロアジア)             +48"


ポイント賞
アンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)

山岳賞
コエン・デコールト(オランダ、スキル・シマノ)

アジア人総合成績
アヌアル・マナン(マレーシア、トレンガヌ・プロアジア)

チーム総合成績
トレンガヌ・プロアジア

アジアンチーム総合成績
トレンガヌ・プロアジア


text:Yufta Omata
photo:Yuko Sato

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